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「頭の良い子」に育てたい?

知的好奇心や子育てのエビデンスに関心がある私。それってやっぱり頭の良い子を育てたいんだよねというイメージを持たれることもあると思うんです。「頭の良い子」をどう捉えるかにもよるとは思いますが、私の考えをシェアさせてください。

勉強の先取りではなく養いたいのは物事に取り組む姿勢

はじめにこれだけは書いておきたいのですが
私は息子を単に「勉強ができる子」に育てたいと思っているわけではありません。

「勉強ができる」にも様々あると思いますが
私がここで言うのはテストで高得点をとると言う意味での「勉強ができる」です。
知的好奇心を高めることに親として関心があるけれど
その目的は学校で好成績をあげ、一般的に偏差値の高い学校へ入れるためではありません。

「知りたい」という好奇心に応えることでいずれ自発的に学ぶ姿勢の土台ができていくんだろうと思います。その延長で自ずとテスト勉強もできる子になるかもしれない。
逆にテスト勉強は苦手でも全く違う力が花開くかもしれません。
結果的に息子が望み、入学した学校の偏差値が高かったということが起これば
それは息子の希望が叶って喜ばしいけれど
それはあくまで結果であって、私にとって目指すべき到達点ではありません。

ただし「勉強する」ことが重要な局面と言うのは必ずあると思います。

その時が来たら、もちろん全力でサポートしたいですが、乳幼児期の今は知識を詰め込むような勉強の先取りよりも、生きていく上で基本となる様々な物事に取り組む姿勢を育むことに重点を置きたいと考えています。

エビデンスが示す幼児期に重要なこと

これは私個人として幼い頃の勉強の詰め込みは自分がやられてもきっとストレスだよね、というのもあるんですけれど、教育分野で興味深いエビデンスも示されています。

その中でも様々な文献で言及されている「ペリー幼稚園プログラム」という研究実験。

教育上のリスクがあると考えられる低所得家庭の子ども(3〜4歳)に対し行われた教育実験で、1960年代に始まりその後40年以上に渡って追跡調査も実施された研究です。子どもたちを2つのグループに分け、一方には幼稚園で幼児教育プログラムを受けてもらい、更には専門家による家庭訪問や親(もしくはその他の養育者)にも一定の教育がなされました。もう一方には特に何もせず、その後の人生がどうなったのかを個人の能力、発達の状態、生活状況等の点から追跡したというもの。

何が分かったのかというと、幼児教育には確かに効果が見られ、幼稚園でプログラムを受けたグループの方が小学校に入学した数年間は好成績であったそうです。ところが、注目すべきはその後で、小学校の中盤辺り、だいたい8歳くらいになると学力の差は縮まっていき、結果的に両グループに差は認められなくなったそうです。

では幼児教育プログラムは成人してからの人生には特に効果がなかったんでしょうか?

そうでもないんです。

子どもたちが40歳を迎えた頃、プログラムを受けたグループの生活状況は受けなかったグループよりも良いということが明らかになっています。具体的には、収入の高さ、持ち家を所有している率の高さや犯罪率の低さ等から示されました。

この実験を率いていたノーベル経済学賞受賞者でもあるヘックマン教授らは幼稚園でのプログラムが、非認知的な面、例えば自制心・粘り強さ・学びへの動機付け等を育んだことこそが後の人生に影響を与えた面を分析から指摘しています。

プログラムの重要性は、早期に学力を上げることにあったのではなかった。

学びへの姿勢が育まれていたことにあったのです。

私が「様々な物事に取り組む姿勢を育む」ことを重視したいと考えるのもこういった知見に裏打ちされている面があります。

この「非認知能力」は特にここ数年日本でも注目を集め始めているテーマかと思います。これについては稿を改め、私が文献等から学んだことをまとめたいと思っています。

学びを創造し続けることができるという人間の素晴らしさ

個人的な考えですが、人が持つ性質の一つとして学びを創造し続けることができる
という点があると感じています。

何歳になっても人は新しいことにチャレンジし、そこから学び、何かを得て自らの人生を豊かにしていくことができる。
簡単ではないかもしれないけど誰しもがそんなポテンシャルを持っている。

それってなんて美しいんだろうとさえ個人的には思うんです。

そして、そんな学びを創造し続ける態度を息子にも備えてあげたい。
どんなことに取り組むにしても自分で学びを創造し、身にしていく力をつける。
そのために彼の幼少期に私が親として手伝ってあげられることはなんだろう。

そんな思いが根底にあります。

※参考文献

国立教育政策研究所(2017) 「非認知的(社会情緒的)能力の発達と科学的検討手法についての研究に関する報告書」

中室牧子(2015)「『学力』の経済学」

#子育て #知的好奇心 #非認知能力 #社会情緒的スキル #幼児教育

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