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自己紹介part2(フランスでの2年半)

Bonjour! みなさんこんにちは。
フランス語でいうナマケモノの「ぱれすぅ〜(paresseux)」です。

今回は、最初の自己紹介記事で濁してきたこと、「フランスでぱれすぅ〜は何をしてきて、現在進行形で何をしているのか」、を紹介しようと思います。

というのも、これまでのブログで書いてきたことは、日本にいた時の話(主に編入)、フランス生活のちょっとした衝撃、リールという街についての概要がメインでした。そう、過去を回顧したり、一般向けの紹介記事ばかりです。

しかし、このブログを開設した主な目的の一つは、「今フランスで何を勉強して、どうやって過ごしているか」を残すこと。ぱれすぅ〜は怠けることを愛する性でありながら、平日は大忙し。異国の地にて、バイトと勉学に励む学生です。

SNSで私生活を断片的に共有できる時代になったものの、写真を取ってない大半の時間をどう過ごしているかは自分しか知りません

(というのも、ぱれすぅ〜は連絡がマメではなく、家族や友人にメッセージを送るのも稀。現在はインスタのストーリー写真が安否確認の手段で2週間更新しないと連絡がきます。フランスに来て、SNS媒体を5つ掛け持ちしなきゃいけなくなり、かつemailも個人用・学校用・バイト用を4つ掛け持ち、そして学校とバイトのプラットフォームを3つ抱える状況。ぱれすぅ〜にとっては、「言語関係なく毎日全部を確認するのがめんどくさい」が正直な気持ち。また、ぱれすぅ〜からあまりに連絡が来ないためか恋人の方から、頑張って書いたであろうカタコトの日本語メッセやフランス語の挨拶メッセがくる始末…。彼の頑張りに応えるべく返事するようにしたり、苦手だった電話で話すようにしたりはしてますが…。ズボラな彼女でごめんよ〜😓)

というふうに、チャットに関しては結果的にゆるゆるな「ぱれすぅ〜」になっています。

話は戻りまして、そんな連絡不精なぱれすぅ〜のフランス生活約2年半の全貌を、若干はしょりながら書いていこうと思います。


そもそもなぜ、「バレエが好きすぎて人生が一変してしまった大学生」とプロフに書いているか

それは、「自己紹介」や「フランスに留学するまでの道のり」の記事でも書いていいますが、簡潔に言えば

6歳でバレエに出会い8歳で見せられたバレエ少女が、18歳で一度は夢やぶれて他の道を選ぼうとしたけど、バレエが好きな気持ちを諦められず、20代前半で再渡仏を決心。現在、ダンサーとは違う道で舞踊関係の職に就けるよう、フランスで研鑽を積んでいる最中だから

です。

フランス1年目「リール大学・舞踊研究科学士3年(最終学年)に編入」

日本で大学4年だった当時、日本の大学院の準備もしつつ、campus France経由でフランスの大学も受験していました。

ただ、ぱれすぅ〜の場合、外大では「言語文化学部」であったことから、卒業論文で舞踊を選択して参考文献は読み漁っていたものの「舞踊学」そのものを専攻していませんでした

そのため、いきなり修士から入るのではなく、「ベースとなる知識を身につける時間が必要」、ただ「フランスでの学生生活が長すぎると経済的に大変」と思ったことから、学士課程に編入するという形で受験しました。結果、リール以外にも合格をもらっていたのですが、高校時代パリに留学経験があったり、すでにフランスの学生都市を見て回った経験があったりしたぱれすぅ〜は肌感的に「QOLと学生生活を両立できそうなのはリールだ」と思い、迷わず選択しました。

リール大学での正規留学一年目は、結論からいうととてもきつかったです。
なぜかというと、

  • カリキュラム的に、授業が常に少人数制でずっと同じメンバー。そのため、すでにグループが出来上がっており、編入生は国籍問わずその輪に入りづらい(私の他にフランス人男子が編入してきていたが、彼は不登校になり退学した)。

  • 現地生徒は2年間でリール大学流の「舞踊学」をすでに体得しており、先生方の評価のツボがわかっている。一方で、編入生はレポートの書き方すら危うい(日本よりレポートの自由度は高いものの、先生の好みがすごい反映された成績になりがち。学士3年目ではみんな慣れているためか、先生からの評価方法の説明がない)。

  • フランスの大学は進級が難しく、入学時は50人ほどでも3年時は15人ほどに減っている。その小さな輪での2,3人のグループワークが多く、そのグループ全体の評価がそのまま成績の点数になる。そうなると、生徒同士は慣れている相手を選びがちになり、成績を落とす原因になりそうな編入生を追い出すこともある(実体験)。

  • 私がいた学科に外国人はいなかった。話したり書いたりで成績がつけられる大学の講義では圧倒的不利。

などなど。

そんな中でも、言葉がわからないなりに頑張っていれば、先生方や生徒の中に救ってくれる人も出てきます。
また、大学とは関係なく出会った人が心の支えとなってくれたことも。リールに留学した初日からシェアハウスに住んでいたぱれすぅ〜は、そこで出会ったフランス人の方に色々お世話になりました。留学当時は今以上に言葉に不自由で聞きづらかっただろうに、その人はちゃんと待ってくれてアドバイスもくれました。本当に感謝🥲

リール大学の舞踊研究科では、主に舞踊に関する哲学、歴史文化学、経営学、振付分析学、解剖学、映像技術、映画などがあり、舞踊に関する視野を広げる上でとてもいい経験ができましたが、日々ストレスの連続で、11月、12月、2月にある1,2週間バカンスを迎えるたび、心が安堵していたのを覚えています。
(なにせ、日本の大学みたいに自分で自由に履修するのではなく、大学側がゆるーく決めたであろうスケジュールに沿って受講する必要があり、週によっては5日間8時間授業が続くことも…。何よりきついのは、フランスの講義は先生がひたすら2〜4時間喋り続け、黒板やパワーポイントでまとめてくれる先生はいないので、ひたすら聞いたことを書き写す状態なこと…。ハードに尽きます😇)

もちろん大学の授業だけだと煮詰まってしまうので、大学とは別で地元のバレエ教室に最初は週に2回通い、1月からはバレエ教師国家資格の実技試験のための準備を始め、週に4回は踊っていました。大学は週に5回あって、毎週スケジュールが変わるので調整が難しかったですが、学士3年に関しては再試なしで卒業できる成績をとり、同時並行で進めたバレエ教師国家資格の実技試験にも合格し、リール公立舞踊・音楽専門学校に入学が決定!

また、4月から同時並行で進めていたリール大学院入試パリ国立コンセルバトワールのとある課程にも合格しました(後述)。

フランス2年目「3つの課程に同時進学、軽くバイトも始める」

えっどういうこと?
と考えているそこのあなた。

こうなった根本の原因は、滞在許可証の更新時期が関係しています。
経緯をお話ししますと、

①願い:バレエ教師国家資格の準備課程に入る

②問題:この課程に入るためには実技試験の合格通知が必要→結果が出る時期が遅くて、滞在許可証が更新できない

③解決策
・リール大学の修士課程を管轄する教授に相談:バレエ教師国家資格の準備課程とリール大学院修士課程の併願を勧められる
・以前から興味を持っていたパリ国立コンセルバトワールのベネッシュ舞踊記譜法に興味をもち、一応出願

④結果
・リール大学修士課程、パリ国立コンセルバトワールに合格→滞在許可証の更新を申請
・遅れて、実技試験の合格通知も届く→リール公立の舞踊・音楽専門学校のバレエ教師国家資格準備課程に出願→1ヶ月後、合格通知が届く。

⑤合格後の選択
・教授の指示のもと、リール公立の学校に相談を持ちかけて、校長から呼び出しを受ける

どうやら、この三つの課程の先生方は互いに知り合いで内情をよくわかり合っていたようで、親身になって相談に乗ってくれた

結果、3つの課程を同時並行で進めることを決意

というふうに、自分の一存ではなく、周囲のスペシャリストとの相談を経て決定したこの道。結果として、3つ同時はやはり難しかった。

当初の予定では、
リール公立(国家資格):月午前、木・金に終日授業。
リール大学(修士):月午後・火・水の授業は受けて、他の曜日の受けられない授業は来年に回す。
パリ国立(舞踊記譜法):月に1回、金・土・日・月に終日授業。その週は、リール公立学校の方には欠席願いを提出。

みたいな感じで進む予定でした。

ところが、蓋を開けてみれば修士課程が思いのほか重く、スケジュールはしょっちゅう変更され、グループワークが多かったことから、修士の生徒間の話についていけなくなり、どんどん疎遠に。
実は同時期に、火・水の授業時間外に大学の日本語チューターのバイトもしていたぱれすぅ〜。チューター以外は大学にいることが若干苦痛だなと思っていました。

その一方、リール公立の国家資格の学校は、カリキュラムが充実していてとても楽しく、パリ・コンセルの舞踊記譜法のカリキュラムと共通した点が多々あり、相乗効果を感じる場面が多々ありました。

例えば、リール公立の方は、国家資格の試験(音楽、舞踊史、解剖学、指導法の4つ)のための対策的な講義だけでなく、振付学の授業もありました。その授業では、振付理論を使って自分たちで動きを作り、応用させ、舞台上でそのプロセスを発表しながら実際に踊る、といった取り組みをしていました。この振付学という学問は、ラバン・ノーテーションという舞踊記譜法の視点から展開されており、パリ・コンセルで学ぶベネッシュ・ノーテーションと親戚関係にあたります。
つまり、リール公立の振付学は「指導するために必要な分析力を身につけるための技術」、パリ・コンセルでは「舞踊譜に残された分析的な資料を書く・読むことで、生きた動きを再構築する」という若干の目的の違いはありつつも、必要とされる能力は類似していました。

こうした状況の中、修士課程を続行するのは難しいと思いつつ休学しようとしたその矢先!
なんと!
学費の問題が…。

通常、リール大学の修士課程は年間243euros(2022年当時、約3万5千円)でした。しかし、一年留年しもう一度修士1年をしようとすると、EU圏外の学生は3700euros(55万円ほど)払わなければなりません。
すでに他の課程2校でそれぞれ500-600euros払っている身からすると、一番やる気の入りきらず続けているか迷っている課程に払うのはさすがに…。かつ舞踊の世界では修士よりも、国家資格の方が職の選択肢が広がるようにも思いました。
また、パリ・コンセルやリール公立で人脈を広げた後、心に余裕がある時に研究対象を決めた方が面白い研究ができるような気もして…。
そうして、修士は一旦断念しました。

そうこうしているうちに国家試験の「音楽」の試験が5月にあり、無事合格
あたふたした一年でしたが、それなりに楽しんで終えられました。

フランス3年目(現在)「2つの課程で専門性を高めつつも、アルバイトもちゃんとやるようになる」

リール公立(国家資格)とパリ・コンセル(ベネッシュ・ノーテーション)の両方に進学中の現在。

それぞれ、去年よりもさらに専門性の高い勉強をしています。

国家資格の方は、「指導法の試験に向けての対策の授業や研修が増えました。
例えば、先日リール・オペラ座の取り組みに参加する研修がありました。
というのも、

シュトカウゼン作曲のオペラで招待されたプロの演奏家たちが、小中学生向けにミニコンサートを開催するプロジェクトを主催側が企画。
私を含む同課程の同僚はコンサートで演奏される音楽から着想を得て、ダンスのミニ・アトリエをオペラ座の広間や階段、スタジオなどで催す

というものでした。

なぜこのミニプロジェクトが立ち上がったのかというと、音楽やオペラのバックグラウンドがない子供たちが、「動き」を通して音楽の特徴を掴み、ミニコンサートをより楽しんで聞いてもらうためでした。例えば、シュトカウゼンの音楽は、メロディーがいわゆるクラシック音楽のように連続的ではなく、バロック音楽から続く音楽コンテクストを打ち砕くような不定期なリズム・音感です。そのため、ただ聞くだけでは飽きてしまいがち。そこで、ダンス教師門下生たちは、そのリズム感の不規則さを楽しんで聴けるように「動き」を提案します。

アトリエは二人1組で、各々が2日間で計12回やりました。私のグループは「空間把握+音と動きの抑揚をリンクさせる」といったテーマでアトリエを構成しました。

子供たちは良くも悪くも正直で、踊り経験のない集団をフランス語で率いることは大変でしたが、ペアを組んだフランス人の同僚に助けてもらい、なんとか無事終えられました(ほっ)。


一方、パリ・コンセルのベネッシュノーテーションは、より難しい内容の記譜の練習をしつつも、「舞踊譜で読んだものを誰かに伝える」だったり「舞踊譜をより深く分析する力を身につける」といったフェーズに入りました。
この課程に関しては1期と2期があり、今年は1期を終える年のため、たくさんの課題があるほか、6月には最終試験と2期の入学試験があります。
2期はより研究者的な課程となり、修士と同等の資格にあたります。私はこの勉強が今までやってきた舞踊の勉強の中で一番好きで、あわよくば生業にならないかなぁと思うくらいのめり込んでいるので、来年も続ける予定です。
ただ、来年は国家資格の最難度の最終試験があるので、2期に進む場合は、ベネッシュの研究は後回しになるかと予想してます。

そのほか、今年度頑張っていることは、アルバイト。
週に一回日本食レストランで終日、そして日本語教師もやってます。
元々、飲食や教育系のアルバイトは日本でやっていたので、生活リズムに加われば案外上手く行ってるようにも思うのですが、やはり日本語を教えたり、日本文化を説明するのは大変です。

例えば、日本食レストランでは、
「このレストランが他の日本食レストランと違うのは何か」みたいな質問をフランス人にされたり。

日本語教師は、ネイティブだったため気づかなかった日本語の難しさを教えるのに若干苦戦してます。英語やフランス語を教えるよりも難しい時があり、日々youtubeやネットでの先人の資料を参考にフランス人が納得しそうなロジックを試行錯誤しながら見出して教え学ぶ日々です。


まとめ

ここまでの経歴を軽くまとめますと、

1年目:リール大学編入・バレエ教師国家資格の実技試験対策
→2年目の教育機関3校に受験し合格、実技試験も合格

2年目:修士課程・バレエ教師国家資格準備課程・ベネッシュ記譜法の3課程へ同時進学するも上手くいかず+ちょっとバイトを始める
→修士は経済的・時間的余裕がなく中退、国家資格の一試験通過、2校無事進級

3年目:バレエ教師国家資格準備課程・ベネッシュ記譜法を続ける+バイトの比重が増える

みたいな感じです。

もっとわかりやすく書きたかったですが、日々膨大な情報の中で生きているので、簡潔化が難しかったです。
一つ言えることは、学生生活はまだ続くということ。
バレエ教師国家資格が順当に取得できたとしても、就職できるとは限らないと周りからよく言われていて、これからも苦難は続くかもしれません。

ただ、私はフランスに決めた時点でバレエを一生愛すると決めたようなものなので、なるべく学びを続けていけるようにこれからも頑張っていく所存です。

最後まで読んでくださりありがとうございました。
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では〜!
À bientôt!


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