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酔っ払い失敗談を綴っていく②

今日は黒猫の話をしようと思う。

わたしの股間に住んでいた可愛い黒猫の話。


昔銀座のワインと京料理のお店で働いていたときのこと。金曜日の忙しい営業が終わり、案の定〆作業で終電を逃したわたしたちは「金曜だし飲むか!」と営業終了後のお店で飲んでいた。

途中お酒が足りなくなったわたしたちは、近くのコンビニに買い出しに出かけた。料理長とわたしと、そしてバイトの男の子。仕事後の疲労とお酒の酔いでとにかくテンションが高かった。

当時わたしはこの同じお店で働くバイトの男の子に恋をしていた。人当たりがよくて、面白くて、そしてギタリストを目指して福岡から上京してきた男の子だった。たしか当時わりといい感じだった、と記憶している。


 コンビニでお酒やおつまみを山のようにカゴに放り込み、皆でレジに並んだ時その男の子が言った。

「なぁ、なんで股間で黒猫飼っとるん?」

一瞬訳がわからず「ん??」と小首をかしげて彼の顔を見る。

「だから、股間に黒猫がおるんやって!!」

あはははは、と大声で笑う彼の目線の先はわたしの股間部分。

恐る恐る目を落とすと、チャックが全開だった。そしてあろうことかそこから覗いていたのはふさふさとした陰毛だった。


「……ぎゃああああ!パンツ!!どこいった!!」


慌ててチャックを上げようとするものの、無法状態の彼らは「ここにいまっせ~」と存在を全力でアピールしてきて、たちの悪いヤンキーのように絡んでくる。

「あははははははは」

彼の大笑いを聞きながら、無理やりどうにかチャックをあげた(今考えれば、あれはトイレでやるべきだった)

「そうそう、こないだから黒猫飼っててね……!!」

そのあとどうやってお会計したのかも、お店に帰ったのかも覚えていない。とにかくひたすら飲んだ。記憶からあの黒猫を消したかったが、決して消えることはなかった。わたしの愛おしい、マイベイビー。

ちなみにその後彼とは恋仲になった。何が功を奏するかはわからないものである。

教訓:ゴムの緩んだパンツは危険である

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