ほろよい読書(織守きょうや、坂井希久子、額賀澪、原田ひ香、柚木麻子著)
そしてその部屋でまた、一人で楽しむためのお酒を仕込む。甘いだけじゃないけれど、月日が経つほどに美味しくなるものがあることを、今の果歩ちゃんは知っている。
毎日生きていると気が付かないうちに、心が少しずつすり減っていき、ときどき息苦しさを感じるときがある。
過去に上手くいかなった出来事を思い出したり、かつて思い描いていた未来と目の前の現実の差に落ち込んだり…
すると少しだけ寂しさを覚えたり、やるせない思いに心がざわざわしたり、そんな経験は誰の記憶にもあるのかもしれない。
そんなとき人の優しさに触れる、素敵と感じられるものに出会うと自分を今よりもう少し好きになったり、幸せな気持ちになったりするものなのだろう。
何か息苦しさを感じているとき、そっと新鮮な空気を入れてくれる、心を下の方からゆっくりと温めてくれる本だった。
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