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「勝手にふるえてろ」をわたしは「二」と見に行った

当時付き合っていた人と、映画館に見に行った。その人と付き合った経緯は友達の紹介。なぜか向こうはわたしを気に入ったらしく、こちらとしてはマイナス点もなかったので、とりあえず付き合ってみた。大手企業につとめていて、服の趣味もあっていて、ちなみに次男。おだやかで、やさしい、そんな感じの人だった。なんでもかんでも、至れり尽くせりで、身体中の筋肉が衰えちゃうんじゃないかってくらい、されるがままだった。

いちども好きといえなかったまま、お別れした。好きじゃなかったから。人生ではじめての受け身のお付き合いだった。友人からは「好きになった人と絶対付き合うよね!」と言われていたくらい、好きになった人を全力で掴みに行く人生だったから。

この彼と付き合う前にずっと好きだった人がいた。出会った頃は向こうに彼女がいたが、すれ違いで別れてしまった。わたしはいちばん仲の良い女友達ポジションに居座ってしまっていて、悲しいことに付き合うことは叶わず、彼はわたしじゃない女の子と結婚してしまった。すごく引きずって、紛れもなく彼はわたしにとっての「イチ」だった。

それから好きになる人もいなかったから、とりあえず「二」と付き合ってみた。こういう人と結婚したらうまくいくんだろうな、幸せなんだろうなとは思った。それなのに会うときに、この人に会いたいんじゃないなとか、好きにならないといけないんだと思ったりして、なんか違うなと思ってお別れすることにした。

イチとは付き合えず、二ともうまくいかなかった。どこかで何かに見切りをつけないといけないのです。


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