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米国株投資ポートフォリオ ―半導体産業―

はじめに

米国株投資を始めるのにあたり最初に私が選んだのは半導体関連株でした.これは,自分が学生時代から半導体関連業界でバイト(というより研究補助)などをしていてこの業界の様子を傍観者として眺めてきたからです.2000年代の前半頃にちょうど日本の半導体企業の凋落の兆しが見えてきたところで実際に試作品などの実験や設計ツールを使う機会がありこの業界の裏話もよく周りの研究者のかたから聴いていました.それから20年近くが立ち社会のインフラ基盤としてデータセンターや5Gの通信設備に使われる先端半導体の重要性がかつてないほどに強い需要を生み出しています.では以下に自分の考えと保有銘柄を紹介していきます.

Intel との熾烈な競争を繰り広げるAMD

AMD (Advanced Micro Devices)はIntel とPCやサーバー向けCPU市場で熾烈な競争を繰り広げています.Intelが圧倒的シェアを誇ったサーバーやPC向けプロセッサ市場に食い込み始めており特にZenアーキテクチャを採用してからは急速にシェアを伸ばしてきました.昨年にはFPGA (Field Programmable Gate Array)の大手であるXilinxの買収が完了し,Intelの牙城をこれからも果敢に攻めていく戦略のようです.
私はAMDとXILINX両方とも評価しており昨年から株を購入していましたが,XILINXの買収完了によりすべてAMD株へ自動的に集約されました(株式の交換による契約だったため).P/E ratioはやや高いですが,メインの製造委託先をGlobal FoundryからTSMCに切り替えたことでTSMCのもつ先端微細化プロセスの恩恵を遺憾なく発揮し,しばらくはIntelをプロセッサの性能面で引き離していきそうです.
またXILINXの買収成立によりリアルタイム性が求められる分野(自動運転や5G, 6G基地局)などにマーケットを広げました.データセンター向けのアクセラレーターなどの需要も旺盛でこれからAMD社のサーバー向けプロセッサであるEPYCにFPGAを組み込んでいくと言われています.Intelも新規工場への投資などで追い上げようとしていますが,今後数年間ぐらいはTSMCに追いつくのは難しい可能性があります.つまりAMDはその間も最先端プロセスの恩恵を受けて競争力を維持していけると予想されます.
ちなみにグラフィックスプロセッサ分野でもRadeonブランドで民生用,データセンター用の製品を供給しており,そちらはNVidiaと競合関係にあります.

半導体製造装置を供給するApplied Materials (AMAT)

https://www.appliedmaterials.com/ja
こちらは半導体製造装置を供給する企業で世界中の半導体工場の操業を支える影の立役者でしょうか.北米でのシェアは圧倒的でIntelやSamsungが新規工場を米国で次々と立ち上げていくことを発表しているということは確実にAMATの売上拡大に繋がります.実際P/E Ratioは低いのに価格は安定した上昇傾向で昨年から投資していますが,AMATが最もパフォーマンスが良いです.これからも半導体製造装置の需要は伸びるはずでまだまだ成長が期待できます.特に最終製品のマーケットリーダーが変わっても半導体製造装置の需要は市場全体の成長に伴って上昇基調です.これからもまだまだ成長が期待できます.

半導体チップの設計ツールを供給するCadence Design Systems(CDNS)

https://www.cadence.com/en_US/home.html
Cadence Design Systems (CDNS)は半導体チップの設計ツールを開発販売する事業を行っています.コンシューマー向けの製品開発を行う企業ではないので派手さはありませんし一般的にあまり知られていませんが,設計ツールは半導体の微細化が進めば進むほど重要度が増していきます.なぜなら先端プロセスでは初期生産のリスクが大きくコストもどんどん増大しているために設計シュミレーションツールを使って高精度な設計検証を行うのが一般的だからです.つまり数10億トランジスタクラスが一般化しつつある最先端チップの設計開発には高度な設計ツールが欠かせません.設計ツールはかなり高価ですが,それでも費用対効果の面で高精度な設計検証ツールはこれからもますます重要性を増しており成長が見込めると考えています.

アナログ半導体大手のTexas Instrument (TXN)

https://www.tij.co.jp/
Texas Instruments (TXN)の強みはアナログ半導体分野です.いくら最新プロセスで製造されたチップが供給されても電源回路などの周辺部分を構成するアナログ半導体がなければ正しく動作させることはできません.特にEVでは様々なセンサーが使われます.それらの電源回路やノイズ除去,またマイクロプロセッサに読み込む場合にはAD変換器などが必要でそれらをTIが供給しています.使われている半導体製造プロセスは数世代も前のものですが,これからもこういった周辺回路に使われる半導体の需要は増加していくと予想されています.
またかなり古い企業なので,株価の評価額上昇はそれほど望めませんが,株式の配当はかなり優秀です.今は需要の急増によって株価も上昇しており工場の新設も計画しているようです.
同様な分野ではアナログ・デバイセズ(https://www.analog.com/en/index.html) がありますが,そちらはまだ資金を投入していません.個人的にはADIのほうが好きな企業なので,今はチャンスを待っているところです.

まとめ

上記の企業以外に徐々にではありますが,TSMCとNvidiaの株式購入を始めています.半導体が使われている製品は家電から住宅の給湯器や冷暖房装置に至るまで多岐に渡ります.現在は世界的に需給のバランスが崩れていて昨年などはPS5やグラフィックカードが入手困難になるなど異常事態となりました.世界中のデータセンターには最先端のサーバーマシンが常に一定期間で交換されて納入されつづけていますし,これからも順調に成長する産業だと言えます.ちなみに自動運転が実用化されるとEV化と相まってセンサー,周辺機器,メインECU,パワー半導体などで更に新しい需要が生まれると言われています.

免責事項:
ここに掲載された内容は投資アドバイスではありません.
掲載された内容によって生じた損害等の一切の責任を負いかねますのでご了承ください.


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