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ガンジス川が怖いから調べた結果

今度のゴールデンウィークはインドに旅する予定です。インドに行ったからにはヒンドゥー教聖地バラナシのガンジス川で沐浴したいと思ったのですが、いやー怖い。というのもガンジス川で沐浴した日本人は皆漏れなく原因不明の病で苦しんでるのです。ガンジス川には、2017年の政府調査で、最大で基準値の23倍のふん便性大腸菌が検出された地域もあり、汚染が深刻なのです。

それでも沐浴する人が後を絶たないのは、旅人ならではの好奇心でしょうか。せっかくのインド旅、ヒンドゥー教徒のように聖なる河で沐浴をしようと考えるものです。でも私はそんな無謀な危険は犯したくない。ガンジス川について調べてみることにしました。

疑問① ガンジス川はいつから汚れたのか?

JICA(独立行政法人 国際協力機構)による2005年のレポートにはこう記されています。

1980 年代はじめ以降の流域内人口の急激な増加により、ガンジス河の水質は急激に悪化し、生活 環境に多大な負の影響を与えてきた。

http://open_jicareport.jica.go.jp/pdf/11797826_01.pdf

つまり、少なくとも1980年ごろから人口増加により問題になっているとのこと。1980年時点で人口はおよそ6.9億人に対して、2017年の人口は13.3億人です。現在進行形で増え続ける人口とそれに伴う川の汚染、浄水場を作っても作っても対策が間に合わない事情もあるのでしょう。

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疑問② 人々はどうしてガンジス川を汚すの?

ネットの記事を見ていくと以下のような問題が挙げられます。
・生活排水と工業排水
・水葬(死んだものをガンジス川にかえす葬式)

今度はJICA(独立行政法人 国際協力機構)の2016年レポートをみてみます。すると、より根本的な問題が分かってきました。

市民の一般的な感情として、家の中はきれいにするが、ごみは家の前や道路に排出しておけば、清掃人が掃除をして収集をしてとりあえず家の前からは排除してくれるものとの考え方が、常識となっている。またそのごみの排出方法もビニール袋などにいれて出すのではなく、厨芥ごみなどをバケツからそのまま出す人も多く、ハエや蚊、牛や豚がたかって非常に非衛生的である。収集業務の改善(個別収集の導入を含む)とともに排出方法や貯留方法を改善することがまず VMCの美観、衛生状況の改善の第1歩となる。

http://open_jicareport.jica.go.jp/pdf/12250304.pdf

要するに、インド人には「ゴミはゴミ箱へ」という考え方自体がないようです。中世ヨーロッパでは家に溜まった糞尿を窓から捨てていたように、一部のインド人は当たり前のように道にゴミを捨てるのでしょう。

また、街の構造的な問題もあるようです。

特に旧市街地を中心として、道路が非常に狭く、一般のごみ収集トラックが家の前まで進入できないため、人力による一次収集と、二次ごみ集積所までの運搬、そこから処分場までのトラックによる二次収集・運搬が必要となっている。
市役所では人力の一次収集のために、2600人の一次収集人を雇用しているが、州の指針では、人口 1 万人に35人必要といわれており、4000人以上が必要というのが、市の廃棄物担当部署の説明である。
一方で人力による収集は非常に効率が悪く、また非衛生的な(不浄な)作業であるため、特定のカーストに属する人々に作業が集中することから、収集単価は高くつく結果となっている。
今後は小型車両や電動三輪車など狭い路地に入ることのできる機械の導入などの工夫とともに、排出・貯留システムとの連携をとった改善が必要となる。

http://open_jicareport.jica.go.jp/pdf/12250304.pdf

インドの旧市街地は人・車・動物で非常に混雑しています。そんな中に大型のゴミ収集車なんて入れません。だから狭い道を通る人の手がどうしても必要になるというのです。

まとめるとガンジス川汚染のポイントはこうなります。
・人口増加に伴う生活排水と工業排水
・宗教的な儀式による汚染
・人々のゴミは道に捨てれば良いという価値観
・街の構造的な問題

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疑問③ 国はどんな対策をしているの?

現在のモディ政権はガンジス川の浄化を選挙の公約としてあげています。2014年の記事にはこうあります。

モディ首相はガンジス川の浄化を公約し、ある演説では、インドをきれいにするミッションをバラナシから、つまりガンジス川の浄化から始めると述べました。河川の浄化政策はこれまでにも数多く実行されてきましたが、汚職や管理不足といった原因で思わしい成果を上げられていません。モディ新政権が7月上旬に発表した国家予算案では、ガンジスプロジェクトに203億7000万ルピーが割り当てられました。ガンジス川の浄化以外にも、新政権は河川の連結を目玉政策として挙げています。河川の連結は、水の豊富な土地から水の欠乏している土地に供給する広域導水です。インドの全国河川連結プロジェクトが実現すれば、30の河川が連結され、3000の貯水施設、1万5000キロにおよぶ運河網、8700万エーカーの灌漑地ができ、3000の村と72の町に飲み水が行き渡ります。

https://toyokeizai.net/articles/-/45372?page=2

国を挙げてのガンジス川浄化計画がどうなるのか。2027年には中国を超えて世界1位の人口を誇る国になると言われるインドの未来はそのまま地球の未来にも影響するように思います。

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ただ、ガンジス川が綺麗になるためには、現在のインドを根本的に変えていかないといけないようにも思われます。ガンジス川が綺麗になる時、それは今の混沌としたインドを見られなくなるときかもしれませんね。


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