白い百合の花
多様な花が咲く庭
ある小さな村に、様々な花が咲き乱れる庭がありました。紅色のバラは情熱を、黄色のひまわりは希望を、青いスミレは静けさを象徴し、それぞれが自分の色を誇っていました。
しかし、ある日、白いユリが庭にやってきました。ユリは、他の花とは違う白い花びらを持ち、静かに咲いていました。他の花たちは、ユリの美しさに目を奪われると同時に、自分たちとは違う存在に戸惑いを隠せませんでした。
「白い花なんて、つまらない。」 「他の花と馴染めないじゃないか。」
バラやひまわりたちは、そう言いました。ユリは傷つき、庭の一角で静かに咲いていました。
そんなある日、村に賢い老人が訪れました。老人は庭の花々を見て、こう言いました。
「君たちは皆、美しい花です。それぞれの持ち味があり、庭を彩っています。白いユリも、他の花とは違う美しさを持っています。なぜ、お互いを認め合えないのかね?」
老人の言葉に、花たちは考えさせられました。バラは自分の情熱が、ひまわりは希望が、スミレは静けさが、それぞれ庭に必要だと気づきました。そして、ユリの白い花も、庭に清涼感を与えていることに気づきました。
花たちは、自分たちの違いを認め合い、それぞれの美しさを尊重し合うようになりました。ユリも、他の花たちの中に溶け込み、庭はますます美しい場所になりました。
しかし、ある日、新しい花が庭にやってきました。その花は、他のどの花とも違う、奇妙な形をしていました。他の花たちは、この新しい花を恐れ、拒絶しようとしました。
「こんな花は見たことがない。」 「庭を汚すんじゃない!」
花たちは、新しい花を追い出そうとしましたが、老人はそれを止めました。
「新しい花も、この庭の一員です。みんな違って、みんな良いのです。」
老人の言葉に、花たちは再び考えさせられました。新しい花は、他の花たちとは違う形をしていましたが、その花にも、きっと何か意味があるはずです。
花たちは、新しい花に話しかけ、その花のことを知ろうとしました。新しい花は、自分のことを話してくれました。新しい花は、他の花たちとは違う環境で育ち、他の花たちとは違う価値観を持っていました。
花たちは、新しい花の話を聞き、自分たちの考え方がいかに狭かったかに気づきました。そして、新しい花も庭の一員として受け入れることにしました。
庭は、ますます多様な花でいっぱいになりました。それぞれの花は、自分の色を出しながら、他の花たちと共存し、美しい庭を作り上げていました。
しかし、新しく庭に来た花は、自分以外の花が育たないように根に毒を持っていたのです。ジリジリと根を張り巡らして数年が経った庭は、新しい花以外は育たなくなったのです。
白い百合の花は、遠くまで種を飛ばして庭以外のところに落ちて芽を出して小さな球根を作ることができました。その球根は地中深く潜って時期が来ると芽を出して茎を長く伸ばして遠くまで届く薄い種を作るのです。
庭以外のところにたくさんの仲間を増やしてから庭に種をたくさん蒔いたのです。百合の花は戻ってくることができました。でも紅色のバラも、黄色のひまわりも青いスミレもない、白い百合だけの庭になってしまったのです。
白い百合の球根に毒を持つようになったのは、そんなことがあったからです。