学生支援緊急給付金(学びの継続給付金)

【※2020年5月26日にFacebookノートに投稿した内容を再掲】


 文科省事業:
  「学びの継続」のための『学生支援緊急給付金』
の申請の手引きが発表された。

https://www.mext.go.jp/content/20200520_mxt_gakushi01_000007321_01.pdf

本事業については既に施行段階に入っているが,学生の不満が聞こえてきたこともあり,問題点について指摘しておきたい。

(1) 対象者について
 対象者は,在学中の
  ・大学生・大学院生
  ・短大生
  ・高専生(4年生,5年生)
  ・専門学校生
で,海外からの留学生,日本語学校生も対象となっている。
しかし,本事業の趣旨の第一番目に,
  今般の新型コロナウイルス感染症の影響で学生等が修学をあきらめるこ
  とがないよう,しっかりと支えていくことが,何よりも重要と考えてい
  ます。
とあり,海外からの学生を対象とすること以上に,国内の生徒・学生の修学継続の視点から,
  ・島や山間部などから親元離れて下宿生活を送る高校生
  ・大学進学を諦めさせてはいけない予備校生
も同様に対象として支えていくべきと考える。

(2) 対象要件について
 申請の手引きによれば,国内学生に対しては6つの対象要件(基準)が挙げられている。
  ① 家庭からの多額の仕送りを受けていない
  ② 原則として自宅外で生活をしている
  ③ 生活費・学費に占めるアルバイト収入の割合が高い
  ④ 家庭(両親のいずれか)の収入減少等により,家庭からの追加的支援
   が期待できない
  ⑤ コロナ感染症の影響でアルバイト収入(雇用調整助成金による休業補
   償を含む)が大幅に減少(前月比の50%以上減少)している
  ⑥ 既存制度について以下の条件のうちいずれかを満たす
   (略)
ここで,この対象要件の設定の背景に,本事業の趣旨の第四番目にある
  ・家庭から自立した学生等
  ・今回の新型コロナウイルスの影響でアルバイト収入の大幅な減少
が根本にあり,要は,対象者として,
  自宅外通学のアルバイト学生
に限ったものである。しかし,学生は
  家庭における被扶養者
であり,
  アルバイトは本人の生業ではない
ので,経済的苦学生と言っても,その生計を支える経済的環境の「構成」が学生によってマチマチなのである。
例えば,経済的苦学生には,今回対象の
  ①自宅外通学でアルバイトで生計をたてる者
以外にも
  ②本人の事情(身障者等)でアルバイトできず親の借金(教育ロー
   ン)・仕送りで生活する者
    ・・・対象要件①の対象外
  ③家庭の事情(ひとり親家庭等)で遠方から高額交通費をかけて自宅通
   学する者
    ・・・対象要件②の対象外
  ④学業の事情(学業・研究専念等)でアルバイトせず貸与型奨学金で生
   計をたてる者
    ・・・対象要件③の対象外
などもいるはずなのである。また,対象要件⑤のアルバイト対象期間が今年1月以降となっているのだが,
  ・学部4年生・修士2年生からの進学生(修士1年生,博士1年生)
  ・高専5年生から編入学した大学生(大学3年生)
はまさに卒業論文作成に追われてた時期と重複しており,アルバイトを控えて親の仕送りや貯金の切り崩しで一時的に生計を凌いでいた者も少なくないかも知れない。
従って,新型コロナ禍でアルバイト事情が急激に悪化したのは理解できるが,そこだけに着目した本事業での救済措置は,上記の通り元々アルバイトに代わる手段で頑張って生計をたてていた経済的苦学生から見れば,不公平感を感じることもあるに違いない。また,世の中,選り好みしなければ他のアルバイトもあるはずなので,本当に経済的に苦しいのなら,何故その選択をしないのかと訝しく思う者もいるに違いない。
このように,経済的苦学生の本人事情,家庭(世帯)事情,学業事情など,その生計は多種多様であることを鑑みれば,上記のような対象要件を付さず,更に(1)で記載した対象者の範囲を拡張して,高校生以上の生徒・学生に一律に給付した方が,税の再配分の点からも,公平性があると考える。なお,高校生以上の生徒・学生は特別定額給付金の対象であることから,対象拡張する代わりに,給付額を本事業の予定額から減額(例えば,非課税世帯:20万円→10万円,その他:10万円→5万円)でもいいのではないかと思う。

(3)対象審査・給付方法
 申請の手引きでは,対象審査は各大学等が実施することになっており,対象要件に対する審査の「ヒアリング」や「裁量」も各大学等に委ねられている。各大学等間の審査の公平性は,対象要件の該否を忠実に判断すれば問題が生じないということになるが,実は対象要件の該否において,必要書類が「任意提出」であったり,故に申請内容も「自己申告のみ」となっているものがある。例えば,
  対象要件①(家庭からの仕送り):
   自己申告(預貯金通帳の写しは任意)
  対象要件③(アルバイト占有割合):
   自己申告
  対象要件⑤(アルバイト減収割合):
   自己申告(給与明細,振込通帳の写しは任意)
となっており,これら対象要件は本事業の趣旨において重要なものであるにも関わらず,「性善説」に基づく審査とせざるを得ず,公平性だけでなく,正当性においても疑問が残る。
また,審査は各大学等,給付は日本学生支援機構(JASSO)が実施することになっているが,緊急事態宣言解除後の本格的な学校再開に関する初動業務が多忙になると推測され,スムーズな手続き処理やスピーディな給付は難しいと考える。
従って,上記(1),(2)で述べた通り,
  対象者:高校生以上の生徒・学生
  対象要件:なし(審査なし)
とし,給付は,特別定額給付金制度の再活用,すなわち「追加給付」とすることで,各大学等並びにJASSOでの作業負荷及び経費を無用とし,手続き処理や給付もスムーズかつスピーディに実施できたのではないかと考える。

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