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3−3:顧客は誰か

ドラッカー先生が口を酸っぱくするほど繰り返し述べている顧客思考の重要性。

顧客の欲求を理解するためのマーケティング
顧客の欲求の変化に対応するためのイノベーション
顧客の欲求を満たすことによって得られる利益

企業は顧客を中心に運営されているのは紛れもない事実です。

では、そのような重要な顧客は誰を想定すれば良いのでしょうか?

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したがって「顧客は誰か」との問いこそ、個々の企業の使命を定義するうえで、もっとも重要な問いである。やさしい問いではない。まして答えのわかりきった問いではない。しかるに、この問いに対する答えによって、企業が自らをどう定義するかがほぼ決まってくる。

誰を顧客に設定するかによって、企業の事業はほぼ決まります。

でも、それは簡単に分かるものではありません。
例えば、ファッションブロガーMBさんは「顧客は誰か」という問いに対して1ヶ月丸々考え抜きました。新宿の伊勢丹メンズ館のリニューアルについては「顧客の欲求するもの」に事前準備のほとんどの時間を投資しました。

「顧客は誰か」という問いが難しい理由についてドラッカー先生はこう言います。

もちろん、消費者すなわち財やサービスの最終利用者は顧客である。だが、消費者だけが顧客ではない。顧客は常に一種類ではない。

顧客は1種類だけでなく、常に複数います。

例えば、カーペット(絨毯)業者の顧客を考えていきましょう。

カーペット(絨毯)業者の顧客といえば、「カーペットを使う人」であると想像できるかと思います。でも、もっと広い意味で顧客は誰かと考えると、顧客は2種類いることがわかります。

①建築業者と②住宅購入者です。

①建築業者
新しく物件を建てた建築業者は、新築の床にカーペットを引いて家の内見をしている人々向けに家を紹介します。彼らはカーペット業者からカタログを取り寄せます。そして、どのカーペットが家を魅力的に見せてくれるのか考え、カーペットを選び、購入します。
→カーペット業者にとって建築業者は顧客になります。

②住宅購入者
新しく家を購入した人は、床の汚れを防ぐためにカーペットを買おうかと考えます。建築業者に「カーペットが欲しい」旨を伝えてカタログをもらいます。サイズ感や色味や生地感を見て自分の好みのカーペットを選び、購入します。
→カーペット業者にとって住宅購入者は顧客になります。

すなわち、カーペット業者の顧客は①建築業者と②住宅購入者の2種類です。

顧客によって、期待や価値観は異なる。買うものも異なる。

顧客によって欲求は異なります。そのため、顧客が2種類いる場合、2種類の欲求を満たす必要があります。

例えば、生活用品メーカーを考えていきます。

生活用品メーカーは、おしゃれなデザインで少々変わった容器のハンドソープを新製品として発売しました。それは事前にアンケートを取っており、主婦からも大好評です。売れると思って大量に製造しましたが、なかなか主婦の利用者が伸びませんでした。

理由を調査したところ、小売店に並べられていなかったのです。小売店の店主になぜ店頭に並べてくれないのか理由を聞くと彼は言います。

「おしゃれで良いと思うけど、形が変わっていて店頭に並べにくいんだよね」

生活用品メーカーが作った製品は主婦の欲求を満たすが、小売店の欲求を満たすものではなかったのです。当初の顧客設定を見誤った結果、良い製品も顧客の欲求を満たすことができなかったのです。

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今回の話をまとめますと、企業にとっての顧客は1種類以上存在しており、それぞれの顧客の欲求は異なっている。だから、企業は顧客が誰なのかを把握して彼らの欲求を満たす努力をする必要があるというわけです。

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