幸せサービス公社
公益法人「幸せサービス公社」からの電話は、機械的な女声で始まった。「幸せになる相談を無料で...」男の問いに、オペレーターは「無料と有料のコースがあります」と答えた。
男は無料コースの内容を尋ねたが、返ってきたのは「それなりの応答」という曖昧な言葉だった。有料コースは金額に応じて「相談への熱量」が変わるとのこと。男は金がないので無料コースを選んだが、オペレーターは「幸せになるヒントは十分に伝えた」と一方的に宣言し、唐突にコマーシャルを始めた。
内容は、有料サービスの宣伝と口コミによる報酬制度だった。男は半信半疑ながらも話を聞き、オペレーターは「きっと幸せが手に入りますよ」と機械的な声で締めくくった。
男は電話を切り、受話器を置いた。窓の外には、無機質なビル群が立ち並んでいた。男は呟いた。「これが、幸せへの道なのか...?」