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あなたの隣に忍び寄る「陰謀論」

人は不安な時、その不安の要素を取り除きたいと思う。

そのため、不安の要因を明らかにしたい。

「陰謀論」は、そこにつけ込む。

聞いたことありませんか?

国際的なユダヤ人組織が世界を支配している、とか。

「信じるか信じないかは、あなた次第」とかいう決めセリフ、一時期はやりましたよね。

取りようによっては、たとえ内容がデマと判明しても、信じたのはあなたの責任、というexcuse。

不安な心にスッとなじむ「人工地震説」

2022年3月16日、福島県沖を震源としてマグニチュード7.4の地震が発生した際、「これは人工地震だ」という言説がSNSを飛び交いました。

自然の地震と異なり、地震波の波形がP波とS波が分離できず一体化しているとかなんとか、データに基づく「科学的」論拠を示しつつ。

実際にはこれはミスリードであることが専門家によって指摘されています。(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220317/k10013538631000.html
最終更新日:2022年3月17日)

陰謀は、「見つからないように水面下で証拠を残さないように行われる」ので、なかなかに厄介。

検証するのが困難なのはデフォルト、で、まさにそこが信者にとってはうってつけ(笑)。

原因の洗い出し、そんなに単純じゃないかもよ

真の因果関係、つまり原因と結果の関係、着目している問題の要因を洗い出すのは、本質的に困難を伴います。

疫学調査ができているかどうか、時間の経過の中で捉えられているか、見かけ上の要因とは無関係な他の要因が存在しないか、など複雑な問題を考えなければなりません。

そのような面倒な考察の過程を一足飛びに越えて、ある特定の要因に直に結びつける論法には、注意が必要です。
 
 
自然界や社会に存在する問題の多くは複数の要因が複雑に絡み合って起こっているのに、「あれもこれも○○のせい」と、恣意的かつ単純化された図式の中で、陰謀論が犯人探しに便利に使われている実情があります。

問題の元となる要因を単純な図式で指し示す陰謀論は、時として非常に魅力的、特に不安の中解決策を暗中模索している心には。

原因と結果が絡み合う複雑な問題を、それも原因が一つとも限らない問題を、一つの要因に結びつける極度に単純化した思考で片づけるのは危険です。

複雑な問題を複雑なものとして受け止め、要因を洗い出すにはどういうデータを取る必要があるのか、得られた数字の扱いは適切か、過去の経験に束縛された内面のスキーマ(認知心理学上の個人的な判断基準・枠組み)によって判断が不当に歪められていないかなどなど、大いに頭を悩ませて考える、「成熟した大人の対応」こそ求められるのではないでしょうか。

あれやこれやと頭を悩ませ考え抜くステップを、怠ってはならないのです。

スッキリわかりやすい一元的な因果論法に心を奪われないよう、特に魅力的に見える陰謀論的論法にはのめり込まず、多角的な判断を心掛けるのが予防策と言えます。

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