Pack Line Defenseを構築する上で絶対に外せない原則 ~パックラインディフェンス~


はじめに 

 近代バスケットボールのオフェンスの主体となっているドリブルドライブモーション(以下DDM)は驚異的な威力を発揮している。ピック&ロール(以下PnR)によりその効果は極大化しており、本格的にバスケットボールに取り組む人々には必要不可欠なスキルとなっている。

 今回取り上げる「パックラインディフェンス」とは、3Pラインの1m内側に半円の仮想線を引き、そのエリアをコンパクトに全員で協力して守るマンツーマンディフェンスのことである。

 本記事ではそのディフェンスをチームに浸透させる上で特に重要となる項目を絞り、プレイヤーにそのまま読んで理解してもらえる程度のボリュームを目指したものである。指導者はもっと踏み込んだ内容が欲しいかもしれないが、「蛇足」となりうる情報は削っている”レポート”は指導者にとって、常に立ち返るべき基本原則となることを期待している。

 また、着目されて研究が進んでいるディフェンスシステムであるが、書籍、DVDなどで勉強するとなると非常に情報媒体が高額であることが少しネックであった。YouTubeでも(日本語では)良い解説がなかったので、実際に指導するにあたって個人的にこのレポートをまとめたという経緯がある。

 このディフェンスは、先述したDDMを筆頭とする、「高い位置からドライブによりペイントタッチを増やし、ディフェンスにドライブアタックを警戒させて収縮させ、キックアウトパスによりクローズアウトシチュエーションを作り出すことを目的とする現代バスケのオフェンス」に対して考案されたとも言われており、戦術的に非常にマッチしている。
 ドライブによってズレを作り出すことをきっかけに始まるオフェンスを、そもそもドライブをさせないことでリズムを壊すのが狙いである。

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