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手放すということ(3)「氷川きよしとミッドライフ・クライシス」

2012年のフューチャーセッション・ウィークから始まった対話イベント「フワクのミライ」。
ミッドライフ・クライシス、いわゆる中年の危機をテーマにダイアログが行われています。

「人生の正午」と言われる40代になると、自分がかつてイキイキと演じていたキャラクターと本来の自分が分離し始めます。

それはまるで「残像」のように周囲の人々を、そして自分さえも捉え、その場に居続けることを強要します。

本来の自分を表に出したいけれど、そのためには一度、今まで演じていたキャラクターを亡きものにしなければならない。

それは自分のIDをすべて失うということ。
果たしてノン・アイデンティティで生きていけるのかと不安になります。

結果、「今のままの自分でいいのか……」と思いつつ変われない自分にモヤモヤし、焦り。

場合によっては無謀な転職をしたり離婚をしたり……と後々後悔するような行動に走ることもあります。

これが「フワクのミライ」で語られるミッドライフ・クライシスであり、残像です。

先日行われたイベントでは、さらに興味深い発言がありました。

「残像問題をたいそう上手く切り抜けたのは、演歌歌手の氷川きよしさんではないか?」

ミッドライフ・クライシスでは自分の中の女性性と男性性の葛藤も特徴的ですが、彼はまさにその葛藤をうまく融合させ、アーティスティックに昇華させました。

ミッドライフ・クライシスを乗り切るためには、「もう、あなたの期待には応えません」と周りに、そして自分に宣言することが必要です。

「これが私だ」と、ある意味開き直ることで過去のキャラクターの殻を破り、また新たに自分を始めることができるのです。

氷川きよしさんは現在42歳。
「これが私だ」と強烈に訴えかけたそのプレゼンスはイキイキとして力強く。

文句のつけようもないくらい完璧なアイコンが誕生したのかもしれません。
彼のこれからの活躍に注目することになりそうです。

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