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社会的責任(CSR)の意味は時代を反映する


▼社会的責任(CSR)とは

CSRの意味をご存知でしょうか。

企業は利益を追求するだけでなく、社会へ与える影響も気にしていますという意味合いで使われます。企業のHPを検索すると「CSR」という言葉が必ず見つかりますよね。それです。

昨今では、各企業がコロナ対策として様々なCSR活動をしています。ユニクロは医療機関に肌着を寄付したり、ソニーは約108億円もの基金を創設しました。


▼なぜ企業は社会的責任(CSR)を果たそうとするのか

一言で言えば企業は社会に生かされている存在に過ぎないからです。

企業と社会は切っても切り離せない関係です。ここを勘違いする企業は生き残ることができません。コロナの流れで人が店に来ないのに、それに逆らって積極的に誘致しても人は集まりません。それなら社会の流れを読み取り、宅配に注力すべきです。

企業は社会に生かされている存在だからこそ、社会にメリットがある行動を行わなくてはいけません。


しかし、今の社会的責任の定義と昔の定義が異なることはご存知でしょうか?

今でこそ、企業は環境問題や人権問題など地球規模の問題に関心を払っています。しかし、それは1960年代初頭以降の話です。具体的にどう変わったのでしょうか。



▼企業の社会的責任の定義 1960年代始めまで

当時の企業の社会的責任は3つの問題を取り扱っていました。

①私的な倫理と公的な倫理との関係に関する問題
②働く者に対する責任に関する問題
③地域社会への貢献という意味での責任に関する問題

要するに、①倫理の問題、②従業員の問題、③地域社会の問題の3つです。

現代の環境問題はその対象外だったんです。

より詳しく見ていきます。


①倫理の問題

当時、企業は倫理を守ることが求められました。それは当時の日本の状況を考えればイメージしやすいと思います。

企業は我々一般人よりも多くのものを手に入れられます。そして企業には、それを世の中に流通させる力があります。通常、企業は市場における適正価格を設定して、世の中に商品を流通させます。

でも、もしそれを闇市に流通させればどうなるでしょうか。企業はものの流通量をわざと少なくして、商品価格を大きく上げればどうなるでしょうか。

我々一般人はそれでも必要があれば商品を買わざるを得ません。今で言うメルカリ転売のようなものですね。どうしても欲しいけど、市場には存在していないから、メルカリで転売ヤーから購入せざるを得ない。今でこそ企業は法の下でコントロールされていますが、当時の企業にはそこまでの統制がありません。だから、企業は社会的責任の一つとして倫理を守ることが求められたのです。

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②従業員の問題

1960年代以前が舞台のドラマを見れば現代とのギャップに驚いたりするものです。当時はブラック企業という言葉もなければ、パワハラセクハラという言葉もなく、それらが当たり前に横行していた時代です。人への給料もちゃんと払われていたかどうかも怪しいです。

でも、だからこそ、企業には従業員に対して責任がありました。

社員の雇用を守る、社員の給料をちゃんと払う、社員の健康を守る、今でこそ当たり前となっていることですが、当時は企業の社会的責任として求められていたんです。

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③地域社会の問題

当時の企業の顧客を考えれば、企業が守るべき場所がわかります。インターネットもない、通販もない、当時の企業の顧客は紛れもない地域住民でした。

だからこそ当時の企業は地域社会に対して責任を持っていました。

町の清掃活動に参加したり、地域のお祭りやイベントに寄付したり、地域の顧客の要望に答えたり・・・顧客に愛される企業となるために、地域社会の問題に責任を持つ。地域社会の問題について取り扱うことが、当時の企業の社会的責任でした。

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▼まとめます

企業は社会に生かされている存在だからこそ、社会的責任を果たそうとします。そしてその社会的責任の意味は、「1960年代初頭以前」と「それ以降」で異なります。

1960年代初頭までの社会的責任とは3つの問題に関するものでした。

①倫理が蔑ろにされていた時代だから倫理を守る。
②働く者に対する責任が守られない時代だから働く人を守る。
③地域社会に生かされる存在だから地域社会に貢献する。

そのどれもが当時の状況を大きく反映させています。




▼補足 言葉の意味は時代を反映する

私は「社会的責任の意味が変化したタイミング」が、「当時の社会情勢の変化したタイミング」だと考えました。

倫理を守ること、働く者を守ること、地域社会を守ること、当時は守られていなかったからこそ、「社会的責任」という形で守ることが求められていたんです。

でも、1960年初め頃から、それらを守ることが当たり前になった。

それらを守るだけでは「社会的責任の意味合い」としては弱くなったのだと思います。だから一部の企業が社会的責任の意味を拡大解釈して、もっと大きな枠組みで捉えるようになった。地域よりも大きく国全体、地球全体へと拡大していったのだと思います。

言葉の意味は時代を反映するといいますが、まさにその通り。

今、社会的責任と言えば環境問題に焦点を当てている企業が多いです。なぜでしょうか。その理由を考えれば自ずと社会の問題が見えてきます。


ここまで読んでいただきありがとうございました!


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