短編小説『今夜はカレー』
『今夜はカレー』
スパイスからカレーを作った事がないので死なない。彼は確かにそう言った。
私が彼と出会ったのは、まだ夏の蒸し暑さが残る季節だった。その日、私はいつも通りに登校するふりをして、学校をサボった。別に、本当に、なんとなくだ。お母さんに作ってもらったお弁当だって保冷バッグに入れて持っていたし、教科書やノートが詰まったリュックだって背負っていたし、きちんと行ってきますと言って家を出た。けれど、まだ朝だというのに僅かに熱を含んだアスファルトの上を歩いている内に、学生の