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[ネタバレしかない] 映画 ルックバック 感想


藤本タツキ絵が動いてる!というだけでもう100点。なんか漫画のアニメ映画化の度に同じことを言っている気がする。

が、やっぱり結構多くのアニメ・映画化で結構テイストが変わってしまうことが多い中、オリジナルがそのまま動いているという衝撃は結構すごいわけですよ。デデデデもそうだったし。ポンポさんは結構変わってたけどあれはあれで良かったけども。まあ、全体的な出来が良ければなんでもよくはある。

「5分で書いたんだけどねー」 藤野センセー

しょっぱなから藤野センセーから受ける共感性羞恥がギリギリラインだった。そういえばこういうキャラだったか… 耐えられるのか、自分…?

というか四コマまでアニメになるとは。
そして声優は名前を聞いたことない人が多かったが、四コマアニメのところだけ森川智之と坂本真綾と、ビッグネームだった。どこに力を入れているのか。

ヤバさを感じていた共感性羞恥は、藤野が京本ショックを受けたあとにはもう心を入れ替え、というかもう勉強モードに入ったので起きなかった。
そしてショックを思い出す藤野の脳内では隣の席の男子がそんな表情してなかったじゃん!ってくらい嘲笑ってたのが良かった。

しかし京本に負けたと思って絵の勉強を二年間も続ける藤野、めちゃめちゃ偉い。

「藤野しぇんしぇーは漫画の天才です!」 京本

京本の方言がいい感じ。引きこもり感と相まって唯一無二の可愛さを醸し出している。でも藤野センセーへの熱い思いのためにはダッシュで家から出てきて、雨の中でもずっと手を降ってくれているのもかわいい。
そして、成長するとそこそこ普通になるのがまた良い。やはり自分は陽キャの藤野より陰キャの京本に同調してしまう。

藤野が京本と出会って褒められて帰るときのスキップ、同じ足が出ちゃってるのがかわいい。原作ではそこまで顕著ではなかったが、映画になるとわかりやすい。というか藤野、運動は得意じゃなかったのか…?そこがもう機能しなくなるくらい舞い上がっちゃってたんだなー。原作通りの名シーン。

いつの間にか共同作業している二人だが、原作でも何箇所かあったが、外出する時に二人が手を繋いでいるシーンが多く、エモい。あらー。

あまりルックバックしてないか?

それにしても映画版はあんまり「ルックバック」してなかった気がした。ルックフロントが多かったのでは。原作も読み返したらそこまで後ろ姿ばかりというわけではなかったが、それでも映画版ではあえて色んな方向から写していたような気も。

でも、タイトルが出るまでずっと藤野が四コマを描いている背中を映す、ほぼ動かないシーンだったのでそこだけでももう「ルックバック」感は満足かも。そして貧乏ゆすりがすごい目立つ。一定のリズムではなく、ネタが思いつかないときの苛立ちとリンクしていそうなのも良かった。

映画の利点である、音楽

音楽が印象的だった。鼓膜が震えるくらい。漫画原作ではどうしようもない要素をとても上手く使っていたなー。
それもあって例の無音シーンの破壊力よ。
haruka nakamuraさん、要チェックや。

あのシーンの謎は結局…?

しかしあの四コマスライドインが作り出した別ルートは結局なんだったんだろう。原作でも別に答えがあったわけではないけど。パラレルワールドでいいのかな。

でも京本の部屋の窓に貼ってあった四コマの中の一枚が落ちたということだったから、実際に襲われる前の京本が描いた偶然のもので、if世界は単に藤野がそれを見て想像した世界だった、のかも。

映画で見ると気になってしまう

そして映画になって思ったが、あれだけのクロッキー帳、幾らになったんだろう。自由帳ならともかく、ああいう本格的なやつって安くないよな。
映画で見るとそういう、細かいリアル感が気になってしまいがちなのはなぜなのか。

  • 雪の中コンビニに行って、濡れた服でジャンプ立ち読みするのは店員嫌だったろうなとか。

  • 京本に褒められた藤野が服もびちゃびちゃのまま家に入ったから後で怒られただろうなとか。

  • 葬式のあとに京本の家に行った藤野がずっと一人だけど、親はどうしたのかとか。

見終わったときはまだ三十分くらいの感覚だったが、普通に1時間経ってた。
いい映画だった…

原作読み直しタイム

原作を買い直して読んでみたが、そもそも最初の四コマを描いているシーンなんてなかったし、藤野と京本の協力シーンもだいたいルックバックで、正面とかはあんまりなかった。見開きくらいだった。ような、気がした。

と言っても原作だって別に背中しか写ってないシーンはそこまで多いわけじゃないから映画版も似たような構成だったのかも知れない。単に背中だけシーンと動いているシーンの差が、アニメ映画だと顕著だから印象に残ったのかも…

手を繋ぐシーンが印象的だったが、原作を読み返したらたったの2回だった。かなり効果的に作り直したんだな。とても良い。

あとは、原作だと読み切りがたくさん載ってたという記憶がほとんどなかった。実際見開き1ページだけの表現だったし、連載決定と、直後の二人の別れの方が印象的だったので忘れてしまっていたが、映画版だとちゃんと「おおー、最初の読み切り以降もどんどん載せられてたんだ」とわかる。

シャークキックのコミックが増えていく描写も、原作にはない人気投票の結果とセットになってて、最初はパッとしなかったが徐々に常勝作品になっていく様子が見られる。やっぱり藤野先生はすごい。

パンフレットマストバイ

パンフレットの画用紙感がめちゃめちゃ良い。そこに黒一色でツルツルした印刷がされている。あのクロッキー帳の山を彷彿とさせる。
藤本タツキと押山監督の対談も良い。ファイアパンチの頃から、藤本タツキの映画好き感はすごい伝わってきていたので、とうとう自分の作品が映画になるということで辛口なのだろうか… と思ったら全然超強力的で、お互いを尊敬し合う良いトークだった。

haruka nakamuraコメントで、サムライチャンプルーのサントラを作ったnujabesさんがだいぶ前に亡くなっていたことを知った。あの音楽が好きだったので今更ショック。

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