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3−7:われわれの事業は何であるべきか

「われわれの事業は何になるか」という問いは、外部環境の変化に適応するために考えなくてはならないことです。

人々が安いものを求めるデフレ時代には価格を抑える。
人口増加が予想される国に子会社を作る。

しかし、これは外部要因への適応という意味しか持ちません。目的は、現在の事業を修正して発展させることです。

ドラッカー先生はもう一つ大事な問いを伝えています。

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しかし、「われわれの事業は何であるべきか」との問いも必要である。現在の事業をまったく別の事業に変えることによって、新しい機会を開拓し、創造することができるかもしれない。

「われわれの事業は何であるべきか」
変化する市場環境で、現在の事業を根本から見直すことも重要です。

例えば、「富士フィルム」は自社の事業を大きく見直しました。

2000年当時、主力事業であった写真フィルムの市場は2~3年ほどで約10%縮小するなど、急速に落ち込んでいきました。そんな状況で富士フィルムは大きく舵を切ります。

ヘルスケア市場への開拓です。

2006年に正式に化粧品業界に参入することを決めました。そして、2007年に発売したスキンケア化粧品「アスタリフト」が大ヒット。現在ではスキンケア化粧品の分野でトップ5に入るほどの商品に育っています。

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2003年当時、元社長であった古森氏はこう言います。

「トヨタは車がなくなったらどうなるのか、新日鉄は鉄がなくなったらどうなるのか。我々はそれほどの危機に直面しているのがわからないのか」

富士フィルムは変化する市場環境の中で、「われわれの事業は何であるべきか」という問いに真摯に向き合うことで、生き残ることができたのです。

「われわれの事業は何であるべきか」との問いに答える上で考慮すべき要因は、社会、経済、市場の変化であり、イノベーションである。

「われわれの事業は何であるべきか」を考える上でも外部要因は欠かせません。

社会、経済、市場がどのように変化しているのか?
そして、これらの影響により変化する顧客の欲求をどう満たすのか考えるイノベーションもまた重要です。

自らによるイノベーションと、他者によるイノベーションである。

ポイントは、①自らによるイノベーション ②他者によるイノベーションの2つです。

①自らによるイノベーション
自社内で完結するイノベーションのことです。
例えば、富士フィルムには元々コラーゲンの超微粒子化技術を保有していた。これを化粧品事業に転用することで成功しました。

②他者によるイノベーション
他社がイノベーションを起こすことです。
例えば、世界貿易を下支えするユーロダラーです。ユーロダラーとは、特にヨーロッパに預けられたお金のことです。アメリカが意図的にヨーロッパに預けた訳ではないのですが、アメリカはこの状況を利用しました。米ドルに世界通貨としての役割を与えたのです。結果としてアメリカは金融の中心と呼ばれるほど急成長しました。

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「われわれの事業は何になるべきか」とは、変化する外部環境の中でいかに顧客の欲求を満たそうとするのかを考えることです。その考えの結果は企業によって大きく異なります。

まずは、「われわれの事業は何になるか」を考える。そして、そこからもう一歩踏み込んで「われわれの事業は何であるべきか」を考えることが重要なんです。

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