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美味しいクリームパン。それはクリームと生地が口の中で同時に溶けるような食感で。

どうも、パン職人Ken(@pansyokunin_ken)です。

菓子パンの中でメロンパン、あんぱんとならんで王道を征く「クリームパン」。あなたは好きですか?

私は大好きです。そりゃあもう大好き。

カスタードクリームの甘さとなめらかさ。卵感。バニラの香り。そしてそれを包み込むふわふわのパン生地。

なんなら菓子パンの中でクリームパンが一番好きかもしれない。

今回はそんなクリームパンについてのお話。

袋入りのクリームパンからパン屋さんのこだわりクリームパンまで

クリームパンと一言で言ってもいろんな種類があります。

一個100円もせずに売っている袋入りのクリームパン。小粒のクリームパンが4~5個入った袋入りのヤツ。

クリームがめっちゃたくさん入っているのを売りにしているクリームパン。そしてパン屋さんで買う焼きたてのクリームパン。

それぞれに違いがあり、良さがあるわけです。

個人的には小粒のクリームパンが4~5個入った袋入りのヤツ。あれ好きですね。クリーム感すごいでしょ。あれ。

師匠のお言葉

主食となり得るパンの中でも、菓子パンはもはや嗜好品だと思っています。なのでどんなクリームパンが好きかは人それぞれ。別に良い悪いなんてありません。

でも、私の師匠が言うには

「本当に美味しいクリームパンはな、カスタードクリームと生地が口の中で同時に溶けてなくなるんや!」

と仰っていました。

「へぇー!そうなんすね!知らなかったです!」と口では言いながら昔は「え?マジ?そんなことある?」って思ってました。ごめんね師匠。

でもね、あるんですよ。そういうクリームパンが。

本当に上手に作ったクリームパンはカスタードクリームと生地が口の中で同時に溶けてなくなるんです。本当だよ。

この感覚を味わったことのない方には本当に味わってほしい。なかなか出会えないかもしれないけどね。

美味しいクリームパンについてちょっと詳しく

どうしたらそんな食感になるのか。まずはパン生地がふわふわでなくてはいけません。

パン生地をふわふわ食感にするためには配合、発酵、成形、焼成(焼くこと)をばっちり仕上げなければいけません。

配合はまぁ良いとして(普通の菓子パンの配合で作ればOKなので)、発酵はパン作りの肝です。

適切な温度で生地を捏ね上げ、適切な温度と湿度を保った環境で一次発酵を行い、その後の工程もパン生地にストレスがないような環境を保ち続ける必要があります。

そうやって気を遣って作り上げた生地でクリームを包む(成形する)わけですが、ここでも生地にストレスがかからないようにします。

生地を引っ張れば部分的に生地が薄い場所が出来てしまいふわふわしません。クリームを覆う上下の生地が全体的に同じくらいの厚さでなければいけないのです。

成形したら再び(最終)発酵です。ここで発酵が短いとせっかくの生地が硬くなります。長いとスカスカパサパサになります。ジャストじゃないといけないんです。

そして焼成。定められた時間で焼けるような温度設定が必要です。

焼き時間が短ければ水分が過剰に残り、ねちゃねちゃした食感になります。

逆に焼き時間が長ければパンが硬くなり、パサパサします。

文章で書くとこんなもんですが、実際に作るとなるとかなり気を遣うんですよ。

でも、そうやって愛情を注ぎまくって作り上げたクリームパンは本当に美味しい。

一時師匠の言葉を真に受けてクリームパンを研究しまくった結果、自分でも「クリームと生地が口の中で同時に溶ける食感」を実現することが出来ました。

これね、感動もんよ。

余談。自家製のクリームと出来合いのクリーム

パン屋さんの中には「自家製カスタードクリーム」を売りにしているお店あると思います。

個人的に思うのは、「自家製は必ずしも良いとは限らない」ということ。

品質の安定度で言えば工場生産の出来合いのカスタードクリームの方が100%良いです。

カスタードクリームは炊き具合で硬くなったり柔らかくなったりするので、品質が安定しているのは本当にありがたい。

そして肝心の味ですが、決して「自家製>出来合い」とは限らないと思ってます。まぁ好みの問題ですけどね。

企業努力もあるんでしょうが、メーカーさんのカスタードクリーム全然美味しいですよ。

更に言えば出来合いのヤツは異物混入の可能性も低いし、生産性から見ても小規模のパン屋さんであればわざわざ炊くより買った方がいいです。

何が言いたいかというと、自家製だから良いということではなくて、何を使っていようが自分が美味しいと思えるクリームパンこそが正義ということ。余談でした。

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