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アジャイル開発の前に組織で説くべきこと

 「アジャイル開発を組織で認めてもらうためにはどうしたら良いか?」という相談をいまだ受けることがある。日本におけるアジャイル開発は、マジョリティ層に到達している、というのが私の肌感だが、それは同時に先の悩みに直面する人達がまた増えるということでもある。

 そういう方に向けては「そもそも事業やプロダクト開発をどうやるか?」からの「仮説検証」の前提性を説くと良い。仮説立てて、検証する、そもそもこうした活動が組織にとってどう判断されるか。

 10年、5年前と違うのは、デジタル・トランスフォーメーションを良い意味で傘に着られることだ。DXを本気で進めようとする組織で「仮説検証」の不要論が持ち上がることはほぼ無い(もしそうなった場合は、DXの捉え違い問題が発生していることになる)。

 「仮説検証」が事業活動に取り入れられていない場合、2つの種類の失敗が起きうる。「採用の失敗」「却下の失敗」だ。前者は、勘と経験のみによる判断頼みで、間違った選択肢も物事が進みきった状況下でも容易に選んでしまう失敗。後者は、これまでの判断基準に基づき、選択肢を決め打ちしてしまう失敗。

 両者へのアプローチは、表現の仕方は異なるがどちらの場合でも「仮説検証」の必要性を伝えていくことになる。

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 仮説検証の必要性を是としながら、アジャイル開発は是としない、ということにはなりにくい。理屈の不整合が起きている可能性が高い。というのは、どちらも「ターンアラウンドを短くする」という点では同じ概念として捉えられるからである。

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 見ているところが、事業やプロダクトとして何を成すべきか、つくるべきかという探索での「ターンアラウンド」か、モノづくりにおける探索での「ターンアラウンド」かの違いだ。この考え方を踏まえた上で、アジャイルな度合いをより上げる、度合いを低める、という判断はありえる。

 ターンアラウンドについてはこちらにまとめている。

 というわけで冒頭の悩みに戻ると、「アジャイル開発の必要性を説くためには、一聞遠回りに聞こえるが、仮説検証の必要性について確認してみる」という手がかりをお伝えしておきたい。良い旅を。


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