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「職務経歴書」のコツ。会いたいと思わせる書き方。

コロナ禍において就職・転職活動を控える人がいる一方で、自身のキャリアについて見直す人も多いと思います。また、コロナ以前から「在籍年数的にそろそろ転職について考えよう」と、あらかじめ計画を立ててきた人もいます。


 新年度に向けて、新たなスタートを切りたいのは企業も求職者も同じ。2~3月は、人事部が新体制のための人員配置を考える大詰めの時期であり、採用活動が活発化する傾向にあります。転職活動の激戦シーズンとなるこの時期に、企業の目に留まる職務経歴書の書き方のコツをお伝えしていきます。

・職務経歴書の“本当の価値”
 転職希望者と面談する中で「採用担当者は書類の全てには目を通さないのでは?」と、経歴書を軽視する声をちらほら耳にする。しかし、全てに目を通さない可能性があるからこそ、応募側は書類のどの部分を見られても良いようにわかりやすく作成する必要があります。当たりどころを攻めるわけだ。

 また、「履歴書上の経歴だけで内定が決まるのでは?」という声に対しては、確かに学歴・職歴で足切りラインを設けている企業が存在するのも事実。とりわけ「中途採用」に関しては、履歴書のインパクト(出身校名や企業名)よりも、経歴書の内容が重視されるとも言われている。

 理由は、採用側にとって「どこにいたのか」という所属以上に、「何ができる人なのか」を把握することが、相性のミスマッチのない、採用で欠かせないから要素だからです。言い換えれば、所属という大きなくくりではなく、個人としてどのような人物であるか、という目線で採用側は応募者を見ています。

 こうした意味でも、「職務経歴書」は応募者の差別化をはかる大きな材料と言える。では、どのような構成で、作成すべきか。


・職務経歴書の基本構成を知る

 職務経歴書にはさまざまなフォーマットがあり、ネット上で検索すると、エージェント会社によって独自のフォーマットをダウンロードできます。

 記載項目ごとの違いや、年齢や職歴によってボリュームは人それぞれ異なると思うが、以下の5項目を組み込んでA4用紙2枚程度に収めるのがおすすめかもしれない。

① 職務概要(ダイジェストorサブジェクト:物語でいうあらすじ部分)
 経歴書の冒頭部分で、どんなに忙しい採用担当者も、まずは目につく箇所です。ここから下を読むかどうか、職務概要の部分で決まっているといってもいいくらい大事な要約文章です。

「客観的な事実」を200~250文字でまとめるのが良いでしょう。(原稿用紙半分くらい分量)

〈いつ:when(入職時期や在籍期間)、

どこで:where(企業名/部署名)、

何を:what(商材/サービス名)、

どれだけ:howmany(実績)やってきたのか〉に加え、

〈今後の方向性:将来的なゴール〉を最後に一言添えることで、どのポジションに応募しているのかが明確に伝わる。


② 職務経歴
「期間」と「業務内容」の見出しをつけた2列の表を作成し、内容を書き込むのが上策です。派遣型で特に技術系就業者の方など、各プロジェクトによって求められるものが異なる場合には、利用したり得られた「スキル」や「プロジェクト規模」などの項目を3列目、4列目に追加すると、何ができる人なのかが明示されるので、採用担当としてもスキルマッチングの検討がしやすい。

 さらに【成果】の項目で、そこに至るまでのプロセス:過程を記載し、業務に対する考え方や取り組み方法が垣間見えるので効果的。その場合に、文章を連ねるのではなく、見出しとは別のカッコをつけて、〈課題〉〈改善点〉〈結果〉と取り組みの経過がわかるよう、コンパクトにまとめておくと見やすいです。

 華々しい実績でなくとも、見せ方によって今後の再現性があるかどうか、企業側が判断した際には、成果ではなく思考プロセスが買われ、転職後に活躍できると見込まれる可能性もある。


・所有スキルはどこまで書くべきか。
③ 所有スキル
 履歴書の資格欄に記載するTOEICや各種資格検定系とは別に、Microsoft Officeのスキルについて記載する。デスクワーク系職を問わず、PCスキルはどの職場でも求められる。企業によっては、会社独自のシステムを導入しているところもあれば、主にExcel主体に使うところもあり、どの程度の処理能力があるのか、各ソフトの詳細について記載しておくと比較しやすい。

【所有スキル】MicrosoftOffice:
・Word:入力、文書作成、編集・作表、書式設定、表・図挿入、図形(オー  トシェイプ)、差込印刷、帳票類作成、連絡資料作成など。

・Excel:基礎データ入力、表作成、表計算、グラフ作成、関数:Sum/Ave・IF関数・VLOOK・ピボットテーブルの展開と分析・マクロ・VBA構築。

・PowerPoint:プレゼンテーション資料作成、スライド編集、図表挿入、アニメーション効果利用、会議資料としての見せ方、要点を纏める要約能力など

・ACCESS:データテーブル作成、データ入力、データベース構築、帳票作成、入力項目のアレンジ、データベースのリレーションシップ形成。

・publisher:広報資料のデザイン能力、伝達スキルの有無。

・Adobeソフトウェア:Illustratorによるデザイン、Photoshopによる画像編集能力、premierによる動画作成、編集能力。

・オートCAD:二次元図面設計、積算、二次元図面の理解、三次元図面の作成と理解。

 すでに所有しているもの以外でも、現在学習中や取得予定の資格があれば「学習中」「○月取得予定」などの記載を添えた上で記載するのも効果的である。少なくとも、意欲的に自分のスキル向上を望んでいるとアピール材料になる。

 特に業務と関連のあるもの(例:キャリアアドバイザーがキャリアコンサルタント、不動産営業の方が宅地建物取引士、金融関連会社の方がファイナンシャルプランナーや証券アナリスト)の場合には、意欲や向上心の表すことができ、面接で学習の取り組み方や、なぜその資格を取得しようと思っているのか話すきっかけになり、PRチャンスとなる。。

 ここまでは職務における事実の羅列が続くため、時間をかけずにできる人も多い。オリジナル性が高くなる、「④自己PR」と「⑤志望動機」に関しては、形式よりもポイントを中心に伝える。


・重要なのは“文字”から図柄や画像・風景が想像できるか?
 膨大な応募者の書類選考を行う人事の採用担当者に、「ぜひこの人に会って話を聞いてみたい!」と思わせるポイントは、職務経歴書という書類上に見る“ただの文字”が、読み手の頭の中で“活動的な面白みのある画”になるかどうか。

 “面白みのある画”とは、働く中のどのシーンで、何を考え、どう動き、その結果、どのような結果を残したか。ビジネスパーソンとして“働く姿がイメージできる状態”をさしている。

 具体的には〈成果をあげるイメージ〉と〈社内で共に働いているイメージ〉が持てるかの2点である。前者をスキルマッチの視点、後者をカルチャーマッチの視点と言い換えても良いと思います。どちらも詰まるところは相性の問題である。

 これを踏まえ、自己PRや志望動機を書く際のポイントに、単に「~を経験をしてきた、~ができる、~していきたい」と自身の経験や展望を並べるだけでなく、「〇〇の経験で得た□□が、貴社の△△の業務をする際に、▽▽の点で活かせる」というように、希望企業の情報にも触れて提示することが重要である。

 これらが考えられているということは、募集しているポジションで、求められるスキル、経験を応募者自身が把握した上で応募している、と認知できる。PRを通俗的に言えば、“セルフマッチング”と呼べる。自己との一致である。その確度は曖昧ではあるが、故にスキル面での親和性を示し、採用担当者からすると、「本当に我が社で活かせる経験なのか、もう少し経験詳細を聞いてみたい」「経験が活かせるなら実際に会って人柄を把握したい」と、選考のコマを進められるはずだ。


・配慮のない「冴えない職務経歴書」からの卒業を

 職務経歴書を作成する上での最大のポイントは、「読み手である採用担当者の気持ちになってみる」ことだ。主に“コミュニケーションコスト”の観点で考えて見るといい。このコストとは、読み手が推測する事項が多い・文章が長い・重要点が曖昧模糊・文字の羅列・ポイントが不明瞭、つまりは読み手の時間を奪っていることを表している。“時間とエネルギー”の無駄をなんとしても省きたい。

 職務経歴書を読んだ人が、「文章が曖昧で、何が伝えたいのか不明だけど、きっとこういうことが言いたいのかな?」と推測の一手間を取らせた時点で、モテない職務経歴書となる。

 事実が不明なので判断に困るのだ。小説や文芸書ならば、行間や言葉の使い方などで、読み手が想像する部分を逆に残し、読者の想像する余地を残すのが当然だが、職務経歴書は小説でもなければ、ライトノベルでもない。「客観的事実かつ論理的な説明」が求められるのだ。誰が読んでも作成者の伝えたいことが間違えずに伝わる、そんな経歴書に仕上げなければならない。

 作成した職務経歴書を自分自身で確認する時は、他人が書いたものと思い熟読し、もしくは実際に第三者の目を通して(ハローワークの窓口の人やエージェント、コーディネータ、キャリアアドバイザー、キャリアコンサルタント等その道のプロに)見てもらう等の添削依頼をし、書類選考時点で落ちない、最終選考の役員まであって話がしたくなるような人物像を職務経歴書に描き、ブラッシュアップさせるのだ。


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