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2−3:マーケティング

ドラッカーは顧客の創造をするためにはマーケティングとイノベーションが必要であると話します。今回はマーケティングについて深掘りしてみようと思います。

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企業の第一の機能としてのマーケティングは、今日あまりにも多くの企業で行われていない。言葉だけに終わっている。

マーケティングというとどういうイメージがあるでしょうか。例えば、「自社の製品を売り込むためのマーケティング」という言葉を使いますよね。でもドラッカー先生の言葉を深く理解していけば、我々の行うマーケティングが非常に浅いということに気づかされます。後々詳しく説明しますね。

消費者運動がこのことを示している。消費者運動が企業に要求しているものこそ、まさにマーケティングである。それは企業に対し、顧客の欲求、現実、価値からスタートせよと要求する。

顧客が企業に対して要求することこそマーケティングの出発点なのである。ここを履き違えてはいけません。企業の商品を顧客に売るのではない。顧客が要求するものを企業が備えるのだ。企業発信でなく、顧客発信。

消費者運動によって、企業はマーケティングを企業活動の中心に置かざるをえなくなる。

高級ブランドのグッチが大量の余り在庫を焼却処分していることが話題になり、消費者のグッチ不買運動が起こりました。これをきっかけにグッチは余り在庫に対する姿勢を見直す必要が出てきました。ペヤングソース焼きそばにゴキブリが見つかったことをきっかけにペヤングは自社の設備を抜本的に見直し、異物が混入しない環境を構築することになりました。大規模な消費者が何かを訴えると、企業のビジネスモデルは顧客志向に矯正されてしまうのですね。

これまでのマーケティングは、販売に関係する全職能の遂行を意味するにすぎなかった。それはまだ販売である。われわれの製品からスタートしている。われわれの市場を探している。

マーケティング活動をしますと言って、CMを作る、有名人とコラボする、チラシを配布する、販売チャネルを増やす、これは販売活動でしかないんですね。「良い商品ができたから、これを欲しいと思う市場はどこだろう」と探すのはマーケティングではないんです。

これに対し真のマーケティングは顧客からスタートする。すなわち現実、欲求、価値からスタートする。「われわれは何を売りたいか」ではなく、「顧客が価値ありとし、必要とし、求めている満足がこれである」と言う。

ほとんどの企業が「自社の製品をどう売るか」と言う話に尽きてしまいます。本当は顧客が価値ありと認めて、必要であると感じていて、求めているものを企業は提供するだけでいいはずなのに、それが出来ない。

実のところ、販売とマーケティングは逆である。同じ意味でないことはもちろん、補い合う部分さえない。もちろん何らかの販売は必要である。

販売とは商品起点。自分のものを売るための手段を考えること。オンライン、店頭、広告、テレビCMなどですね。マーケティングは顧客起点。顧客が求めているものを考えること。顧客が何に価値を感じているのか、どんな体験をしたいのか、商品を買うならネットがいいのか、それとも実物を見たいのか。販売とマーケティングは明確に区別しないといけません。

だがマーケティングの理想は、販売を不要にすることである。マーケティングが目指すものは、顧客を理解し、製品とサービスを顧客に合わせ、おのずから売れるようにすることである。

徹底的に顧客を研究し尽くせば、顧客が求めているそのさきに商品を置いておくだけで完結する。商品がわざわざ顧客の視界に入る必要がないんですよね。

例えばアメリカのザッボスという靴のオンライン販売店があります。この企業のホームページにはデカデカとコールセンターの電話番号が書かれています。そして電話すると10分、30分、1時間以上でも何時間でも電話対応してくれます。質問内容も靴に限らず、どんな話題でもOK。ピザを食べたいなんて相談もあるそうです。こんな常識破りな企業形態ですが、毎年売上を伸ばしています。ザッボスがなぜここまで電話対応に力を入れるのかと言えば、ザッボスにとって電話対応は顧客の欲求を直接伺える機会と捉えているからです。だから真摯な受け答えを心がけるし、ザッボスの電話対応に満足した顧客は靴をザッボスで買うという好循環が起こっています。

顧客が求めているものをただ準備するだけ、それが企業活動におけるマーケティンです。

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ドラッカーが言うマーケティングの重要性が分かっていただけましたでしょうか。次回はでは顧客の欲求を見つけてからどうすれば良いのか。イノベーションについて考えていこうと思います。

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