見出し画像

【Twitter スレッド和訳】 ロシア軍の攻撃戦術と部隊編制 (@Tatarigami_UA氏)

ロシア軍は今までの部隊編制での任務失敗を経験し、その攻撃戦術を見直す途上にある。大隊戦術群(BTG)は「強襲部隊」もしくは「強襲分遣隊」と呼ばれる新たな部隊に置き換えられつつあり、このスレッド[注: 原文はTwitter投稿]ではそのことを取り扱うつもりだ。

鹵獲したロシア軍のマニュアルによると、強襲部隊(もしくは分遣隊)は大隊規模の戦力で、強固な防御陣地が構築された樹木限界線と市街地環境での攻撃遂行のためにデザインされている。基本的には増強大隊であるが、強襲任務に特化している。

この強襲分遣隊は任務内容による必要性に応じてカスタマイズすることができ、その構成は2〜3個強襲中隊・指揮本部・砲撃支援部隊とその他の兵科グループから成る。その他については、偵察・戦車・火力支援・UAV・医療救援・火炎放射・戦闘工兵・予備隊・装備補修部隊というものになる。

強襲部隊の武装:
− T-72戦車3両
– Z-23 牽引式対空機関砲2門+携帯式対空ミサイル3基
– 歩兵携帯型火炎放射器12個
− 自走砲(2S9)6両
− 牽引式野砲6門(D30)
– AGS-17自動擲弾銃2丁
− コルド重機関銃2丁
− 対戦車ミサイル2基
− 狙撃兵ペア2組
– 装甲回収車(BREM-L)1両

強襲分遣隊の中心部隊は強襲中隊であって、この中隊は指揮本部・UAVチーム・複数個の強襲小隊・砲撃支援小隊・戦車グループ・予備分隊・衛生兵分隊から成る。

強襲中隊の武装:
– BMPもしくはBMD-2歩兵戦闘車4両
– T-72戦車1両
– AGS-17自動擲弾銃2丁
– コルド重機関銃2丁
− 対戦車ミサイル2基
– 狙撃兵ペア2組
– 迫撃砲(82mmもしくは120mm)2門
− D30榴弾砲1門もしくは2S9自走砲1両

戦闘部隊の中核要素は強襲小隊であり、おそらくこの小隊は前衛隊・防護兵・指揮グループ・追加火力で増強された火力支援小隊から成っている。火力支援小隊は自動擲弾銃(AGS)・D-30榴弾砲を装備し、機甲グループ・後方搬送分隊も付随する。

強襲小隊は12〜15人で構成され、2人1組の戦術チームに分割される。装備については任務に必要とされるものがベースとなる。1個の予備分隊によって、小隊に追加火力を加えることができる。予備分隊は機関銃手とその補助、そして小銃兵という構成だ。

攻撃に関する主な規定:
⚪︎強化防御地点への砲撃と強襲の間の休止時間は、1分を超えてはならない。
⚪︎偵察目的のUAV使用を推奨する。だが、UAVの損失を避けるため、戦闘状況監視目的での使用は推奨しない。

⚪︎放棄された塹壕の占拠は禁止。なぜなら、そのような場所はブービートラップが仕掛けられている可能性があるか、砲撃目標としてあらかじめ設定されている可能性があるからだ。
⚪︎強襲兵による負傷者の後方搬送は許可されない。その代わりに搬送チームに負傷者の位置座標を連絡せねばならない。

⚪︎小隊指揮官は迫撃砲火力を統制する。
⚪︎小・中隊指揮官は砲撃目標を決定する。しかし、強襲大隊指揮官のみが航空支援を提供できる。
⚪︎AGS-17自動擲弾銃の推奨射撃方法は間接射撃であり、600〜1700mの範囲での射撃が好ましい。

⚪︎攻撃の間、機甲グループは全体としてまとまって行動してもよいし、小隊ごとに分割されてもよい。火力支援小隊の迫撃砲が各強襲小隊に割り当てられる一方で、野砲は直接、全体の指揮官と連絡をとる。
⚪︎樹木限界線への攻撃の間、小隊はダイヤモンド陣形で進むべし。
⚪︎攻撃中に強襲中隊もしくは小隊が、見通しのよい開けた場所を通過することを禁ずる。その代わりとして移動すべき場所は、樹木限界線に囲われた場所の内部のみである。

ロシア軍はBTGのような大きめの編制から、より小型で、より敏捷性に富んだ部隊へと移行しつつある。しかし、依然としてロシア軍は砲撃支援に大きく依存している。ロシア軍が供給不足の兵器、例えば2S9・迫撃砲・AGSそして弾薬を、全部隊に行き渡らせるほどに保有しているかどうかは不明だ。

この部隊編制変更の決定は、バフムート地区におけるワグネルの進撃と、2022年2月以降、使用可能な車両と兵器が減ってきていることに影響を受けているようにみえる。BTGとは異なり、強襲分遣隊はその編制中に兵站部門や多連装ロケット砲を含んでいないようだ。

[以下、今後の投稿告知内容のため、略]

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?