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今の鹿児島に欠けている 第19節 鹿児島対愛媛

鹿児島県民160万人の鹿児島ユナイテッドサポーターの皆さん、こんにちは仙太郎です。ホーム白波スタジアムで開催された首位愛媛とのゲームを振り返ります。

鹿児島の先週のリーグ戦からのスタメン変更は3人。星、ロメロ・フランク、圓道選手が外れ、薩川、五領、端戸が先発します。

鹿児島対愛媛 スターティングメンバー

試合は開始早々、愛媛が攻勢を仕掛けてきますがPAの外からのシュートが多く、それほど危険な状況は作られませんでした。

前半は基本愛媛は2トップが前からマン・ツー・マン気味にプレスを掛けてきて、鹿児島がバックパスとかすると3人目も出てきてプレスを掛けられます。

前半6分、鹿児島のチャンスのシーン。渡邉選手がドリブルで中に侵入することで愛媛の選手を5人も引き付けていて、ゴール前に数的同数の状況を作っている。
中央の藤本選手にパスをして、もう一度ボール正面でボールを受けようとする渡邉選手。最終的にはその渡邉選手から福田選手へパスが渡るも、枠を外して先制点ならず

ただ鹿児島もそこで無理して繋がずに相手が手薄なDFラインにロングボールを蹴り、そのこぼれ球を拾いボールを前進できていて、徐々に押し込み始めます。その流れから鹿児島が前半8分に先制します。

前半8分の先制点の場面。五領選手が中に走ることで相手のマークを引き連れて、外側にスペースができ、そこに渡邉選手が走り込んでいる
そのため渡邉選手は余裕を持ってセンタリングできた。このセンタリングに対して、大外からノーマークの状態で飛び込む福田選手。GKが取れそうで取れない渡邉選手の絶妙のセンタリングも見事でした

その後も鹿児島が主導権握って時間が進みますが、一瞬のスキからシュートされ、こぼれ球を拾われそうになった選手に薩川選手がスライディングタックルを仕掛けましたが、少し遅れて脚が入り倒してPKを与えてしまいます。

この判断ですが、ペナルティエリア内であったことと、ゴールに対して角度があり、シュートコースも狭かったので、ここはスライディングではなく、そのままついていったほうが良かったと思います。ただ瞬間の判断なので難しかったのはわかります。薩川選手的にはいけると思っていたはずですから、相手選手が速かったのでしょう。

ただこれ薩川選手だけが悪いわけではないと思います。倒す前にシュート打たれているのですが、ここにもう少し厳しく寄せないと苦しくなります。

前半の流れは良かっただけに、このPKは痛かったですね。

愛媛の曽根田選手に縦パスが入った瞬間、木村選手が寄せきれてないのがわかる
そしてそこからの曽根田選手のシュート。右足(木村選手の近い方の脚)のアウトサイドで打たれているので、ここは木村選手がブロックしたかった

後半は暑さもあり愛媛の前プレスも緩くなり、鹿児島はボールを比較的容易に前進させます。

ただ愛媛ボールになると、いつものように鹿児島の前からのプレスは弱くて、簡単にかわされボール前進されて、その流れから後半19分に勝ち越しされてしまいます。

後半64分の愛媛の攻撃シーン。鹿児島が中途半端に前プレスに行くが、簡単にサイドの選手にパスを出され、そこから前プレスで生まれた広大なライン間のスペースで佐々木選手がボールを受けるところから始まります。最終ラインは薩川選手以外、裏のスペースをケアするために前には出てこれない
そのまま佐々木選手はライン間のスペースをドリブルで中央に侵入。中原選手がスライディングタックルするも、佐々木選手が遠い方の右足でドリブルしていたのでボールには触れず。正直なことを言えばここをファールで倒したかった。この時点では薩川選手は付いてっている
ただゴール前に行くとなぜか薩川選手はついていかず、マークを離してしまう。できればそのままついて行ってプレッシャーを掛けるに加えてスライディングタックルで防いでほしかった。仕方ないので岡本選手がアプローチするが、遅れて行っているし距離も遠い。そのためシュートを打たれ広瀬選手に当たりゴールになる

愛媛はリードしてからは前からプレスに行かなくなり、鹿児島が押し込んで攻撃をできました。ただこの試合、いつものように尻切れトンボにならず、試合の最後まで鹿児島の猛攻が続きます。後半の88分には鈴木選手のヘディングが決まったかと思われましたが、相手GKのビッグセーブが出て得点ならず。

サイドチェンジからウィングの五領、福田、圓道選手が1対1になる場面もあり、攻撃自体は良かったと思います。

シュート数も倍近くありました。ただ愛媛は後半、勝ち越してからは前からプレスを掛けなくなり、ブロック作っていたので、それに助けられた面はありました。

それでも最終結果は1−2で敗戦となりました。

試合展開としては鹿児島のほうが良かったと思います。
ただ先週と同じくプレー強度は愛媛のほうが高く、それが勝負を分けました。先制点も縦パス受けて前を向かれてシュート打たれ、こぼれ球を拾われたところを、ファールでPKですから。

縦パスを受けたところが厳しく行く必要があります。そこで前を向かれて簡単にシュートを打たれているようでは失点を防ぐことはできません。
鹿児島のチャンスも愛媛の体を張った守備でブロックされました。

PKのジャッジも確かに微妙でした。
実際、薩川選手のファールはPKでも仕方ないと思います。
ただ審判の立ち位置は、薩川選手の背中から見ているので、正確なジャッジができる位置ではないと思います。見えていたのならいいのですが、見えていないプレーをジャッジすることはできません。

それなら後半6分に藤本選手が倒されたのもPKだと思います。
最初のPKと同じく横からスライディングして倒しています。
このときも最初のPKの時と同じく後ろから見てました。
ジャッジ自体は審判の方に委ねるしかないので、異論はないのですが、J3の審判はゴール前でのポジショニングは気になります。もう少し横から、もう少し近くで見ないと正確なジャッジはできないと思いますし、そのポジションならどんな判定が出ても納得できると思います。

最後に試合後のコメントが興味深かったので紹介します。

愛媛 石丸監督のコメント
「ボールを持ったときに相手の強度は強くないことは戦前から想像していたので」
「相手の守備の緩いところは突けると思っていましたし」

渡邉選手のコメント
「一番は練習での守備の強度を上げること。守備の強度を上げることで攻撃のクオリティーも上がる。今節で出たミスを繰り返すことなく、カウンターの対応、やり切る部分を、まず練習の質を高め、次の試合こそは勝てるようにやっていきたい」

渡邉選手のコメントはもはや、監督のコメントのようです笑。
いい指導者になりそうですね。まだちょっと先でしょうけど。

大嶽監督のコメント
「強度の高いサッカーだと感じながらピッチを見ていましたし」
「このサッカーをやり続けて強度の高いプレーを出し続けることが大事です」

私の感覚も愛媛の監督や渡邉選手の感覚と同じで、鹿児島に足りたいのはプレー強度だと思っています。現代のサッカーはプレー強度があるのが当たり前で、その上で何ができるかを問われます。例えば同日に行われたマリノス対マンチェスターシティ戦、7月中旬の東京ベルディ対町田ゼルビア戦等と見れば強度の高いプレーが要求されていることがよく分かると思います。

鹿児島の選手は個々の能力は非常に高いと思います。ただ現代サッカーではプレー強度がないと安定した成績は残せません。なぜなら得点は相手の守備の出来や運不運にも依存して、点が入る試合も入らない試合もあるでしょう。でも高いプレー強度の試合はいつでも出せますし、運不運にも左右されません。それでも勝ったり負けたりはするでしょうが、成績は安定し負け試合を引き分けに、引き分けを勝ち試合にすることができるでしょう。その積み重ねが最後に大きな違いになるのです

前半戦を終えて3位は確かに悪い位置ではありません。
しかし2位とは勝点差が5、1位とは勝点差が7開いてしまいました。
これは逆転できない数字ではありませんが、それは鹿児島が勝てればの話です。簡単な数字でもありません。

3位は3位で1位でも2位でもありません。
昨年も3位で涙をのんだことを忘れてはいけません。
だからシーズン中盤で3位だからまだ大丈夫ではなく、危機感を持って変わる必要があります。

シーズンを通して成長するチームでないと優勝はない
昨年は残念ながらその部分が少なく、最後に失速してしまった。
今年は選手層の面では昨年とは違い分厚くなっています。
なのでそこさえ改善できれば鹿児島には勝てる選手が揃っていると思います。

そして今週末もホーム白波スタジアムで2位の富山との再戦になります
ここで負けると上位との差が大きく開くので負けられない戦いです。

「チェストー!鹿児島ユナイテッド!」

ヘッダー写真提供:なれまつさん

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