偶然から成功した企業「IBM」〜2つのイノベーション〜
こんにちは、ぱりかんです。
いつも読んでいただきありがとうございます。
今回のnoteでは、IBM社について、取り上げさせていただこうと思います。
▼IBMの成功は偶然生まれた!?
IBMと言えば、コンピューターで有名な会社ですよね。
経営学の祖ドラッカーはIBMを「企業の目的と従業員の目的を結びつけた」という意味で、成功したと評しています。
でも、「IBMは偶然成功した企業だった」ってご存知でしょうか。
もっと適切に言えば、IBMは“問題”に対して“疑問”を持ち、そこから成功の“本質”を探り当てた企業です。
後でちゃんと話しますが、「偶然から成功したIBM」から、「本質を考える重要性」を認識することができます。
このnoteで伝えることは大きく分けて2つあります。
1つが、IBMが偶然起こした2つのイノベーションについて説明すること。そして、IBMと他の企業で何が違ったのかを考えます。
もう1つが、サラリーマンである私がIBMの事例から活かせると考えたことです。
「少しでも伝わるように」
できる限り分かりやすく、想いを込めて書きましたので、ぜひ最後まで読んで頂けますと幸いです。
▼第一のイノベーション 〜「仕事」から「労働」へ〜
まず最初にドラッカー「マネジメント」の一節を引用します。読みながら場面を想像してみてください。
IBMの創立者トマス・J・ワトソン・シニアは、ある時、一人の女性が機械に向かって座ったままでいるのを目にした。
なぜ仕事をしないのかと聞くと、「工具を替えてくれるのを待っています」と答えた。
「自分ではできないのですか」と聞くと、「できます。でも、しないことになっています」との答えが返ってきた。
女性はやるべき仕事がわかってるのに動かない。できるのに手をつけようとしない。
何となくありそうですよね。こういう場面。。。
みなさん、自分が雇っている女性にこんなこと言われたらどう思います?
自己中な私だったら、
「いやいや考えて働けよ!」
「何してるんだよー、なら工具替える人呼べよ!」
という感じでイラッとして終わりそうです・・。よくないなぁ。
でも、さすがワトソン。感情的な私とは違いました。
彼は、疑問を持ち、具体的な解決策を“思考”しました。
・もっと人が活躍するために
ワトソンは「原因」を考えました。
「なぜ、多くの従業員が毎週何時間もの間、工具係を待つために時間を無駄にしているのだろうか?」
「原因」は職務にありました。
当時のIBMでは、職務によって仕事内容が決められていたのです。
そのため、女性は能動的に動くことができず、「工具を替える仕事」という単純な作業でも何もできなかったんです。
ワトソンはすぐに解決策を考え、実行しました。
「機械の組み立て」を新しい職務として追加し、その後「完成部品の検査」も新しい職務としました。
これ以外にも、IBMはこのような「職務の拡大」を頻繁に行いました。
その結果、製品の質と量において思いがけない改善がなされました。
・「仕事」から「労働」へ
人が仕事をする時、それは「労働」になります。
「労働」は仕事と違い、主観的で感情を伴います。決まった仕事を機械のように行うと、人の生産性はどうしても低下してしまうものです。
これ、私も経験あります。
私は大学生の時、パン作りのバイトをしていました。ひたすらパンをこねて生地を作る仕事だったんですが、単純作業なので頭がボーとしてくるんですよね。周りのパートのおばちゃん達もそうだったみたいで、世間話をしていたかな。私は友達いなかったのでずっと一人でしょうもないことを妄想していただけですが・・・。
「労働」は人がするものだからこそ、単純作業にしてはならない。
パン屋の話ではないですが、「労働」を単純作業とすることは間違っています。人が関わるものだからこそ、人が生産的に働けるように工夫すべきです。
IBMは「仕事」を「労働」にするために大きく3つの工夫をしました。
①作業の細分化
一つ一つの作業をできる限り単純に設計しました。そして、誰でもそれらの作業をこなせるように訓練しました。
②仕事にリズムを加える
作業の中でも少なくとも一つは、熟練技能や判断力を必要とするものにしました。また、複数の作業を行わせることによって、仕事のリズムに変化をもたせました。
③監督の職務を変えた
IBMには伝統的な意味で監督はいません。代わりに現場アシスタントがいます。彼の職務は、従業員が仕事を理解すること、そしてそのために道具を使えるようにすることです。今までの「ボス」をやめて、「アシスタント」にしたんですね。
結果、生産性は大幅に増加しました。
また、働く人の姿勢も大きく変化しました。
▼第二のイノベーション 〜知識を広く〜
1940年代後半、IBMは最初のコンピューターを開発しました。
当時、需要が多く供給が追いつかない状態でした。そのため、エンジニアリングが終わらないうちから生産を開始する必要があったのです。仕方なしに、エンジニアリングは生産現場で行うことに。技術者と技能者がタッグを組んで行いました。
この結果生まれたのが、極めて優れたエンジニアリングでした。
安く、速く生産できるようになっただけではありません。エンジニアリングに参加した人々が生産性の高い優れた仕事ぶりを示したのです。
ちょっと理由を深掘りしていきますね。
・知識が広いということ
会社に勤めて年数を経過すると、誰でも自然と仕事のスピード感が上がりますよね。それはつまり、知識が広がっていることを意味します。
私は印刷会社に勤めているのですが、入社して間も無くは目の前の仕事で手一杯でした。お客さんから「印刷物を作りたいので納期を教えて」と言われたときの私の頭の中はこんな疑問が浮かびます。
「どこの工場で作るのか?」
「誰に相談するのか?」
「工場の納期はどれぐらい必要なのか」
どれも必要な情報で即答できない回答です。
でも、3年勤めた今では、工場に確認を取らなくてもおおよその納期感を立てられます。
それは知識が広がっているからです。
印刷物の条件を聞けば頭の中には浮かぶのは…
「その条件なら○○工場で作るのか適切だろうな」
「業務の○○さんに相談するのが適切だろうな」
「工場の納期も今の時期は閑散期だから2週間あれば十分だな」
知識が広いと、疑問の後にすぐに回答が浮かびます。
おかげで、思い悩む時間を省略することができるのです。
話を戻します。先ほどのIBMの例も同様です。
当初、技術者は「いかに高性能なマシンを開発するか」を専門的に考えていました。しかし生産現場に足を運び技能者の意見を知ることで、「どうすればより効率的に生産できるのか」という知識を手に入れることができたのです。
新たな知識の獲得は視野の広さにつながります。
より広い視野を手に入れた技術者の作る技術はこれまでとは全く別物になります。「シンプルな技術」から「生産現場を考えた技術」に変容したわけですから。
▼まとめます
IBMの成功は偶然発生した2つの出来事がきっかけでした。
・一つ目が「働けるのに動かない女性」です。
働けるのに動かない女性に疑問を持ったワトソンは職務の規制を解放しました。そして、人の感情を尊重した「労働」を採用しました。
人が生き生きと働ける環境を構築することに注力した結果、工場の生産性を向上させることに成功しました。
・二つ目が「納期に追われるために技術者と技能者を一緒に労働させたこと」です。
時間がない中でコンピューターの製造を余儀なくされたIBMは、仕方なく技術者と技能者を工場で働くように求めました。その結果、優れたエンジニアリングが生まれました。開発専門ではなく、製造工程を意識した開発を行うことで生産性向上に結びつけました。
これら2つのような出来事は多分どこの企業でも少なからず起こっていたでしょう。でもそれらの企業でなく、IBMだけが大きく成長したのには理由があります。特に創始者ワトソンのある意識が根底にあります。
それは、「本質的な理由」を求めたことです。
そしてそれこそが、私のような普通のサラリーマンがこの話から学べることだと思うのです。最後に「本質を求める重要性」について話をさせていただきます。
▼サラリーマンの私がIBMの事例から学べること
IBMの凄さを二つのイノベーションを起こしたことですが、大切なのはその偶然に「なぜか?」という疑問を持ったことです。
「なぜ女性は動けるのに動けないのか?」
「なぜ技術者と技能者が一緒に働くと生産性が上がったのか?」
最初は偶然だったのでしょう。
でも、そこに疑問を持つか持たないかが違いを生みます。疑問から本質的理由を見つけることで、他の分野にも応用できるからです。
これはどんな仕事でも同じだと考えます。
「なぜこの提案は成功したのだろうか?」
「なぜ目標を達成することができないのだろうか?」
ふと頭に浮かんだ疑問について原因を根掘り葉掘り分析してみる。間違いでもいいから考えてみる。トヨタの「なぜなぜ分析」のように根本的な理由を探ってみて初めてわかることがこの世の中には本当に多いと思います。
「なぜ女性は動けるのに動けないのか?」→「原因は職務規定である」→「なぜ職務規定が必要なのか?」→「人の行動をコントロールするために必要である」→「本当に職務規定がないとコントロールできないのか?」→「・・・」
考え続けることで、物事の本質が見えてくる。
私もまだまだ修行中です。あまり偉そうなことは言えません。でもIBMの成功から今一度自分で考えることの重要性を再認識できました。
ここまで読んでいただきありがとうございました!
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