新しい物語を
コンビニやフランチャイジーに埋め尽くされる商店街。まるでプラスチック製の鉄道模型をそのまま大きくしたような住宅街。いつしか街は量産品に埋め尽くされようとしている。
そして、ヨコハマ…
幕府とその御用商人の思惑によって開港地となったヨコハマ。彼らが貿易を独占するために、それまでの長い間、それなりの港町としてきて栄えていた神奈川湊や本牧湊を無視、それで新開地となったのが現在の横浜港であり、ヨコハマ都心。もとより地元の主体性が産んだ街ではない。
その後、数々の文学作品や映画、TVドラマなどが描いてきた虚構がヨコハマというリアルを覆い隠し、イメージとしての港町が一人歩きをして、さらにそのイメージも東京製。この街は「よそ者」が勝手に描いた描いた嘘で塗り固められてきた。ドラマ「あぶない刑事」「逃げ恥」の背景ですが、そのイメージも「東京製」。
(現在の自治体横浜市にある18行政区のうち海岸線を接するのは6区のみ。これが意外に思えるなら、ヨコハマはフィクション先行の街だということだ)
最初から嘘で塗り固めたような街なのだから、新しい物語を紡ぎ続けるしかない。この街の原動力は魅力的なフィクション。でも、もうそろそろ東京任せではない、この街から風を吹かせてみたいとは思う。港湾労務者相手に小商いで身を立てたひいばちゃんを祖とするわが家も、この街に四代になりった。そろそろ自立してもいい頃だと思う。
新しい物語を自分で描き始めよう。
この街が「二番煎じ」で埋め尽くされる前に。