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病院事務長の立場でマイナ保険証の是非をざっくり考察してみた


忌み嫌われるマイナカード

笑えるぐらい国民から避けられるマイナカード。
そして笑えるぐらい国が国民に押し付けるマイナカード。

保険証連動の肝心の利用率は国民利用が10数%で低迷。厚労省職員に至っては数%とのこと。https://www.mhlw.go.jp/stf/kaiken/daijin/0000194708_00659.html

なんとかポイント付与で国民を誘導しようとしたものの、うまく運ばず。
かと言って、保険証とくっつけちゃうよ!法令で決まったよ!もう保険証は12月2日以降発行しないよ!!って決めちゃったし言っちゃったから反発もすごくなって、なんかごちゃごちゃ。

国民が不安なのは、データ化自体は賛成でも、その具体的運用に対し国への信用がそもそも全くない点でしょうか。

国民は国がやる事をすぐには信用していない

マイナ保険証のメリットは厚労省のHPにある通りかもしれないですね。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_22682.html

病院の事務処理的側面だけを見れば、確かに便利なのもいくつか見受けられます。
減免が手続なしなのは確かにお互いが便利。最近では一人で暮らしていて、サポートしてくれる人がいない患者さんも増加傾向ですので、身寄りがない患者さんや身寄りが遠方の患者さんにとっても色々便利かも。

でも・・・問題は、多くの国民は国がやろうとする新しいことに関して、絶対的に信用していないという大前提が重くのしかかっています。

「本当に大丈夫なのか?」何が大丈夫?なのか、漠然としててわかりませんが、そのような意見が大多数じゃないでしょうか。
私自身もマイナカードの情報の最終的な国の管理が見えないので、漠然とした「大丈夫?」という感覚はあります。
なんせいつも情報ダダ漏れの国ですから。不安になるのはしょうがない。

何か裏があるのでは?

国民を数字で管理する体制に根強い反発の源は、陰謀論?が色々渦巻いている事も一つにあるのかもです。

国も「メリット」しか伝えないのでダメなんでしょうね。
もっとデメリットや国民の疑念も伝えて、その対応策も発信すべきでしょう。
そこの整理というかコミュニケーションを面倒くさいのか、すっ飛ばしてしまってるので誤解が生まれるんだろうなーと思います。
上手い話には裏があるという道徳教育をしつつ、国民には上手い話だけしか押し出さないなら、そりゃ上手くは事は進まないでしょう。

マイナカードと保険証統合の本来の目的

まずは社会保障費の削減に繋げたいことは良いことかと。
日本の税収は昨年でおよそ114兆円
令和3年度の国民医療費はおよそ45兆円

もう税金で医療制度を維持していくのは限界なので、個人負担や地域行政への負担をどんどん増やしています。
かと言って病院経営も国内医療機関の60%が赤字経営です。
国が病院の収益を全てコントロールしていますが、もうこの経営状況では遅かれ早かれ日本の医療は崩壊でしょう。
廃業したくても借金を抱えているので、やめるにやめられない病院がズルズルと増えてきています。

 家で飲まずに眠っている薬が6,500億円以上とも言われています。
みなさんのご自宅にも処方してもらったけど、飲まずに保管されている薬がいくつかはあるんじゃないでしょうか?
事実として患者さんが自身の正しい治療情報を病院サイドに伝えられていないと言う事も多々あります。まぁ医療者側の聞き方に問題もあるのでしょう。

これらから、不要な医療費(誰もが望まない過剰な検査や過剰な投薬)の支出を避け、より実効性の高い効率的な体制に持っていって、国民の健康利益に寄与したいという事でしょう。

また、今の保険証制度ですと、医療機関側の立場で言えば、保険証を持参した方が本当に当人なのかわかりません。
年齢の近い人の保険証を持って来られて受診されても嘘か本当か見分けられない。

保険証は顔写真もないし、まぁまぁあやふやな制度ですよね。
例えば退職時に返納せず、使おうと思えば使えてしまいます。
まぁその場合は病院が最速で翌月に請求したのに戻されて気づくんですが、その場では気付けません。
性善説に頼るのが今の保険(証)制度事情です。

結論

マイナ保険証に関しては、国民は総論賛成、各論反対でしょう
もう少し国民や自治体に丁寧な説明が必要な気がします。

病院はどうなのか?

病院という所は、厚生労働省を如何に敵にしないかという風潮があります。
厚労省の決める点数(収入)でしか経営ができないので、睨まれたら終わりですw
なので、「そうしろ」と言われたら「そうするしかない。」
「お前らの机上の空論にお付き合いはするし、なんでもいいけど、わかりやすく早め早めに制度説明をしてくれ」が本音でしょう。
今回のマイナ保険証の運用については、「医療DX推進体制整備加算」が3段階で算定可能になります。
従順に従属的じゃないと点数あげないよってなもんですね。

医療DXと言う正体不明な旗振りで一括りにしているのがそもそも乱暴な感じもしますが、まぁずっと昔から医療行政ってのはこんなもんです。
「今後こうしなさい」と言われて「そうします」で、動いたら大体いつも「ハシゴを外されて」右往左往するのが国と医療事業者のコントのような関係性。これを二年に一回やってんですからw
大人も子供に自慢できるような大した事は何もやってないですね。
マイナ保険証のような一般的にはドタバタも医療人にとってはいつもの話かなと。

国は一方的にメリットを語るだけではなく、情報弱者の高齢者や、システム利用に疎い全ての国民に向けて誠意を見せるべきでしょう。
数年後にはスマホで対応できるようにと言う話ですが、年金次第ではスマホを維持できない世代が増えてくるかもしれません。
もっと高齢者や年金生活者への配慮が必要なんじゃないかと思います。
病院に来る高齢者には独居や早期認知症の方も増えています。体が不自由な方も多いです。考える力も衰えます。
さらに地域でのサポートにも限界があります。
マイナと保険証と繋げる、、、各自治体の相談窓口労力が凄そう。

さぁ、12月の保険証廃止がどのような結末を迎えるのか
刮目です。






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