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外国企業で実際に働いている感想

こんにちは、20年ものプログラマーです。

ブラジルのまあまあ大きなIT企業で、シニアプログラマーとして今年の4月から働き始めました。言葉の問題や、昨今のIT事情の変化の速さ、働き方に関する文化の違いなど、いろいろな心配事がありましたが、今の所なんとかなっています。ここでは実際の体験談をご紹介したいと思います。

一番困ったのは、「ポルトガル語英語」

日本でも、英単語を日本語のアクセントで発音する「日本語英語」がありますよね?ブラジルにも同様に「ポルトガル語英語」があります。特に開発現場では、専門用語として英単語をそのまま使う場合が多く、今の会社に就職してから、開発チームの会議などで耳にする機会が増えました。

個人的に衝撃を受けたポルトガル語英語を少しご紹介したいと思います。

Backup(ベッカッピ)
Engine(エンジニ)
Restart(ヘスターチ)
Init(イニッチ)
MySQL(マイシークォー)
Update(アッピデイチ)
SELECT INSERT(セレクチ インサーチ)
Bit(ビッチ)
Stored Procedure(ストアド・プロシードゥレ)
API(アーペーイー)
Override(オーベーハイジ)
Thumb(タンビ)
Length(レンギチ)

なんでこういう発音になるかというと、ポルトガル語では母音を伴わない子音をイの音で発音する事になっており、例えばTはチ、Pはピとなります。なので英語のITは「イッチ」、ADDは「エッジ」となります。IPadは「アイペッジ」、iPhoneは「アイフォニ」です。

ポルトガル語のRの発音

また、Rはハ行の発音になる場合とラ行の発音になる場合があります。ポルトガル語で薔薇を意味する単語、Rosaの発音はハ行になり「ホーザ」ですが、Brasil(ブラジル)の発音はラ行のまま「ブラジル」です。「ブハジル」にはなりません。

このRの発音ルールについては、確かな事は分かりませんが、住んで生活していると推測できる事がいくつかあります。昔は全てラ行で発音していたらしく、古いボサノバ音楽などを聴くとRosaをローザと発音しているし、古い時代をテーマにしたドラマなどでも、そういった発音を耳にします。

ポルトガル語はフランス語と似た単語が多いのと、フランス語のポップスの影響を受けたブラジル人ミュージシャンが、ハ行っぽい発音を流行らせたのではないかという気がします。最初は一部の人だけがハ行を発音していたのが、サンバ/ボサノバの流行により全国的に定着したのかも知れません。

ブラジル国内でも地方毎に少しづつ違った発音があり、リオ・デ・ジャネイロではRを発音する時、風の音を出しながら強く「ハ」と言い、サンパウロの田舎の人は巻き舌気味の「ラ」です。また北の方では、Rをほとんど発音せず、Andreが「アンデー」、Barracaが「バッカ」になったりします。

日本の開発現場の日本語英語

そう言えば、日本の開発現場でも「hidden(ヒドゥン)」を「ヒデン」、「FAQ(エフ・エー・キュー)」を「ファッキュー」などと、プログラム開発で使う英単語を、独特な発音で口にしている人をたまに見かけました。

「ヒデン」と聞くと、江戸時代から続く焼き鳥屋の秘伝のタレ?など無意識に考えてしまいます(笑)「ファッキュー」と言われた時も、それ英語圏の人に言ったら大騒ぎだよ…と考えて気が散ったものですが、日本語だから脳ミソに余裕があるからか、仕事に差し支えるほどではありませんでした。

話が頭に入って来なくて困った

しかし、ポルトガル語の会話を理解しようと頑張っている時に、面白い発音を聞くとおかしなイメージが二重三重に想像されてしまい、会話の内容が頭に入って来なくて困ったものでした。話が分からないと、重要な議論にも参加できず、何を検討すればいいのか分からず、仕事に差し支えます。

対策として、ポルトガル語の先生に頼んで、IT専門用語の授業をしてもらったり、YouTubeで学生向けのプログラミング授業を観たり。毎朝の会社のミーティングを分からないなりに頑張って聴いているうちに、なんとなく慣れて来て、最近では少しずつ話が分かるようになってきました。

発音の違いに慣れるコツ

自分なりに見出したコツは、すぐに分からなくても焦らず、自分を責めたりせず、「なんでチって言うんだ!」とかツッコミを入れたりせず、「へー、ベッカッピってBackupの事かあ~」とか「なるほど、ローマ字読みするとプロシードゥレだよなあ」などと素直に受け止め納得する事でした。

そういうものが少しずつ蓄積して、徐々に言葉として認識できるようになるのだと思います。言葉って、単語や文法だけ覚えても、言葉として使えませんよね。多分、小さい子供が言葉を覚えるのと同じ感覚で覚えると、ストレスなく身に付くのだと思います。(大人になってからでもできます!)

システム的な例えで言うと、人間に備わっている言語プログラムが読み込む言語データは、前頭葉から遠い所にある専用フォルダに入っていて、そこに言語データを一定数以上格納すれば、言葉として使えるようになるというイメージです。OSにフォントデータを追加するようなイメージですかね~。

読んでいただき、ありがとうございました。

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