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マサチューセッツ工科大学の芸術教育

科学やテクノロジーの分野で世界をリードするMIT(マサチューセッツ工科大学)。

籍を置いたことのあるノーベル賞受賞者は90名を超えるそう。

科学や技術の分野で世界をリードするMITですが、ここにはちょっと意外にも「人文学・芸術・社会科学」学部というのがあります。

その中の「アート・科学・テクノロジーセンター(CAST)」では、アートと科学やテクノロジーの融合を図り、「自然から学び社会とつながる、社会へ生かす」をコンセプトに研究教育活動をしています。

創設者はMITシンフォニーオーケストラの指揮であり作曲家でもあるエヴァン・ジポリン教授。

その様々な活動の中の一つに、アートを通じて社会問題を解決するというプロジェクトがあります。

ここではVR(ヴァーチャル・リアリティ)を使用します。

その中で被験者は最初ある部屋の中にいて、廊下を歩いていくと敵の兵士が現れる、という体験をします。

しかしこの兵士を倒してはなりません。

対話をして相手の話を聞き、コミュニケーションを通じてなるべく相手の立場を理解する。

「相手を一人の人間として見る」という体験をします。

その場で相手をやりこめ「論破」するのを得意技とする人が日本ではインフルエンサーとして振舞っています。

しかし本当に科学的・論理的な思考で、お互いの立場でお互いの意見を出し合い、社会として真理に近づいていく動作と言うものは、こういう「対話」に基づいてこそ成立するのではないでしょうか?

他にも、難民キャンプなどの当事者の立場になって解決策を考える、コミュニティを人間らしくする、などといった体験を通じて、CASTでは社会問題の解決策を考えているようです。

「1960年代、MIT学長は学生を『人間らしく』するために人文学部を創設し、学生たちが社会に出る前に、文化的教養を身につけるようにした。

学生自身をより生かし、より大きな全体を創造していくにはどうしたらよいかを教えたいと思う」とジポリン氏。

「個」を活かし、延ばしながら「全体」と調和させる教育、日本でももっと目を向けられたらと思うのですが。

例えば東大キャンパスと東京芸大のキャンパスは上野・不忍池をはさんで目と鼻の先。

しかし歩いていると互いに敷居の高さを誇るかのような風情を感じます。

音楽と科学、アートと技術、これらの融合の先にひょっとしたら現代社会の抱える多くの問題の解決の糸口があるのかも知れません。

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