海外一時居住者(非居住者)の国内銀行口座/証券口座の問題

 最近,とあることで,会社から海外に1年以上の駐在(出張)あるいは転勤(海外関連企業)になると国内では「一時的に非居住者」の扱いとなるので,手元の銀行や証券会社にある口座や金融商品ってどうしなければいけないのかとネットで調べたら,これが結構困ることになると気づきました。

 まず,銀行
 ほぼ全部の銀行が,一時的な非居住者に対する除外規定などなく,「口座解約してください」とある。私が若い頃はなかった記憶があるのだが,ここ数年,銀行口座を新規開設するとき「日本国内居住者であること」との条件確認があるので,これ係る法規関係によるものかと思う。これは,預貯金を引き上げるだけでなく,扱ってる商品の中途解約,更には紐づいてる公共料金,クレジットカード,各種会員等の口座振替も変更しなければならない。ただし,あくまでも「申告主義」なので言わなければそのままとなるのだろうし,実際,家族持ちの場合,「世帯」の口座(給与振込,生活費,公共料金口座振替など)にもなっているだろうから,数年で戻るならそのままにしておこうと思うのが現実的考えだろう。また,未申告による罰則規定も聞いた事がないし,銀行によっては「相談に乗る」というところもあった。
 しかし,規約上は口座解約しなければならず,未申告にしてても,マイナンバーの施行により「解約させられる」という困ったことになるかもしれない(後述)。

 次に,証券会社
 私は投資信託や株式・債権購入はしない主義なので現実味を感じないのだが,証券会社で口座開設して投資信託や株式・債券購入をしている場合も,銀行同様に一時的な非居住者に対する除外規定などなく,「口座解約してください」というところが大多数のようだ。「大多数」と言ったのは,一部の証券会社では「一時的なことがあらかじめわかっている場合,届出の上,日本株式と国債については『保有』可能」というところもあり,どうやら一時的な非居住者の場合は,国内のものに限っては保有可とするが,取引は全部一時停止としてるようにうかがえる(法規制上の規定は不承)。ここ数年,政府はNISAを始めとした投資運用を積極的に推奨しており,少額運用は若者の間でも普及しているようだが,これらの若者が会社の命を受けて海外赴任して非居住者となった場合,少額運用であっても解約手続きをしなければならなくなる。ただし,これも銀行同様に「申告主義」だろうから,言わなければそのままとなるのが現実と思われるが,銀行と違って,証券口座ではマイナンバーの登録が必須であり,未申告にしてても,マイナンバーの施行により「解約させられる」という困ったことになる可能性は銀行の場合よりも高いもしれない(後述)。

 以上,1年以上の海外居住により非居住者となった場合,一時的であることがあらかじめわかっていても,国内の銀行口座も証券口座も解約しなければならないのが大原則であることがわかり,一方で,未申告のままで赴任・帰任すれば現実的には何も問題がないように思われる(良し悪しの議論は別にして)。ただ,現在はマイナンバーが施行されており,税法上の関係でマイナンバーに非居住者という情報が紐づくだろうし,赴任時に住民票除票すれば(抜ければ)マイナンバーが失効する(廃番でなく預かり)。そうなると,情報の双方性がわかっていないのだが(勉強不足),そのマイナンバーに税法上の視点で紐づく各種サービスは強制的に停止するのではないかと思われ,既に紐づいている証券口座はその情報で強制的に解約される可能性があるし,銀行口座についても紐づいてる場合は,あるいは,今後紐づくことが必須となれば,同様に強制的に解約させられる可能性がある。
 逆に言えば,「一時的な非居住者」に対する銀行や証券会社での取扱規定については,若者も含めた国民の世界的活躍を支える上でも,日常に混乱を持ち込まないような現実的なあり方に配慮して,マイナンバー法も含めた法整備により統一性を図る必要があると考える。


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