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【Twitter 投稿和訳】 ウクライナ軍の制度的課題 Part 1 (@Tatarigami_UA氏)

より深い分析を求める人々にとって、この投稿には重要な内容が含まれている。ウクライナ軍は、私自身も含めて、批判に直面しているけれども、ただ批判をするだけでは建設的になり得ないということを認識することは重要だ。

私の目標は、特定の政治指導者や軍事指導者を誰一人として批判することなしに、注意を要する課題を浮き彫りにすることだ。よりよい理解を提供するために、私はグレン・グラント中佐による分析を引用して使っていくつもりだ。彼は国防とその改革に関する専門家であり、ウクライナ国防省に提言業務を提供している人物である。

パート1

グラント中佐のアセスメントより、主な課題と重要ポイント

  • 我々は前線と後方のすべての領域において、それぞれの所管と担当責任を明確にする必要がある。それは明確な区分の欠如による犠牲者を避けるためだ。このためには、あらゆる領域に指定された指揮官を置く必要があり、その領域に組み込まれる兵員はすべて、その指揮官に服する必要がある。なお、地理的な区分が、部隊の機動能力、側面からの対敵攻撃能力、展開位置の変更といったものを制限することになってはならない。

  • 多数の独立部隊が、相互に協力することなく行動している。この状況が生み出しているのは、訓練・装備水準の異なった部隊の集まりであって、結果として、質的不統一性を生む。統一された軍事的コンセプトの欠如は、組織的な傲慢さに結びつき、それに伴い、特定の部隊が優秀と受け止められ、それに応じた扱いを受けるということになる。新たな方針においては、すべての兵員が共通の基本的水準に沿って訓練され、装備を支給され、指揮されることが確保されるべきだ。

  • 特殊部隊(SOF)は、破壊・混乱工作のために戦線後方で任務に就く浸透攻撃組織である(し、かつ、そのように米国によって訓練された)とされている。だが実際はそうではなく、軽歩兵として用いられており、コストのかかる何年にもわたる米国の訓練を無駄にしている。

  • 方針には、兵員の損失を少なく抑えて結果を出すことができる指揮官が、指揮上より重要な役割に登用されねばならないということが、当然ながら含めれる。

  • 効果的な戦場でのマネジメントを行うためには、権限委任ができて、戦闘を指揮している下級指揮官の懸念に耳を傾けられる上級指揮官が必要とされ、後知恵的な批判をしようとしたり、現場指揮官が認識する問題の捉え方に合致しない命令を押し付けようとする上級指揮官は必要ではない。

  • 指揮官は、自身の兵員の訓練に関して、あらゆる段階において責任を負うものであり、その訓練の質についても責任を負う。部下を訓練するのに必要な知識と能力のない者は、指揮官の地位にいるべきではない。

  • 最近承認された第8271法は、命令遂行拒否によって有罪となった軍人への科刑を厳しくするものだ。この法律は、死に至る行動が要求される可能性のあるソヴィエト時代の法令に類似している。この法律によって、ウクライナ社会に存在する信頼感に対する疑義が増す可能性がある。

  • ロシアとワグネルが用いている進化した戦術に対抗するために、兵員には次のようなリソースが必要になる。小隊にはドローン・無線及びネット端末・暗視装置・60mm迫撃砲・手榴弾・擲弾銃が、各大隊には完全装備の81/82mm迫撃砲中隊が、各兵士には短距離ミサイル・個人用戦術救急医療キット(AFAK)・制服・防護装備が必要になる。ラムシュタイン会議では、より大きな装備だけでなく、これらの「成功を導くモノ」についての検討を優先することが本質的に重要だ。

  • 方針変更は軍体制の現代化に必要不可欠だ。現状の軍体制は古臭いソヴィエト流の規定や規則に頼っている。例えば、外国から購入したドローンが、国防省からそれを購入した部隊に渡すのに、サインが必要だった。この手続きは4週間も行われなかった。この遅れが意味することは、ドローンが無いことで兵士が死ぬということだ。この種の業務のやり取りに掛かる時間は、最大でも12時間とすべきだ。

  • 戦闘から離れている部隊を最新の教訓でアップデートするために、前線付近に移動訓練チームを設立するという新たな方針を検討すべきだ。この戦争で負傷し、戦闘任務に就けなくなった人々を活用するというのが、賢明だ。

以上がパート1だ。

パート1の結論は、ウクライナ軍内の組織的諸課題を無視することが、この戦争の人的損失を悪化させ、さらに多くの人命を危険にさらすことになると認識することが大切だということだ。

もしあなたが次のパートを待ちたくない、またはグレン・グラントの全分析を原文で読みたいと思うのなら、以下がそのリンク先になる。


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