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地頭力を鍛える(作者 細谷功)

本の紹介です。
地頭力という日本語はないですが、本書では地頭力=「思考能力が高い」と定義して、地頭力の大切さ、トレーニング方法を解説した本になります。
問題解決や未知の課題を解決する上でも有用な方法が記載されています。
早速ですが、私の結論です!

私の結論

地頭力を鍛えるにはフェルミ推定の一択

本書はフェルミ推定が問題解決の縮図と語っております。フェルミ推定を使った問題解決を実施すれば、『3つの思考力』(結論から、全体から、単純に考える)を駆使する必要があり、地頭力の構成要素を鍛える事ができます。まずはこの手法を使い倒して習慣化することが重要です。

以降で本書のポイントを紹介します!

本書のポイント

1.フェルミ推定で地頭力を鍛えるには?

本書では「日本全国に電柱は何本あるか?」という例題を出しています。このような問題を3分で解く際に自分の知識の中でどのように考えて問題を解くかがポイントになってきます。下記でそのポイントを説明します。

①アプローチ設定
最初はどうすれば電柱の数が計算できるだろうと考えます。ここでは「単位面積当たりの本数を市街地と郊外に分けて総本数を算出する」という方法を取っていますが、「全人口の戸建てorマンション、家族構成で分けて総本数を算出する」自分は考えました。自分で設定することが重要です。

②モデル分解
次に対象をモデル化して単純な要素に分解します。解答例でのポイントは「市街地と郊外で電柱の密度が違う」「単位面積当たりの本数と総面積がわかれば総本数が計算できる」という分解をしています。時間内に計算できる適当な粒度に因数分解するかがポイントです。

③計算実行
②で因数分解したポイントに定量的な仮説を加えて計算していきます。
例えば、「市街地:50m四方に電柱1本 郊外:200m四方に電柱1本」
「日本国土総面積は1500km✖200km(新幹線の東京-博多1200kmと知っていた場合に計算してみる)」というように仮説を含めた計算である程度の定量化ができます。

④現実性検証
①②③でひとまず結果が出ますが、現実のデータが入手可能な場合は概算結果がどの程度現実に近いものかチェックできます。実は電柱の本数はNTTから数字が公開されています。例えば、市街/郊外での電柱密度が妥当だったか?等を振り返るのにも有用です。目安として本問に関しては「真実」の数値と一桁以内の誤差に収まっていれば「合格」です。

一連のフェルミ推定のプロセスを紹介しましたが、前述した基本プロセスは地頭力の基本思考(仮説思考力、フレームワーク思考力、抽象化思考力)を備えており、とても良いトレーニングになります。

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2.フェルミ推定のビジネス応用方法

次にフェルミ推定を実際のビジネスに応用する方法について解説していきます。我々の中には「検索エンジン中毒」「情報コレクター」「完璧主義」「猪突猛進」「セクショナリズム」、「経験至上主義」のような思考回路がひそんでおり、これらが具体的にフェルミ推定の精神を学ぶべき対象として挙げられます。ここではその中で2例を紹介します。

①検索エンジン中毒
インターネットの検索エンジン普及によって指数関数的に増殖している可能性が高いです。具体的な事例は以下が挙げられます。
・頭が働くより先に手が動いて検索エンジンにキーワードを入力する
・検索結果を鵜呑みにして、そのまま答えとしている
・その結果として考える力が退化している

処方箋としては仮説思考力がポイントで以下のような習慣づけが必要です。
・とにかく自分の頭を使って考える癖をつけること
・仮説を立ててから情報収集や分析を行うこと

②経験至上主義
具体的な症状としては、以下が挙げられます。
・自分の経験のみを行動のよりどころとしている
・自分の置かれた環境を実態以上に特殊だと思っている
・事象を一般化して議論することは嫌いである

処方箋としては抽象化思考力がポイントで以下の習慣づけが必要です。
・自分の置かれた環境が必ずしも特殊でないと認識して他の世界から学んでいく姿勢をもつ
・一般化や抽象化によって、応用力を広げる意識をつける

フェルミ推定は個別の問題を解けるようになるよりも、その基本精神やプロセスを身の回りの問題解決に適用していくことが重要な意義であり、大切なことです。

最後に

地頭力という言葉について今まで明確な定義がなかったですが、本書では地頭力を3つの思考力に分解して具体的に習慣可能なプロセスまで落とし込んでくれており、納得感を感じながら読むことができました。
興味がありましたら是非、詳細は本書でご覧ください!

作者:細谷功

1964年神奈川県生まれ。 東京大学工学部卒業。 東芝を経てアーンスト&ヤング・コンサルティング(ザカティーコンサルティング→クニエの前身) に入社。製造業を中心として製品開発、マーケティング、営業、生産 等の領域の戦略策定、業務改革プランの策定・実行・定量化、プロジェクト 管理、ERP等のシステム導入および M&A後の企業統合等を手がけている。