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ガジュマルとピレアに習って。

給水タイプのプラスチック容器からコンクリート壁みたいな灰色の植木鉢へガジュマルが引っ越した。窮屈そうにしていたガジュマルは、引っ越しが終わりとても居心地が良さそうだ。そうであって欲しい気持ちからそう見えるだけかもしれないが、根元に寄り掛かっているフィギュアのカエルもなんだか眠たそう。

元気がなかったピレアディプレッサの土も替えた。近所の花屋で我が家のピレアについて相談したところ、弱っているところに肥料を与えるよりもまずは根っこを元気にしてあげたほうがよいかもしれないということだったので、まずは土だけ替えてみることにしたのだ。鉢から取り出したピレアの根っこはたしかに細く、ドーナツみたいに真ん中だけがすかすかだった。

世の中は今日から4月らしい。犀川には綺麗なピンク色の桜が並んでいる。芝生の緑と相まって、季節は春ということを改めて感じる。春は苦手だ。終わりと始まりの季節。行き交う人の上着は薄くなり、明るい色のブラウスが太陽の光に反射してまぶしい。他人とは言えバイト先でかなり多くの人と関わっていたからだろう、人疲れしたわたしは、人混みをなるべく避けるために自転車通勤をしている。桜の下を自転車で走る。映画かドラマのワンシーンみたいだな、そんなことを考えながらマスクの下で失笑する。

川沿いに並ぶ薄ピンクと緑、立ち止まりカメラを上に向ける人、芝生の上に並んで座るカップル、犬を連れた人、人を連れた犬。新しい季節にうきうきできない自分が情けないけれど、身構えて始まった3月がようやく終わり少し肩の荷が降りた。同時に新しい不安も感じ始めている。

生きている限り不安はなくならない。不安とともにこれからはじまる新しい1ヶ月、ガジュマルとピレアは新しい土の中で根を伸ばしてくれるだろうか。わたしも彼らに習って、崩れてしまった土台を整える4月にしたい。



最後までお読みいただき、ありがとうございます! 泣いたり笑ったりしながらゆっくりと進んでいたら、またどこかで会えるかも...。そのときを楽しみにしています。