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短編連作小説『透目町の日常』まとめ

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短編連作シリーズ『透目町の日常』をまとめました。基本的には一話完結なので、気になった作品からご覧いただければ幸いです。
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短編連作シリーズ『透目町の日常』を紹介する

はじめまして、四十九院紙縞と申します。 この記事では、唐突に投稿を開始した短編連作シリーズ『透目町の日常』についての話をしていこうと思います。 通りすがりに偶然この記事を見かけたかたに興味を持っていただければ幸いです。 やんわりと世界観の話と、現時点で投稿している作品の紹介をしていきますが、この記事を読まないとこのシリーズの世界観がわからなくなるということは決してありませんので、ご安心ください。 「透目町」とは 物語の舞台となる「透目町」とは、架空の町です。 町の名前

【短編小説】友達(猫)を殺した犯人を捕まえる為に友達(人間)と協力して張り込みをする「私」の話

『はんぶんこの二乗と抱擁』  友達が二人、公園で殺された。  いや、この表現は些か正確性に欠くか。事実に即して著すのであれば、「友達の地域猫が二匹、公園で殺された」である。  私は子どもの頃から、猫と仲が良かった。  それは一般的に動物に好かれている状態というものではなく、本当の本当に、猫に特化していると言って良い。母さんが言うには、赤ちゃんの頃に公園デビューしたその日に、それはもうすごい数の地域猫が寄ってきたそうだ。  さらに、私には猫の話す言葉がわかるということもあり、猫

【短編小説】自称神様見習いが便利屋の「私」に捕縛され〝話し合い〟をする話

『彼岸の名づけ親』 「そこの貴方! 幸せになりたくはないですかっ?!」  八月十五日、昼過ぎ。  午前中の業務が終わり、社用車を職場の駐車場に停めてエンジンを切り、外に出て数秒。  駐車場の日陰に居た『それ』は、私と目が合うと、開口一番にそんなことを言った。  刹那、外は災害級の酷暑だというのに、ぞわりと鳥肌が立つ。  理由はふたつ。  ひとつは、人間の体温すら超える気温の屋外で、『それ』は厚手のコートとマフラーを着込んでいる不審者であるということ。  もうひとつは、『それ』