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ショートストーリー? 転生したら女子高生の人面瘡だった件 第19話


そう言えば何かおかしかった。

鬼女は今日、学校を休んでいた。ともすれば一体誰が上靴の事をクラスで流したのか。そして、絶妙なタイミングでの永見の登場。そもそも鬼女は何をしに放課後彼女に会いに来たのか。

一つ一つは漠然とした事実。でも、重なり合った結果、永見へ都合が良すぎやしないだろうか?
しかし、あの笑み以外には何の証拠もありはしない。とりあえず、永見以外に笑っていた生徒達を僕は思い返してみる。

吉岡優斗
吉崎芽依
北川陽菜

なるほど。確か、吉岡と吉崎は名簿も近く仲が良かったはずだ。カーストも割と高めでやりかねん奴等って印象だな。北川は確かあの鬼女の友達だった気がする。ふむふむ何か臭いますなワトソン君。
こいつ等の事を攻める必要がある気がする。
中間休みにトイレに行く彼女を利用して僕は話しかけてみた。

「ね、川口さん、吉岡、吉崎、北川についてどんな人物か教えてほしいんだ」

僕の提案に怪訝そうな顔をする彼女。

「なんでそんな事知りたいの?」

ここはある程度、正直になろう。

「気付かなかった?川口さんがクラスで責められていた時、この三人が川口さんの事笑っていたんだよ」

他の人も笑っていたよと言い返す彼女。

「んー、そうなんだけどなんて言うか、もっと何かこうどす黒いって言うか裏が有る様に感じたんだ」

口下手な僕。しかし、彼女はそんな僕を見て真剣に悩んでくれる。こう言うところが僕を本気にさせてくれる。

「そうだね。確か吉岡君と吉崎さんは仲が良くっていつもつるんでるイメージ?て言うか付き合ってるしねあそこの二人」

なるほど、仲が良いとは思っていたがそんな理由があったのか。それにしても吉岡よ、高校生で彼女を作るなんてけしからんやつだ。

「でも、吉岡君と私ってそんな関係ないしね。吉崎さんともないんだけど、彼女は吉岡君にぞっこんだから彼がやれって言ったら色々やっちゃうタイプかも」

続けて解説してくれる彼女。吉岡の動機が鍵になっているかもしれない。彼女に北川の事も聞いてみた。

「んー、陽菜ちゃんは大人しいイメージかな。いつも優香(鬼女)と一緒に永見先生に話に行くけど、少し後ろで笑ってる感じかな」

あー、こいつも永見親衛隊の一人なのか……。
それにしてもあんな最低野郎の何がいいのかね本当。あんな奴に比べて僕はナイスガイだよ。文字通りナイスな顔しか無いけどさ。

「だからもしかしたら、陽菜ちゃんが何か企んでたとしたらそれは優香(鬼女)への仕返しかもしれないなあ」

少し擁護気味の彼女の考察。優しい人間だな。そんな彼女は犯人探しなんて求めているのだろうか。恐る恐る尋ねる。

「僕と一緒に理由を探ってくれる?」

彼女はあっけらかんに言葉を返す。

「こちらこそお願いしますだよ吉田さん。私、ずっとこう言うの無視していこうって思ってたの。どうでも良いって言うか馬鹿らしかったし。でもね、吉田さんがこんなに私の事考えて頑張ってくれてると思うと、私ももうちょっと自分の事大事にしなきゃって思えてきたの。吉田さんのおかげだよ」

まさかこんなトイレの中でこんな事を言われるとは思ってもみなかった。少し赤くなる僕。
そんな僕に川口さんは人たらしだねって笑う。一体どっちが人たらしだか。


それにね


身悶える僕に彼女は言葉を続ける。これ以上は蛇足だよ川口さん。


永見先生もきっと心配してると思うし


呟く様に言葉を置く彼女。小さな声だが、これが一番彼女を突き動かしているんじゃないだろうか。
永見が彼女の事を心配している。その彼女にとっての事実のみが今の彼女を支えている。


そうだね。永見先生もきっと心配してるだろうし、一緒に調べようよ


僕が今までで付いてきた嘘の中で、最も苦痛な嘘を言葉を弾ませ彼女に伝える。

彼女は潤む声でうんと頷く。

彼女には永見の笑みの事は黙っておこう。
僕は彼女を守ると決めたのだから。

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