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短編連作小説『透目町の日常』まとめ

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短編連作シリーズ『透目町の日常』をまとめました。基本的には一話完結なので、気になった作品からご覧いただければ幸いです。
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短編連作シリーズ『透目町の日常』を紹介する

はじめまして、四十九院紙縞と申します。 この記事では、唐突に投稿を開始した短編連作シリーズ『透目町の日常』についての話をしていこうと思います。 通りすがりに偶然この記事を見かけたかたに興味を持っていただければ幸いです。 やんわりと世界観の話と、現時点で投稿している作品の紹介をしていきますが、この記事を読まないとこのシリーズの世界観がわからなくなるということは決してありませんので、ご安心ください。 「透目町」とは 物語の舞台となる「透目町」とは、架空の町です。 町の名前

【短編小説】幽体離脱を経験した友達とお喋りする「私」の話

『稀によくあるありふれた日々』 「風邪をひいたときにみる、変な夢ってあるじゃん」  放課後。  なんとなく家に真っ直ぐ帰る気になれなかった私たちは、学校の教室に残り、雑談に興じていた。  中学三年生の秋。  部活は春先に引退し、受験に本腰を入れなければならない時期。しかしそれ故に、どこかで肩の力を抜きたい衝動に駆られる。今日のこの時間は、お互い明確に言葉にはしていないが、息抜きの意味合いが強かった。先へ進む為には、こういう時間も必要なのだ。  それに、今日中に彼女に伝えておき

【短編小説】自称神様見習いが便利屋の「私」に捕縛され〝話し合い〟をする話

『彼岸の名づけ親』 「そこの貴方! 幸せになりたくはないですかっ?!」  八月十五日、昼過ぎ。  午前中の業務が終わり、社用車を職場の駐車場に停めてエンジンを切り、外に出て数秒。  駐車場の日陰に居た『それ』は、私と目が合うと、開口一番にそんなことを言った。  刹那、外は災害級の酷暑だというのに、ぞわりと鳥肌が立つ。  理由はふたつ。  ひとつは、人間の体温すら超える気温の屋外で、『それ』は厚手のコートとマフラーを着込んでいる不審者であるということ。  もうひとつは、『それ』

【短編小説】投稿動画に幽霊が映っていたのでお祓いしてもらいに来た「私」の話

『ゴースト・バイアス・エクソシスム』  私の趣味は、動画投稿である。  誰も行かないような山や海へ遠出する様子を動画に収め、素人なりに編集をして動画投稿サイトへ投稿する。閲覧数は多くない。三桁台ほども再生されれば小躍りしたいくらいだ。所謂、底辺動画投稿者である。  そんな私の投稿動画が、ある日突然、急激に再生数を伸ばし始めた。同時に、動画へのコメントも次々に書き込まれていく。なにがなんだかわからないなりに、どこかの誰かによって動画が紹介されてバズったのだろうか、なんて呑気に