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Twitterスレッド翻訳: “ウクライナにおけるロシア戦車戦術の現在”(@Tatarigami_UA)

数多くの専門家が、戦車時代が終わったかどうかについて議論をしていますが、ロシアによるウクライナ侵略において戦車は極めて重要な役割を担っています。戦車の価値を否定することは、ウクライナに戦車は必要でないという誤った結論を招き、それはただ状況を悪くするだけです。

強調しておきたいのは、ここで述べる考えは、他の戦争やドクトリン、例えば航空優勢に重点を置く米軍ドクトリンにとっては重要でないかもしませんが、ここでの主題はウクライナのことです。私の分析は、防衛側部隊での経験と戦車兵としての経験に基づきます。

ロシア軍の貧弱な統合運用準備態勢、協同及び情報通信の課題、不十分な兵站、不適切な訓練、そして戦略及び戦術面での戦車の間違った使用ということが、戦車はもはや必要ではないという意見を招きました。

侵攻当初、ロシアが戦車を用いた迅速な電撃戦を試みて、抵抗などほとんど無いという思いつきのもとで、戦車隊を諸都市に進軍させたことは事実ですが、それ以降、状況は劇的に変わりました。

敵軍はウクライナ軍から学びつつあり、ドローンと主力戦車の統合運用を真似るようになりました。問題なのは、ロシア軍が我々よりもかなり多くの戦車を保有しており、また、最新鋭対戦車兵器に曝露しない方法を取り入れたことです。詳しくみていきましょう。

ロシアは偵察任務に小型ドローンを用います。攻撃目標及び戦車にとって脅威となる対象の索敵・特定のためです。小型ドローンは比較的安価ということもあり、多くの戦車隊は民製ドローンを有志の人から、または寄付によって入手しました。

直接照準射撃を行わずに、戦車は隠蔽拠点に陣取り、対戦車兵器の直接射撃を避け、対戦車兵器の射程外または視認範囲外にとどまっています。以前はこのような行動は無意味なものでしたが、射撃調整用ドローンによって、状況は完全に変わりました。

専門家のなかには、このような射撃の精度に疑問を持つ方もいるでしょう。ですが、経験が私たちに示すのは、ドローンからの火力投射調整があれば、戦車は4〜6kmも離れた目標にすら正確に射撃できるということです。以下は手順に従った射撃例です。

市街戦において、戦車は有効な兵器であり続けています。歩兵火器で支援されたマリウポリの高層住宅内の強化拠点に敵歩兵が直面した際、敵軍は建物を階層ごとに破壊していく目的で戦車を使用しました。

地雷は依然として戦車にとって一番の難題ではありますが、ロシア軍は爆導索(導爆索)、地雷処理戦車、弾幕砲撃、またはそれらの組み合わせを用いて、地雷処理を行います。ドイツ製地雷のなかには、そのような処理への耐性があるものもありますが、その数は不足しています。

砲兵射撃は、それが戦車に直撃しない限り、戦車に及ぼす効果は限定的です。ウクライナ軍砲兵が戦車を正確に砲撃する動画を見た人も多いでしょうが、皆さんは何百発もの失敗、不命中を見ていないのです(生存者バイアスの一例)。

精密誘導兵器があれば素晴らしいのですが、数千キロにもわたる、数千両の戦車が存在する戦線では、その種の兵器の数が限られているので、優位に立てるわけではありません。

戦車のドクトリンには古くなったものがあることは同意しますが、戦車の存在自体が古くなったわけではありません。戦車はさまざまな使い方ができるため、多くの状況下で「十徳ナイフ(マルチツールナイフ)」的解決策を依然としてもたらしています。80〜90年代の戦車を少々改修した戦車であっても、ウクライナ軍の防衛・攻勢能力を拡張させることができます。

一般の人々がロシアのT-62戦車の登場を面白がることは理解できますが、それでもT-62の115mm砲は破壊と殺戮を引き起こし続けます。対戦車用弾薬の供給は減少している一方で、旧式のロシア戦車は未だに投入されています。

西側諸国はウクライナにもっと多くの誘導弾、対戦車兵器を供与する方向で動くときだと思いますし、また、かなり旧式でも構わないので戦車を、そして戦車兵の訓練、兵站支援も提供すべき時期だと思います。戦車は依然として、この戦争における主要戦力なのです。

*注: 画像は原文(Twitterスレッド)で使用されているものの転載

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