【短編】ミナト桜(5/8)
明くる日、若葉は日直の仕事に負われた。日直の仕事は通常、隣の席のクラスメイトと二人一組で行う。しかしそのクラスメイトの女子が朝から体調不良を訴え、二時間目の授業が始まる前には早退してしまったのである。ゆえにすべての仕事を若葉ひとりでこなさなければならなくなった。
特に苦労したのは授業後の黒板消しだった。背の低い若葉は、椅子を使ったとしても、黒板の上部を消すのに目一杯背伸びしなくてはならなかった。ワイシャツやスカートを汚さないよう注意する必要もある。そのせいで休み時間の十