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【Twitter スレッド和訳】 ロシア軍の市街戦マニュアル: 建築物への攻撃(@Tatarigami_UA氏)

今回は「強襲部隊」スレッド[注: 原文はTwitter投稿]の第2回で、市街戦におけるロシア軍強襲部隊向けの推奨戦術に焦点を当てた内容である。なお、この内容は鹵獲した文書類から収集したものだ。以下画像の項目では、市街戦シナリオにて強襲部隊が取り入れることができる、一般的な戦術上の推奨内容が示されている。

市街戦に関する文書による主たる規定
▶︎ 安全な通路を確保するため、戦車や爆発物を用いてフェンスと建築物に穴をあけるべきだ。
▶︎ 強襲中隊の移動ルートについては、可能ならば、道路及び直線上の通りに沿った移動を避けるべきだ。

▶︎ 市街環境下で、建築物の屋根に監視地点を設けることは禁止される。

▶︎ 攻撃予定の町にある各通り及び各建築物に新しい名前を割り振ることは、軍事戦術上、推奨される。これは防御側を混乱させ、秘匿性の低い通信連絡チャンネルを活用する目的で行われる。以下の例では、攻撃側は各通りを“レーニン”、“スターリン”、“フルシチョフ”と名付けている。

▶︎ 攻撃は第一防御線への砲撃で始める。その後ろの防御線への砲撃の移行は、指揮官の指示で実行される。

▶︎ 多層建築物が十分に強化防御されており、容易に攻撃できない場合は、「締め上げる」方法をとるべきだ。つまり、建物を封鎖する代わりに、攻撃側は隣接する建築物に身を隠すべきだ。

▶︎ 一方で砲兵(もしくは自動擲弾銃)及び火力支援チームは、目標との交戦を継続すべきだ。この方法によって、敵側は砲撃による損失を被りつつ、建物から脱出する機会を得る。その結果、強襲チームに前進する機会が訪れる。

1個強襲小隊が多層建築物もしくは複数の入口をもつ建築物の掃討を試みる際は、以下の指示に沿っての行動が推奨される。

▶︎ 入口には1人配置。その任務は地下階からの、または表通りからの敵側攻撃の阻止にある。

▶︎ 小隊は小グループ(3人)で階段沿いに上層階への移動を始める。その際、兵員は互いにカバーし合う。
▶︎ 掃討は、各戸の部屋数(1部屋、2部屋等)に基づき、各階の一戸ごとに実行する。

▶︎ ワンルーム型の場合は3人で十分である。
▶︎ ある階の共同廊下を掃討する際、未掃討の居住戸からの、もしくは上層階の階段沿いの敵攻撃を防ぐ任務として、カバー・グループ(1〜2人)を配置する。

▶︎ 上層階の共同廊下は、敵が奥へと侵入することを排除するために爆発物が仕掛けられている。建物内の残りの階を掃討するのは、上述と同じ方法で行われる。

▶︎ すべての階を確保したのち、建物を二つに区切る壁の2階部分をTNTもしくはC-4で爆破する。その目的は、建物のもう一方側への侵入路を得るためである。

戦争が進むにつれ、ロシア軍は変革を実行することで、自軍をアップデートし、より柔軟な行動ができるようになろうとしている。だが、操典のほとんどは依然としてトップダウン的であり、少数の成功例に基づき、戦場の至るところで盲目的に取り入れられている。それはまるでカーゴカルトのようだ。

市街戦戦術に卓越するために必要なことは、広範囲な訓練と適切な兵站であって、そこには訓練施設・有能な教官・適切な通信装備といったものが含まれる。集中的な訓練を受けてさえ、優秀な部隊になるには、それでも時間がかかる。

この種の任務を遂行するのに必要な通信技術・指揮統制能力・チームワーク醸成力を持った、十分に訓練された士官と下士官を含めて、市街戦で要求される能力がロシアにあるのだろうか? 3回目はこれらの疑問を扱い、操典と観察された実情のアンバランスさを検証する。

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オリジナルのロシア軍操典を参照したい方のために、操典のスキャン版にアクセスするためのリンクを以下に示します。ウクライナ人ジャーナリストのユーリ・ブトゥソウ氏が公開したものです。

https://censor.net/en/news/3386414/ministry_of_defense_of_russia_issued_manual_on_assault_operations_based_on_experience_of_war_against

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