仕事は「切り替え」ではなく「入れ替える」
「移動」という活動がなくなってから、仕事の仕方が大きく変わった。
これまでは「デフラグ」で予定を組んでいた
これまでは、支援先のクライアントごとに予定を組むことが多かった。この日はAクライアント、この日はBクライアント。それ以上分けるとしても、この日の午前はA、この日の午後はB、くらいのイメージ。
クライアント先ごとにバックログ(やるべきことリスト)があり、支援先を切り替えるたびに、それぞれのバックログに頭の中を切り替えて取り組む。そのたびにスイッチングのコスト(認知負荷)がかかる。
マルチな仕事の進め方は筋が悪い、というのはもちろん理解している。ゆえにできるだけ、仕事の種類が細切れで入り組まないように予定を組み立てていた。1日2〜3種類のプロジェクト、クライアントしか扱わないようにする。細切れになりがちな予定は、ストレージの保存領域の「デフラグ」よろしく、できるだけまとめるようにする。
1日を「バックログ」として扱う
こうしたスタイルが、東京へ行かないリモートワーク、つまり「移動」という概念がなくなってから一変した。支援先への移動がゼロタイムになったおかげで、1時間ごとに全く異なる種類のミーティング、タスクを組めるようになった。
1日のうちのミーティングは入り乱れるようになり、予定の断片化が激しくなった。タスクはミーティングの合間に行うから、それらも断片化しがちになる。
こうなると感覚は「支援先ごとのバックログを切り替える」というよりは、「1日のバックログの中で、適切に順序付けを行い、上から倒していく」感覚へと変わった。スイッチングしまくりである。
スィッチングコストを下げる「"土曜日の朝"作戦」
ところが、スイッチングコストはそれほど感じていない。全く手ぶらで1時間ごとのタスクに臨むなら、相当な負荷になるだろうが、事前にある程度やるべきことが整理されているとそれほどの負荷にはならない。回転寿司で回ってくる寿司をたべるように、時間になったら予定に積まれているタスクを倒す。
事前のタスク整理は1週間単位でまとめて行うようにしている。あまりおすすめはできないが、私は土曜日の朝にそれを行っている。金曜の夜は、1週間の疲労で頭の回転が鈍い。土曜日の朝のほうがクリーンで、作戦を考えるのに適している。支援先ごとにじっくり考えて、次の週のバックログをまとめて積み上げていくようにする。
こうして次の週のタスクが埋まり切ると、どこらへんに山場があるか事前に見えることになる。山場のある曜日はその前後の時間にゆとりをもたせるようにする。
一度手に取った「皿」も躊躇なく戻す
それでも、流れの中で手にとったタスクが思ったより手強いということがある。その時は無理をしない。一度取った寿司皿は回転するレーンに戻してはならないが、タスクの場合は躊躇なく戻す。無理に頑張ろうとすると、必ず1日の流れに影響を与える。他のタスクができなくなることもある。また、当のタスク自体も、品質を落としがちになる。
だから、無理にやらない。一口食べて「これはアカン」と思ったら、戻す。タスクの場合は戻し先は一旦「土曜日」にしている。先に書いたように、土曜日のプランニングのタイミングで、戻したタスクを含めて次の週の作戦を練る。
「色」で1週間の濃淡を把握する
このようにカレンダーをタスク管理ツール代わりに使っていると、予定がびっしりと埋まり、ぱっとみただけではどんな1週間なのか想像もつかなくなる。
カレンダー上で、単色だけで予定を表現していると見分けがつきにくい。ちょっと面倒だが支援先ごとに色を決めて、タスクを積むようにする。
すると、1週間の時間の使い方、どこに時間の重きを置き、どこに置けていないかが見えるようになる。「この週はAクライアントweekだな」とか、「この週はクライアントワーク以外のほうが時間が多いぞ」とか。そうした全体感からまたプランニングでの調整を行う。
切り替えではなくて、入れ替え
複数のバックログの切り替えではなくて、自分のバックログで順序入れ替えを行う感覚のほうが、スイッチングの負荷が少なく感じる。相手にではなく、自分にあわせる感覚だからだろうか? 単に気の持ちようかもしれない。
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