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ベネフィットとコストで考える水素水

最近ジムに通っているのですが、月3000円で「水素水」のオプションが付きます。
契約すると専用のカードがもらえます。
店内に水素水専用のウォーターサーバーがあり、カードを差し込んで自分でペットボトルに注ぐ仕組み。

 こんなところにも浸透しているんだな、と。

「健康になりたい」を突く

傍らの蛇口から出る普通の水ならタダのところをプラス3000円、それなりの出費ですねぇ。

しかし、皆よほどその効果に確信がないと手を出さないかというとそうでもない。
何せジムですからね、利用者は全体的に健康志向が強め。

何かよく分からんけど、普通の水より健康に良さそうな水がサーバーで売られているとなると、気になってつい契約しちゃう人も多いようです。
消費者心理つかんだ客単価の引き上げ、うまい!!(笑)

言うまでもなく、水は私たちが生きていく上で欠かせないもの。
しかしそれに水分補給以上の価値、健康増進だとか癒しだとかいった付加価値を付け高額化する、いわゆる水ビジネスは後を絶ちません。 

本当にその額に見合うだけの価値があるのかどうか見極めたいところですが、その判断はなかなか難しい。

 まあ、業者サイドからすればその困難さに付け入るスキがある、となるわけですが。 

活性酸素除去というが

水素水は、老化を促進する体内の活性酸素を排出する、というのが一般的に知られた効用。

生きていく上では、水と共に酸素吸引も欠かせないのですが、取り入れた酸素の一定の割合が活性酸素となり、その生成自体を止めることはできません。

これが過剰になると細胞を傷つけてがんなどの病気や老化の原因になります。
しかし一方で、免疫機能を担ったり細胞間でのシグナル伝達に寄与したりと、良い働きもしているので、一概にゼロにすればよいというものでもありません。

また私たちの身体には、過剰な活性酸素産出を防ぎつつそれによって受けた損傷の修復を行う「抗酸化防御機能」が元々備わっています。

これには各種酵素のほか、食物として取り入れたビタミンCやカテキンなどが寄与します。

腸内細菌によっても水素ガスが産出される、という報告もあります。

まずは市販品の問題点を知る

 市販の水素水の問題点は色々ありますが、基本的なこととして何をもって水素水の呼称を使用できるのか、その基準があいまいで企業任せなところが多いという点。

国民生活センターの調べ(※)では、水素濃度が表示よりも大幅に低いものや、中には水素が全く検出されない銘柄もあったそうです。

ラット実験では抗酸化作用が認められたという報告はありますが、人間でその効果が出るかどうかは別問題。

現段階では最大限譲歩しても、「医療への応用に向けて研究中」以上のことは言えないのではないでしょうか。

エビデンスが少なく、効果に疑問を持つ医師や科学者も大勢います(ちなみにラット実験はエビデンスとしては認められません)。

あとは個人としてどこに価値を置くか、ですね。

効果に「期待」して利用する、その対価として月3000円は高くない、と利用される向きに対して、私は何も言うことはありません。

水分補給になることだけは間違いありませんしね。

ただ、現状では過度な期待は禁物というところだと思います。

容器入り及び生成器で作る、飲む「水素水」
(独立行政法人国民生活センター)

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