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【報告抄訳】ISW ロシアによる攻勢戦役評価 1815 ET 01.08.2023 “ドローンをめぐるロシア・ベラルーシ・イランの動向”

以下は、ISW(戦争研究所)の2023年8月1日付ウクライナ情勢報告の一部(添付した文書画像箇所)を、日本語に訳したものになります。


https://www.understandingwar.org/backgrounder/russian-offensive-campaign-assessment-august-1-2023

イランはベラルーシ及びロシア領内でのドローン工場建設を進めており、それは、ロシアにとってイラン製ドローンのより迅速な入手の一助となり、イランにとって莫大な経済的・軍事的利益の獲得になるだろう(ここの記述は、クリティカル・スレット・プロジェクト[CTP]の8月1日付“イラン最新情報”にも掲載されている)。イラン軍参謀総長モハマド・バゲリ少将は、8月1日にテヘランで開かれたベラルーシ国防相ヴィクトル・フレニン中将との会談のなかで、イラン・ベラルーシ両国の国防産業協力のいっそうの拡大を呼びかけた。イラン国防相兼軍兵站担当相のモハマド・レザー・アシュティアーニー准将は7月31日、クレムリンとの軍事協力協定に署名した。アシュティアーニーとクレムリンは、ロシアによるウクライナ侵略を支援するために、シャヘド型カミカゼ・ドローン工場をベラルーシに建設する件について協議した可能性があると、CTPは判断している。2023年3月にウクライナは、ベラルーシ領ホメリの工場施設をドローン生産工場に転換する方法を、イラン人技術者が検討していると主張した。バイデン政権は6月、ロシア領タタールスタン、エラブガでのロシアのドローン生産工場建設を、イランが支援していることを明らかにした。イランは2022年5月、アバビル2ドローンの工場を、タジキスタンのドゥシャンベに開設した。バゲリがこの工場の開設式典に出席したことは注目に値する。ベラルーシ・ロシア両国内でのイラン製ドローンの生産は、ロシア・イラン両国にとって利益をもたらすだろう。

  • ロシアはウクライナ侵略に必要なイラン製ドローンをより迅速に入手できることによる利益を得るだろう。イスラエル・メディアとウクライナ・メディアはともに、ベラルーシにイラン製ドローン工場を建設すれば、イランからロシアへと中東経由ルートでイラン製ドローンが運ばれているというロシアが直面する「物流上の問題」が、軽減されることになるだろうと指摘している。バイデン政権は6月に1枚の地図を公開したが、そこにはカスピ海を通ってイランからロシアへ向かうイラン製ドローンの輸送路が示されている。

https://www.cnn.com/2023/06/09/politics/us-russia-iran-drone-factory/index.html
  • イランは同国経済に資金が流れ込むことによる利益を得るだろう。英国秘密情報部は7月、イランがドローンの代金をロシアから現金で得ようとしていることを明らかにした。イランは現在、危機的な経済状況に直面しており、通貨リヤルの価値は、1ドル50万リヤルを超えている。イラン統計センターは7月25日、イランのインフレ率は約47.5%であると報告した。

  • ロシアはまたイラン軍部に利益を与えることができる。2022年末に西側メディアは、イランがロシアにドローンを供与する代わりに、ロシア製Su-35ジェット戦闘機を受け取る可能性があるという憶測を報じた。だが、ここ数カ月間、Su-35の受け取りに関して、イラン軍当局者は懐疑的な見解を表明することが多くなっている。3月の西側メディアの報道によると、ロシアはドローンと交換に、最先端の調査用ソフトウェアとサイバー兵器をイランに供与したという。それとは別に6月、高位のイスラエル軍当局者は、ロシアがウクライナで鹵獲した西側製兵器をイランに渡しているという懸念を表明した。

イランがベラルーシ及びロシアと密接な協力関係にあるのは、イランが両国と長期的な戦略協定を結んでいることがその一因になっている可能性がある。以下の図は、イランが協力協定を取り交わした国、もしくはイランが協力協定を結ぼうとしている国を示したものだ。

https://www.understandingwar.org/backgrounder/russian-offensive-campaign-assessment-august-1-2023

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