コンサル一年目が学ぶこと(大石哲之著)

 本書はコンサルタント業界に入って身につけていくことについて話す技術、思考術、デスクワーク術、ビジネスマインドと章立てし、紹介している。こんなにも分かりやすく、簡潔にまとめられているものはなかなかない。汎用性のあることだらけで、時々また読み返して、そのとき実際にできているか、忘れていたところはないか、定期的に確認したくなる本になった。そんな中でもいま特に心に残った箇所をここに留めておきたい。

 仮に、世界共通言語があるとしたら、それは英語ではなく数字です。それも、難しい数字ではなく、売上、出荷の個数、コスト、利益率などの単純な数字です。

経験のない一年目の唯一の武器が、数字。
それもほかでは得られない、独自に集めた数字が有効。

がんばることにコミットしてはいけない。
社内の上司にコミットしてはいけない。
仕事の成果に対してコミットすること。
常に自分が貢献する相手にコミットメントをもつ。

 経験のない若手はどのようにクライアントに価値を提供できるのか、これまで明快な答えがなかった。しかしこの本を読んで腑に落ちた。それはつまり、数字だったのである。事実としての数字を集めて、クライアントへ示す。どれだけ若くても揺るぎようのない事実をもっていけば、耳を傾けてくれる。

 そして、貢献相手に対してコミットメントをもつということ。
これだけ時間をかけて頑張ったから、誰にも助けを求めず一人でやりきったから…個人にフォーカスすると、そんな指標が評価してほしいポイントになるかもしれない。
しかしクライアントの立場になって考えると、5分でやろうが徹夜しようが、1人でやろうが複数人でやろうが、そんなことは関係ない、その次元を求めてすらいない。
期待する成果を期日までに提示されること。
これが全てなのである。裏を返すとこの点だけは、何としても死守しなければならない。
常に目線はクライアントで仕事を進めていくということをこれからも忘れないようにしよう。

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