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大切なものを大切にする

大切なものに順位をつけてはいけない。
大切なものに大小を考えてはいけない。
大切なものに理由をつけてはいけない。

大切なものを大切にするとは人間として守らなければいけない大切な価値観です。失敗しても落ち込んでも失望しても大切にしているものを大切にしていれば乗り越えることができるのです。

これからが物語です。

「もうダメだ…」彼はカフェの片隅で、冷めたコーヒーを見つめながら呟いた。 「またプロジェクトが頓挫しちゃったよ…」

彼の隣には、いつも笑顔が素敵な彼女、ユキが座っていた。ユキは彼の言葉を遮ることなく、そっと彼の好きなジャズをスマホから流した。 「これ、好きだったよね?」

彼は微かに頷き、俯いたまま呟く。 「俺さ、本当に役立たずだよな…こんなんじゃ、ユキを幸せになんてできない…」

ユキは彼の言葉を優しく包み込むように微笑んだ。 「そんなことないよ。あなたはいつも一生懸命だし、誰よりも優しい。それに、あの迷子の猫を助けた時のあなたを見て、私はもっと好きになったんだから」

彼は顔を上げ、驚いたようにユキを見つめた。あの時のこと…ユキは覚えていてくれたんだ。 「ユキ…」 「大丈夫。あなたは一人じゃない。私だって、仕事でミスをして落ち込むことなんてしょっちゅうだよ。でも、そんな時は大好きな絵を描いたり、美味しいものを食べたりして、また頑張ろうって思うんだ」

彼はユキの言葉に励まされ、少しだけ心が軽くなった気がした。 「ありがとう、ユキ。君がいてくれて本当に良かった」 「ふふ、照れ屋さんなんだから。さあ、コーヒーも冷めちゃったし、美味しいケーキでも食べに行こうよ」

二人は手を取り合い、カフェを後にした。夕暮れの街を歩きながら、彼はユキの横顔をそっと見つめた。ユキの笑顔は、まるで太陽のように温かく、彼の心を照らしていた。 「ユキ、これからもずっと一緒にいてくれる?」

ユキは少し驚いた後、満面の笑みで答えた。 「もちろん。だって、あなたは私の大切な人だもん」

彼はユキの手を握り返し、力強く頷いた。これからどんな困難が待ち受けていようと、ユキと一緒なら乗り越えられる。そんな確信が、彼の胸に灯っていた。

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