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自律的であるからこそ、他者の言葉がより刺さってくる

「組織でアジャイルって本当にね、良いと思うんですわー」

 久々に、とある勉強会に参加したら、そんな所感を思いがけず耳にした。率直な気持ちを表した言葉だったのだと思う。それだけに、聞いた私のほうも印象に強く残った。そう、良いもんは良い

 組織にアジャイルを宿していく、何の疑いもなく、この進展にかけているけれども、果たしてどれだけ伝わっていくものか。正直なところ、一進一退といったところだ。だからこそ、業界や組織を問わず、組織アジャイルの啓蒙に務めてきている。「どこそこに関心ある人がいる」と聞けば行って話をし、関心があるか分からずともアジャイルとは何かの辻説法する。そんなことをもう4年続けてきている。

 あとどれくらい続けると、どのあたりに辿りつけるのか。「探索と適応を可能にしようとする」組織アジャイルこそ、その進展は探索的と言える。思う通りにいくかどうか分からない。むしろ、思い通りにいくことなんて何一つない。だから、やめておこう、ではなく、だからこそ、やっていく。アジャイルとはそのための手がかりであるのだから。

 そう。ゴールが見えていることをタスクとして抜け漏れなく落とし込み、順次きっちり取り組んでいくことがアジャイルの本分なのではない。どこかにたどり着くかの道筋が見えていないからこそ、行ってみる。行ってみるからこそ、少しだけ風景が変わる。変わる風景を目にして、また新たな発見が得られる。もう少し先に行ってみようと思う。そんな繰り返しを続けていくための、そして自分自身を励ますためのシステムが、アジャイルだ。

 アジャイルは「自己組織化」という概念を重視している。アジャイルに取り組む人やチームは、自分たちで考え、自分たちで動く、ということ体現していくことになる。私の組織アジャイルの進展活動もそうだ。誰かの依頼を受けて動いていきはするが、依頼内容がすべてではなく、対象とする状況・組織に身を置いたときに、何が価値なのか、意味があるのか、考え、そして動く。

 自らの意志でもって動いていく。アジャイルにはそんな言葉が行き交い、風景としても見て取れる。誰かに言われるまでもなく、動く。もちろん、容易ではない。容易ではない活動だからこそ、他者との関わり、互いにかける言葉により力が宿る

 冒頭の何気ない感想も、何気ないゆえに、力が宿ってくる。コミュニティや勉強会の良さはそんな言葉がごく自然に交わされるところにある。私の言葉もお届けするし、あなたの言葉もお聞きしたい。


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