福島第一原発汚染処理水に関する梅村みずほ議員質疑について
【※2020年6月9日にFacebookノートに投稿した内容を再掲】
【はじめに】
6月3日の東日本大震災復興特別委員会で日本維新の会の梅村みずほ議員の質疑について,弊方が6月5日夜遅くに以下の通りコメント付きリツイートをした(※1)。
「録画を視聴。小泉環境大臣に苦笑されてしまった通り,福島汚染処理水の「放出先」に関して首長が提言する相手は「梶山経産大臣」です。パフォーマンスとしないためにも,経産大臣と協議の場を調整すべき。」
その翌朝,梅村みずほ議員が以下のツイート(10連もの)をされた(※2)。
「「パフォーマンスではなく本気でやってほしい」と私の復興特質疑にご意見をくださった方へ。
ご感想は残念ですが,この質疑のために費やした時間と本気度が質疑に現れなかったのは私の未熟さです。
しかし,真実私は福島のことを思えばこそあの質問を入れたということをお伝えしなくてはいけません。
帰宅困難区域の双葉町と大熊町。
割れたコンクリから雑草が勢いよく飛び出すガソリンスタンド。看板の崩れた商店やゲーセン。何年も人の気配が途絶えた静かな家々。
あのゴーストタウン化した被災地を見たのであれば,そして,途方もない時間をかけて処理しなければいけない原発の骸を見たのであれば,福島のことを簡単に語ってはいけないと肌で感じるはずです。それなのに「処理水問題も含めて前に進めたい」と所管外にも関わらず思い切った発言をなさったのは環境大臣なのです。
私は福島の景色を肉眼で見た者として,一連の大臣のご発言は覚悟を伴うものなのかをお伺いする必要ありと考えました。
小泉大臣はまだお若い。これから成長される伸び代はいくらでもあるのですから,今後は実のある言葉を発していただきたいですし,そうでなくては福島の方々に失礼にあたるからです。
甘やかな言葉を発すること,被災地が元気になってほしいと願うこと,これは政治家でなくともできること。
今,若き大臣にその点をお気づき頂きけるのであれば,残された任期の中でアクションを起こしてくださるのではないか。そう思っての質問です。
安倍内閣は閣僚全員が復興大臣という認識を共有していらっしゃるはずです(2017.08首相発言より)。が,処理水問題解決に積極的な姿勢はなかなか見えません。
ちなみに,質疑動画でもご確認いただけますが,今回の委員会には梶山経産大臣にはお越しいただけなかったことを申し添えておきます。一般の方はご存知ない方が多いと思いますが,専門委員会(今回は衆議院の経産委員会)と重なった時は要求した大臣にご同席いただけないことがよくあります。
梶山大臣がお越しになっていたら,今回の質疑もまた違う形になっていました。
私としては,限られた時間で,このタイミングで,お伺いできる答弁者の顔ぶれで,政党としてのスタンスも考えつつ,信念を持って精一杯ぶつかったのが今回の質疑であり,パフォーマンスにするつもりもなければ,不毛だとも思っておりません。
あの質疑の中で嘲笑なさっているのは大臣の方であり,私は一切笑っていなかった点を見れば本当のパフォーマンスをしているのはどなたかお分かりいただけるかと。
処理水問題を少しでも早く動かすきっかけになればいい。その一念で放った質疑ではありますが,「不毛だ」と言われてしまうのは,一般ワーママから政治家になって10カ月の人間の未熟さですので,今後とも勉強を重ねて,より多くの方にいい質疑だったと言っていただけるよう鋭意努力して参ります。
次の衆院選では必ずや貴殿が応援なさっている維新候補にもご当選いただくべく,私も気合を入れております!
そして、国会でさらに精度を上げた質疑ができるよう,氏にご教示いただきたいと思っています。
この度はご意見ありがとうございました。今後ともよろしくお願い致します。」
この梅村みずほ議員のツイートが私に宛てたものかどうかは分からないが,
・宛先が「方へ」と単数
・ツイートのタイミングに間がない
・「パフォーマンス」のキーワードが合致
などを踏まえると,「本気でやってほしい」とは述べていないものの,弊方ご指名と認識,あるいは,誤認識でご指名ではなかったとしても,弊方のツイートの意図するところを伝える上でも,以下に少し補足したいと思う。
※1:2020/6/5弊方ツイッター投稿
https://twitter.com/papasan_at_home/status/1268896392728068096
※2:2020/6/6梅村みずほ @mizuho_ishin ツイッター投稿
https://twitter.com/mizuho_ishin/status/1269055018813939712
【処理問題について】
福島第一原発の汚染処理水の処理問題については,昨年9月の内閣改造において,原田前環境大臣が離任に当たって「海洋放出しかない」と発言し,その後,小泉現環境大臣が就任会見で「議論を経済産業省で進めていくが,漁業関係者や福島のさまざまな方々が,これ以上傷つくことない議論をしていただきたいと切に願う」と述べた(※3)。
ここで,小泉大臣が述べていた通り,当該処理問題の所管は経産省であり,環境省は所管外である。これは,原田前大臣も「個人的見解」と所管外であることを認識の上で先の発言をしている。端的に言えば,原発サイト内(事業者関係)は経産省,原発サイト外(自治体関係)は環境省の所管である。
従って,当該処理問題は原発サイト内の話なので,環境大臣が任を負って質疑応答すべきものではない。
※3:小泉進次郎環境大臣が会見ノーカット 改造内閣発足(19/09/11)
(ANNnewsCH)
https://youtu.be/V6QDKs8OmVo?t=290
【海洋放出について】
しかし,小泉氏が世間の注目の下で大臣に就任した事,しかも,その前任者の原田氏が離任直前に所管外の「放言」をした事から,マスコミは当該処理問題は小泉大臣の任にあるかの如く「印象操作」し,就任直後の言動(就任会見発言,翌日の福島県訪問謝罪)に問題解決の自覚がないかのような批判が小泉大臣に集中した。特に,科学的見地から当然と考える海洋放出賛同派からの批判は,公人,私人を問わずツイッター上で溢れていた。
これに対し,当時,弊方は,海洋放出賛同派は,科学的見地だけでなく,「福島県沖での放出が当然」=「自身の地元では放出されない」との固定観念というか「他所事安心感」の下での言動になってないかと見て取り,小泉大臣の言動も背景にして,
・被害者の福島県が全て面倒を見るべきでない
・安全というなら,放出先を福島県冲に限らず全国を対象とすべき
との意見をあちこちでツイートしていた(※4)。
そうしたら,橋下徹氏が,弊方の意見を見てたのか不承なるも,同趣旨の意見を AbemaTV「NewsBAR橋下」で発言し(※5),これを発端にしたのか松井大阪市長(日本維新の会代表)も大阪湾での受入れ協力の余地があるとの意思を公言し,橋下徹氏もツイッターで賛同投稿した(※6)。ただし,この公言の後,大阪府漁連や大阪湾周辺知事は風評被害を懸念して反対の意思を示すことになるのだが,これこそ,まさにこれが風評被害の根底にある「世間の本音」が垣間見えた事態でもあった。
従って,海洋放出決定に当たっては,科学的見地のみならず,放出海域の知事並びに地元住民の理解(風評懸念払拭)なくして前進はない。
※4:
①2019/9/10足立代議士@adachiyasushi ツイッター投稿への弊方意見
リプ
https://twitter.com/papasan_at_home/status/1171358087506096128
②2019/9/13音喜多議員 @otokita ツイッター投稿への弊方意見リプ
https://twitter.com/papasan_at_home/status/1172360885181878272
③2019/9/13新田哲史 @TetsuNitta ツイッター投稿への弊方意見リプ
https://twitter.com/papasan_at_home/status/1172365994989256704
④2019/9/13アゴラ公式 @agora_japan ツイッター投稿への弊方意見リ
プ
https://twitter.com/papasan_at_home/status/1172392464499347457
※5:2019/9/14弊方ツイッター投稿
https://twitter.com/papasan_at_home/status/1172537554043731968
※6:2019/9/17橋下徹 @hashimoto_lo ツイッター投稿
https://twitter.com/hashimoto_lo/status/1173824255072489472
【東日本大震災と福島第一原発事故】
少し話が横道に逸れるが,梅村みずほ議員の福島への想いに触れ,私も述べておきたいことがある。
東日本大震災では1万5千人以上の尊い命が亡くなり,多くは津波による犠牲者だった。私の生まれ故郷も津波で一掃された。震災後に本家の墓石・墓碑・お骨の捜索・片付けに行ったとき,私がそれまで「当たり前」と思っていた「生活臭」や「人間臭」など生命と共にあった日常は一切消え,「家屋の残骸」と「一面の雑草」と「磯と土の臭い」の静寂感しか残ってなかった。その後何度か足を運んだが,遅々として復興は進まず,年老いた地元の親戚は,かつての良き想い出まで一掃される現実から逃避したいのか,被災地になかなか足を踏み入れなかった。
福島第一原発も津波が原因で事故を起こした。原発事故の一義的責任は東京電力にあり,言い訳無用で結果責任を負わなければならない立場にあった。故に,原発事故当時,「想定外」という説明に当然のように批判が集中した。
しかしである。福島第一原発事故を引き起こしたのも,未曽有の震災犠牲者を出したのも「同じ想定外の津波」であり,そういう意味で福島第一原発も「津波の犠牲者(物)」なのである。
その「想定外の津波」が原因で事故を起こした福島第一原発の周辺住民を始めとした多くの福島県民は,生活環境の劇的な変化,余儀なくされた長期間に亘る避難生活,いわれのない風評被害で苦しい生活を強いられ,不平・不満の声も少なからず聞こえる。しかしである。私の生まれ故郷の多くの知り合いを含め,津波の犠牲者は死して将来の全てが絶たれ,不平・不満を言う機会以前に生きるという選択肢を失ったのである。幸福感は自身における絶対的なものであるのに対し,不幸感は他人と比べた相対的なものなので,津波で亡くなった方の無念さと原発事故で被災した方の失望感を天秤にかけるつもりはないが,私は,生きているから苦しい「今」もあるだろうが,生きてなければ知ることがない「未来」もあると思う一人である。
従って,福島県民,とりわけ原発周辺住民に想いを寄せるというのは,今を気の毒と共感して思うだけでなく,津波の犠牲者が失ったその先にある未来を共有して思うことも大事と考える。なかなか言うは易しで,現実は難しいというのは承知してるが...
【「パフォーマンス」コメントについて】
閑話休題。
さて,先の梅村みずほ議員ツイートに対して,「パフォーマンスとしないために」とコメントしたのは,上記の
・処理問題
・海洋放出
・東日本大震災と福島第一原発事故
についての各末尾で「従って」以降に述べた私の「思い」が背景にある。すなわち,
↓処理問題を加速させるべきと考えるなら
↓結果的に役に立たない所管外の小泉大臣(環境省)にアクションを求
めるのではなく
↓所管の梶山大臣(経産省)にけしかけるべきであり
↓福島県民の風評懸念に想いを寄せるなら
↓感情論では役に立たない政府に松井市長の協議を持ちかけるのではな
く
↓住民感情に直結の関西広域連合会,全国自治会で認識共有を図っても
らうべき
と考えたわけで,小泉大臣-松井市長の対談が実現しても,それは政策協議にはならず,世間やマスコミを賑すだけの座談会の域を超えないと考えて,先の「パフォーマンス」コメントに至ったのである。
【さいごに】
今回の梅村みずほ議員の反論?ツイート(10連もの)を読み,自身の思いを持って一所懸命に努力して勉強し,世間の意見・批判にアンテナを高く張って収集・咀嚼・消化(吸収と廃棄)し,新人議員と一般市民の両目線から自らの言葉で意見を発信している姿勢は,今まで同様に認めている。
但し,小泉大臣をこの処理問題に引き入れようとしたのは,先の彼女の思いがあったとはいえ,処理問題の前進という結果が求められる政治の世界においては,結果的には,大臣就任時のあの騒ぎ同様に,世間を無用に賑す「パフォーマンス」にしかならないのは明らかであることに気付いて頂きたかった。末端国民が国会議員に生意気にも向ける言葉ではなかったかも知れないが...
【追 伸】
6月3日の東日本大震災復興特別委員会で日本維新の会の梅村みずほ議員の質疑に関連した音喜多議員のブログに対して,弊方が6月6日深夜にコメント付きリツイートをした内容(※7):
「動画視聴すれば,小泉大臣の言い分が至極真っ当なのは明らか。なのに,その言い分を批判するのは
経験浅い新人議員の恥の上塗り
に他ならない。
大丈夫?維新執行部の教育は...」
でいうところの「新人議員」は梅村みずほ議員を指してはおりません。誰とは明言しませんが...
※7:2020/6/6弊方ツイッター投稿
https://twitter.com/papasan_at_home/status/1268932804001189899
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