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ミーティングのあり方

わたしが商品部長になってから、大切にしていることの1つに、「商品部ミーティング」があります。毎週金曜日の午前中です。
商品部は、わたしが初めての商品部長ですから、それまでは、誰も組織として意識しておらず、商品の方針や仕入の戦略は、各担当部門のバイヤーの個人プレーでした。しかし、方針の共有や、改革を進めていく上で、ミーティングは非常に重要になります。

レベル1:ミーティングを定着させる

2009年、わたしは婦人バイヤーを後任に任せ、商品部に所属しながら、ペガサスセミナーを受けまくり、自社の商品改革を進めていました。この時は、社歴の長いバイヤーの1人が、商品本部長と勝手に名乗っていたので、わたしは「MD長」という謎の肩書きで活動していました。わたしは肩書きにはこだわりがなく、ただの「あだ名」だと思っているので、なんでもよかったのです。
まずは、わたし自身が、会社の実情を調べ、今後どうしたいかを説明する、というのが初期のミーティングの主な内容でした。
例えば、1年間に我が社で売れているSKU数のパレート曲線を作って、5年後の目標SKU数と理想のパレート曲線を設定し、そのためには重点販売を強化しなくてはならない、そのためには・・・と言った内容です。目標を設定して、実際にどういう行動を取るかをバイヤーに説明します。商品構成リストの作成も、この時に誕生した具体的な方法の1つです。
当時は、「ミーティングしま~す」とバイヤーたちを招集しても、「え~」とか、「忙しくて参加できない」とか、「来週でもいいか?」など、悲しい返答ばかりが返ってきました。ミーティング中でも、電話がかかってきたら、電話に出たっきり、全然ミーティングに戻ってこない、配送業者が荷物を届けに来たら、ミーティングを中断して荷物をおろす作業をして、そのままミーティングが再開されない、など、散々でした。
それまでにない、何か新しい業務を追加するということは、大変です。自分の仕事の時間が、裂かれるのがイヤだったようです。もしくは、それまでの仕事のやり方を否定されているような感覚がイヤだったのかもしれません。それでも、めげずに、なんとか毎週ミーティングをし続けました。そして、わたしは、ミーティングのための資料作りや調査などに時間をかけました。

レベル2:課題を見つけて考える

こうして、ミーティングが定着していき、少しずつ商品の標準化が進み、重点販売ができるようになっていきました。ある程度のベースができたところで、2012年にわたしの肩書きは商品部長となり(仕事内容は変わらず)、ミーティングのやり方を変えました。
今までは、わたしが発見した問題に対して、現状はこうで、こうしたら良いのでは無いか、という提案をして、議論をする、というタイプのミーティングでしたが、バイヤーそれぞれにも、問題を考えてもらおうと思ったのです。
バイヤーたちにも、1週間に1つ、何か課題を発見し、レポートを発表してもらいました。発表後には、他のメンバー全員が、その発表に対して、意見を言います。質問でもOKです。
課題は自由です。バイヤーは、発注の締め切りが迫っている取引先やブランドの実績を拾って、仕入に役立てる資料作りをしたり、季節が終わるころに、その季節の総括をしたり、それぞれ、思い思いの発表を始めました。ここでわたしが重要視したことは、「考えて行動する」という「経験」です。「場当たり的」「カン」「バクチ」で仕事をすることを排除したかったのです。なので、発表の内容、その考えや判断が合っているか、間違っているかは、あまり問題視しませんでした。
その代わり、他の人に見せるレポートなので、数字にはカンマ「,」を付ける、小数点以下の桁数はそろえる、文字のフォントは11~12など、内容以前のことは、1から指導しました。

レベル3:他人の意見を聞く、やり方を共有する

発表後に、他のメンバー全員が、その発表に対して、意見や質問をしてみると、大きな発見がありました。バイヤーが、自分の担当部門の特性から、「当たり前」と思っていたことが、他のバイヤーから見ると「おかしい」と思うことがある、ということです。
自分のことは分からなくても、他人のことはよく分かるものです。客観的に見られるからかもしれません。なので、発表後に1人1人が言う意見が意外とと辛辣しんらつだったり、妙に的を得ていたりして、勉強になりました。また、たった1人で悶々もんもんと業務をしていたバイヤーからすると、他のバイヤーがどんなことを考えて発注しているのか、を知ることができて、お互いに良い刺激になりました。「その分析に使っている表、いいですね。わたしも活用してみます」と、いいやり方や、いい考え方を共有できるようにもなりました。
方針を共有し、それぞれが問題点を見つけて話し合う、ここまで来て、ようやく「商品部」らしくなってきました。

レベル4:レポート形式(観察・分析・判断)

ミーティングとは別に、商品部にはレポート提出が義務づけられています。例えば、季節(13週)ごとの商品構成に対するレポートは、「観察・分析・判断」形式での提出が必須で、評価にも直結しています。評価につながる、といっても、レポートの内容ではなく、提出したかどうかだけが評価につながるので、出せばOKです。しかし、この形式でレポートを作成すると、思考が整理され、よい判断が自然と導かれる構造になっています。
なので、ミーティングで発表するレポートは、それまでは形式は自由でしたが、「観察・分析・判断レポート」の形でA4用紙1枚にまとめるように、変更しました。
といっても、「判断」までいけなくてもOK。分析までして、じゃあどうしたらよいか?は他の人の意見を聞きたい、という場合も、よしとしています。
このレポートの形式は、ペガサスセミナーで教えていただいたフォームです。
この形式でのレポート提出を始めてみると、「観察」には、「問題点と、なぜそれが問題なのか」を書かなければならないのですが、そもそも、「それ、問題か?」という課題をあげてきたり、「分析」の欄に書いてある内容が、「観察」に書くべき内容だったり、「判断(応急処置と制度対策)」の欄に書いてある内容が、「気をつけたい」とか、「注力したい」とか、精神面が書かれていて、具体的な行動になっていなかったりと、まだまだです。
今、我が社のレベルは、ここにいます。
※ミーティングには、これとは別に、恒例の「報告・連絡・相談」(ホウレンソウ)コーナーもあります。

さらなるレベルUPを目指して

ビジネスでは、問題集やドリルがあるわけではなく、自分で課題(問題)を見つけて、解決方法も、自分で考え、自分で行動する力が必要になります。商品部は、作業に追われて、考える時間が取れないことが多いので、このミーティングを使って、強制的に時間を作るようにしています。
レポートにまとめて思考を整理し、具体的に行動を起こし、その行動がどうだったのかを、また観察・分析・判断する。これを繰り返すことで、どんどんよくしていきたいです。
商品部メンバーには、資料作成能力やプレゼン能力を、同時に身につけて欲しいと思っています。

が、まだまだ発展途上です。データ分析では、相関関係は分かっても、因果関係を証明するには実験するしかないので、本当は、仮説→実験→検証を繰り返したいのですが、なかなかできていないのが現状です。
店舗(営業)、EC事業部、それぞれの部署でも、観察・分析・判断レポートを導入してミーティングをしたら、いいかもしれません。1人でも多くの社員が考えて行動することで、それぞれが成長し、強い組織にしていけたらいいな、と思います。

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