成功の裏には失敗がある - 自家製酵母のカンパーニュ
オーブンレンジを開くと、そこにあったのはフリスビーだった。
本来なら、フリスビーではなくパン・ド・カンパーニュができるはずだったのに。
作っている途中で、生地がベタつくわうまくまとまらないわ、どうも水分量が多すぎる気がしていた。材料の分量は参考にしたWEBサイトのレシピ通りだったはずなのに。だから、がんばってカンパーニュらしいまるまるとした形に成形しても、手を離した瞬間にダラッと流れて平べったくなってしまう。
もう、オーブンで火を入れた時になんとか膨らんでくれることを祈るしかなかったんだけれど、祈りは報われず、現れたのはフリスビーだったというわけ。
今回はシークヮーサーで培養した自家製酵母を使おうと考えて、ずっとほったらかしで元気のなかった酵母をあの手この手で活性化したんだけれど、そのときに配合を間違えたのかもしれない。それくらいしか思い当たるところがないのです。
いつものことですが、失敗しても食べられないものができあがることはまずないので、明日から数日分の朝食はフリスビーと格闘です。
12月の終わり頃に仕込んだ自家製酵母、本来なら時々かき混ぜて空気を取り込んであげたりとお世話をしないといけないんだけれど、2度ほど使った後はお世話をサボっていた。普通なら、保管している冷蔵庫から出して常温に戻せばぶくぶくと泡を出して活動を再開してくれるところが、どうも反応が悪い。
そこで、エサになる小麦粉と水をあげて常温で保管しておくと、少しずつ元気を回復していく。様子を見てまだまだ元気が足りなければ、さらに小麦粉と水をあげる。そうすると、炭酸ガスを出してカサの増す量とスピードが上がっていく。
酵母は微生物。つまり生き物であり、その生命活動をパン作りに利用させていただいている。微生物だから、環境によってその活動が活発になったり停滞したりする。工業的に精製されたいわゆる「イースト」は、パン作りが得意な酵母だけを選りすぐった、いわゆる精鋭部隊なのでこちらの期待通りに活動してくれるけれど、自家製酵母はそういうわけにはいかない。それが大変な部分でもあり、面白い部分でもある。
通常なら1時間で済むような発酵工程が、自家製酵母を使うと数時間、場合によっては1日かかったりする。その進み具合は時間では測れず、パン生地の状態を見守るしかない。まさにパン生地との対話。
対話、できたらいいんだけどねえ、やっぱり微生物とは会話できないっすよねえ。元気を取り戻してくれたところまでは、いやうまく行った、バッチリ対話できてるじゃん、なんて浮かれてたのに、どんどん雲行きが怪しくなって、最終的にはフリスビー。
成功の裏には常に失敗がある。
まあそんな簡単に微生物と会話できるようにはならないよね。今日は失敗ありきの実験的チャレンジだったので、これはこれでよしとして、今日の失敗を糧として次回に活かせばいい。そう、失敗の先にこそ成功がある。次回は今日よりよくなると信じて、ねこのてベーカリーはチャレンジを続けます。
ではでは。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?