スクラムマスターに期待される3つの「ともにある」
「スクラムマスター」が果たす役割とは何か。スクラムマスターは「ともにある」ことをその根幹としている。チームとともにある。プロダクトオーナーとともにある。組織とともにある。
チームとともにある
スクラムが前提としてチームに期待する「自己管理型」というのはどんな状態か。自分で考えて、自分で動く、ということができることだ。では、それを一人ではなくチームとして立ち振る舞うためには何が必要か。
考えるための機会も、動きを整える働きかけも、その結果に向き合う時間も要る。こうしたことをスルスルとやってのけられるチームは相応の熟達を得ていると言えるだろう。そこに至るまでの間の「ともにある」が求められる。
プロダクトオーナーとともにある
プロダクトオーナーは孤独になりがちだ。的を射るゴールの定義と、そのために必要なバックログの整備を牽引していくことが求められる。その中身についてチームと深い理解を共通にする必要があり、チームの外のステークホルダーとも協力関係を築いていく役割を担う。
気がついてみれば一人の人間が背負うにはあまりにも沢山の期待が寄せられすぎている状況が容易に起こる。プロダクトオーナーの重荷を一緒に背負っていくよう、「ともにある」ことが求められる。
組織とともにある
組織とスクラムチームの間には分断が生まれやすい。必ずしも組織側(ステークホルダー)からの期待がスクラムの狙いと一致するわけではない。「アジャイルであれば速く/早くなるのだろう」という一方的な思惑が独り歩きすることはよくあることだ。
組織にスクラム、そしてアジャイルについて理解を得てもらうためには意識的な働きかけが必要となる。そうした啓蒙活動を通じて、ステークホルダーとスクラムチームとの間の障壁を取り除くこともスクラムマスターの役割になる。組織の理解も一朝一夕で到れるわけではない。やはり組織と「ともにある」ことが求められる。
「ともにある」ことがスクラムマスターの本分だ。このとおり、ともにある相手は多岐にわたる。誰か特定の相手に肩入れしていれば良いわけではなく、複数の相手と同時に向き合う。いわばスクラムマスターには「複数の視界」が備わることになる。
そんなことを可能にするには? ここで示したとおり、
・まず「見るべき相手が誰なのかを知っておく」こと
・次に「観察の巡回を行う」こと(「巡視」にあたる)
「視界の切り替え」をサイクリックに反復して行うこと自体を決めておく。
「ともにある」と言うと情緒的な話に聞こえるが、その実、機能するためには自分自身のマネジメントシステムが必要ということだ。
スクラムマスターとしての「システム」を自分の中に持とう。
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