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(8) 育児のシンプル化

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シュタイナー親子教室の親の会で、最初におすすめされた本は、キム・ジョン・ペイン著、「Simplicity Parenting」という本でした。

(日本語にも訳されているそうですが、私は原作の英語版を読みました。邦題は、「ミニマル子育て」みたいです。ご参考までに。)

「Simplicity Parenting」との出会い

この本との出会いは、親としての私の人生を大きく変えました。大袈裟ではなく、今までの母親としての私の考え方をいったんバラバラに解体し、新しく組み立て直して、生まれ変わらせてくれた、といっても過言ではありません。逆に言うと、この本に出会ってから、私は世の流れとは反対方向に舵を切り直したとも言えます。一般的に、この本で書かれている概念を日々の育児に適用している私の周りの親御さんの数は決して多くないからです。でも、それは育児のシンプル化に賛同する親の数が少ないことを意味するわけではなくて、現代を生きる私たちが近代的・商業的な世の流れにいかに飲み込まれ、この本で書かれているような視点に気づかないでいるか、と言うことに尽きると思います。実際に、私がそうであったように・・・。私はこの本を読んで、まさに目から鱗、青天の霹靂、文字通りの大衝撃と共に、既成概念が覆され、育児がずっと楽チンになりました。そして、楽しくなりました。あ、「楽(らく)」と「楽(たの)しい」は同じ字を使うんですね。今書いていて気づきました。笑 話が逸れてしまいましたが・・・。

なぜ育児のシンプル化が必要?

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この本の冒頭で、なぜ育児のシンプル化が必要なのかが詳細に書かれているのですが、私なりの解釈をまとめてみます。(あくまで私の解釈なので、著者の言う正確な意図を知りたい方は、是非本を読んでみてください)

子供達は、幼少時代に、たっぷりゆっくり流れる時間の中で、自己と他者を知りながら、生きるとはどういうことか、を模索していく惜しみなく愛情を注いでくれる家族の温かな絆に守られ、安心して、研ぎ澄まされた五感でこの世界の美しく、善いものを感じ取っていく好奇心とワクワク感に心躍らせて、毎日時間を忘れて遊びに没頭し、新たな発見に歓喜しながら、さまざまなことを学んでいく

そう言った体験を繰り返して、自己を学び、他者との境界線を知り、未知の世界を探訪しながら、成長を重ねていく。

しかし、現代を生きる子供達は、そういった機会を奪われている、とキム•ジョン•ペインは言うのです。

なぜかー。

それは、現代社会が、全てにおいて、「too much: 過剰」な世の中であるからだと言います。

Too much stuff: 過剰な物質
Too much choices: 過剰な選択肢
Too much information: 過剰な情報
Too much speed: 過剰なスピード感

有り余る莫大な量の物質に囲まれ、過剰な選択肢に追いかけられるように決断を迫られ、必要以上の情報がひっきりなしになだれ込み、慌ただしく息をつく間もないスピードで毎日が過ぎて行く。

この狂ったような忙殺の日々、常に時間と締め切りに追われるプレッシャー、何一つ落ち着いてゆっくり取り組むことができない日々、そして精神的な錯乱と物理的な妨害が、子供たちから神聖な幼少期を奪い、彼らの未来を脅かしている、というのです。

いや・・・もうその通りですよね。

そして、もう一つの重要なポイントとして、そういった世の中に生きる私たち親の子育ての本能や直観力が劇的に劣化・鈍化していることも触れられています。つまり、日々の生活に余裕がなく、落ち着いて我が子を観察してあげられなくなっている、と言うんですね。そうすると、子供たちの精神的な不調を見逃してしまったり、気付くのが遅れることが増え、ゆくゆく子供たちの未来に取返しのつかないダメージを与えてしまう可能性が高まると警鐘を鳴らしてくれています。

育児における4つのシンプル化

育児のシンプル化の必要性に深い共鳴を覚えた私は、一体具体的にどうやってシンプル化していけば良いのか知りたくてたまらなくなりました。不思議なのですが、当時の私は、とてつもなく良い変化がもたらされる予感に夢が膨らみ、自分の胸にむくむくと希望が湧いてくるのを感じました。きっと、自分の中でも、当時の状況に、潜在的な危機感を持っていたのかもしれませんね。

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さて、キム・ジョン・ペインがシンプル化を提唱する4つの分野があります。

Environment・・・子供を取り巻く環境
Rhythm・・・子供の生活リズム
Schedule・・・子供のスケジュール
Filtering Out the Adult World・・・大人の世界からの子供の守り方

この4つのシンプル化の分野を知って、出来るところから、出来る範囲で、私なりにシンプル化を実践してみたいな、と思ったのが今から3年前の2017年秋。具体的に、私がどのようなペースで、何をしていったのか、引き続き書いていきたいと思います。


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